■そのほか自動車関連/ネタなど

EUの「2035年以降は内燃機関販売禁止」が覆りそうだ!合成燃料の使用を前提として内燃機関の販売を許可する草案が提出、審議に入りガソリン車販売延長容認か

ポルシェ

| ただし合成燃料の普及や価格には課題が多く、内燃機関を継続するとしても、一部のスポーツカーやプレミアムカーにとどまりそうだ |

さらにEUは「合成燃料でしか走らない」エンジンの製造を求めている

さて、ここ最近になって「EVしか認めない」としていた欧州連合(EU)の動きにやや変化が生じているという報道が見られますが、今回は「合成燃料(Eフューエル)を使用すれば、2035年以降も(もともとの案では禁止されていた)内燃機関を積む車両の新車販売が可能になる」という草案が提出され、近々審議されることになる、との報道。

ちょっと前までEUは「合成燃料だろうがなんだろうが内燃機関を持っているクルマはダメ。EVしか認めない」としていたものの、おそらくは電気代の高等や電力不足によって「やっぱり新車を全部EVにするのは無理があるな・・」と考えたのかもしれません。

まだまだ合成燃料の許可が決まったわけではないが

なお、この合成燃料認可の動きについては、上述のような世間の流れに加え、ドイツほかいくつかの国が「2035年以降の内燃機関搭載車の販売に反対した」ということも影響しており、ドイツほか6カ国が反対した理由は「EVシフトによって雇用が失われる」こと、そして「EV充電用のインフラが追いつかない」こと、さらに所得の高くない国では「EVの新車を購入できるだけの十分な所得を得られていない人が多数いる」こと。

EU議会が「2035年にガソリン禁止」という最終合意に至る。年産1万台以下のメーカーでも2036年にはガソリン禁止、1,000台以下だと当面は無罪放免
EU議会が「2035年にガソリン禁止」という最終合意に至る。年産1万台以下のメーカーでも2036年にはガソリン禁止、1,000台以下だと当面は無罪放免

| 現時点での販売台数だとフェラーリは2035年、ランボルギーニとアストンマーティン、マクラーレンは2036年にはEUでガソリン車を販売できない | ただ、この1−2年で世界の電動化が急速に加速してお ...

続きを見る

これらいずれの言い分も「もっとも」で、そのためドイツと6カ国は、今月中に行われるはずだった最終承認のための投票をボイコットしたと報じられていて、こういった動きもあって今回EUが「2035年であっても内燃機関搭載車の販売認可を検討する」という向きに動いたのでしょうね。

ポルシェ
EUでの「2035年ガソリン禁止」採決がドイツの棄権によって延期!「雇用喪失」「合成燃料(Eフューエル)普及の可能性」について協議が持たれるようだ

| ただしボクは予定通り2035年にはガソリン車の販売が禁止され、しかし例外措置としてEフューエルが認可されると考えている | すべての人を満足させる法案を通すことはできないだろうが、妥協点を見出すこ ...

続きを見る

ただし合成燃料の認可には「条件」も

ただ、無条件に合成燃料の使用を前提とした内燃機関搭載車の販売を許可するのかというとそうではなく、法案では「合成燃料以外では走ることができないようなデバイスを組み込むこと」が要求されているといい、これはこれでまた難しい問題です。

というのも、合成燃料は「ガソリン車にそのまま入れて使用できる」ことがひとつのウリであり、つまりガソリンと合成燃料は互換性があるわけですね。

そうなれば「合成燃料の使用を念頭に置かれたクルマ」にガソリンを入れたとしても問題なく走るということになりそうで、EUとしてはそういった抜け道を防ぎたいと考えていて、それは「カーボンフリー」を達成するには当然のことかもしれません。

ランボルギーニ・ウラカンEVO RWDのオプション

今話題の「合成燃料」!そのままガソリンエンジンに使用できカーボンフリーを実現できるものの「何が問題でなぜ普及しない」のか?
今話題の「合成燃料」!そのままガソリンエンジンに使用できカーボンフリーを実現できるものの「何が問題でなぜ普及しない」のか?

| そもそも合成燃料に対する国際社会の理解が進まず、その有用性が理解されていない | やはり普及させるには国際的な共通認識確立、各国政府の理解が必要 さて、昨今話題となっている合成燃料。これは石油由来 ...

続きを見る

なお、そういった抜け道が生じる可能性としては、「合成燃料がガソリンの二倍以上の価格になる」可能性が高いからで、そうなるとクルマのオーナーとして当然ガソリンを使用したいと考えるようになるのもまた当然。

そしてEUはこの抜け道が生じないよう、物理的に合成燃料以外では走らないクルマを作ることを作るよう自動車メーカーに求めているわけですが、この機能を持たせるには自動車メーカーが追加のコストを投じてエンジンを再設計する必要があるとされ、自動車メーカーにとってもまた大きな負担が生じるのは間違いなさそうですね。

しかしこの合成燃料については、まだまだ量産化が難しく、かつ2035年に「容易に手に入るようになっているかどうか」は別問題。

さらに「ガソリンの倍」の燃料代が必要となり、ランニングコストがEVに比較して異常に高くなる「合成燃料専用車」を消費者が購入するかという問題も考えられ、色々と問題が山積みなのかもしれません。

合わせて読みたい、合成燃料関連投稿

ポルシェ
ポルシェはガソリンエンジンを廃止するつもりがないようだ!「合成燃料(Eフューエル)をもって内燃機関を存続させる。これは有効なソリューションとなるはずだ」

| ポルシェは「電動化」と「ガソリンエンジン存続」という二面性の矛盾をかねてより指摘されてきたが | 合成燃料の可能性が合法的に見えてきた今、これの使用によるガソリンエンジン存続が現実的に さて、ポル ...

続きを見る

ポルシェ
ポルシェがついに合成燃料(Eフューエル)の製造を実用化!「最初の一滴をポルシェ911に注入した」と発表し、これでガソリン車存続の可能性がちょっと開くことに

| ただし合成燃料には現時点で重大な問題があり、その価格がガソリンの5~10倍となるようだ | さらに、合成燃料を「カーボンフリー」のための手段としてすべての国や地域が認めるわけではない さて、ポルシ ...

続きを見る

ランボルギーニ
ランボルギーニが合成燃料の開発を開始!「いかなる手段を用いてもガソリンエンジンを存続させ、そのためにはハイブリッドも活用する」

| ランボルギーニは他の自動車メーカーとはやや異なる「電化への」姿勢を持っている | なおウラカン後継モデルについては「ターボ」の可能性を否定出来ないようだ さて、電動化に熱心なフォルクスワーゲングル ...

続きを見る

参照:Reuters

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

-■そのほか自動車関連/ネタなど
-, , , , , ,