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アストンマーティン「これから当社は英国のフェラーリを目指す」。その意図とは?

2020/04/10

| アストンマーティンの新オーナーは長らくフェラーリの輸入ビジネスを行っていた |

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アストンマーティンはカナダの富豪、ローレンス・ストロール氏の出資を受け入れて「生まれ変わろう」としていますが、その主な手段は”在庫の削減”と”会社の再編”。

アストンマーティンCEOについては引き続きアンディ・パーマー氏が続投となるものの、会長職には新しくローレンス・ストロール氏が就くと報じられているので、これまでのウルリッヒ・ベッツ氏(ポルシェ993を開発し、その後アストンマーティンCEO→会長へ)は退任ということになりそうです。

なお、アンディ・パーマー氏は2014年に日産副社長職からアストンマーティンCEOへと転身しており、その理由は「トップであることに意味がある」から。

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その後はアストンマーティンでは辣腕をふるうことになり、その成果としてDB11、ヴァンテージ、DBSスーパーレッジェーラ等のヒットモデルを次々生み出し、ひいてはブランド初のSUVであるDBXの企画、ハイパーカーとしてはヴァルキリー、ヴァルハラの発表も。

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アストンマーティンは「受注生産」を拡大

ただ、多くのモデルのレイアウトやデザインが似ていることからか「ひととおりニューモデルが出ると」パタリと売れなくなってしまい、現在アストンマーティンは多額の債務を抱えている、とも報じられています。

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そして「急に売れなくなった」ことで、債務同様に多くの在庫を抱えているとも報じられますが、ここでアストンマーティンが今後の方針にて採用するのが「完全受注生産」。

なお、この完全受注生産はフェラーリやランボルギーニが採用するもの。

ローレンス・ストロール氏はカナダにてフェラーリの輸入を長らく行っていたことがあるとも報じられ、今後はフェラーリのビジネスモデルを取り入れゆくという意向を持っているようです。

そのため、アストンマーティンは今後「生産台数を減少させ、1台あたりの利益を大きくする」ことを考えているようですが、これは1台1台丁寧に受注を行い、それらを「カスタム仕様」とすることで1台あたりに含まれる利益を大きくするということになりそう。

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フェラーリはしばらく前からこういった手法を採用していて、たとえば車両本体価格が3000万円だとしても、ほとんどの人は(車両本体価格の)15~20%ほどのオプションを装着し、そしてオプションは利益が厚いので、その分会社が「儲かる」わけですね。

なお、ランボルギーニもこれに追随する動きを見せていて、たとえばぼくが2009年にガヤルドを新車で購入した際、用意されていたオプションはホイールと透明エンジンフードくらいのものであり、内外装に関するほかのオプション、カスタム仕様のボディカラーやインテリアカラーなどは選べない状況(カスタムオーダーもあるにはあったが、一般的ではなかった)。

よって、購入する際にはオプション費用がほぼかからず、メーカー(ランボルギーニ)は利益を逸失していたとも考えられます。

しかし2014年にウラカンを注文した際にはボディカラーやインテリアカラー含めて様々なオプションが登場し、なんだかんだでぼくは250万円ほどオプションに費用を投じていますが、これは車両販売以外にもメーカーやディーラーが得られる”新たな”利益ということになりますね。

その後には「アドペルソナム」が登場し、さらにオプションが増加することになり、つい最近注文してきたウラカンEVO RWDでは450万円ほどオプションにお金を突っ込んでしまい、これもまたメーカーそしてディーラーに落ちる利益(これはこれで、皆が満足するので”いいこと”だと思う)。

よって、アストンマーティンも「もっと顧客がオプションにお金を使ってくれる」環境を作ってゆくのだと思われますが、現在のパーソナリゼーションプログラム「Q」の認知度を上るための様々な活動を行ってゆくことになりそうですね。

ただしこれは言うほど簡単なことではなく、工場側は「いつ来るかわからない受注生産モデル」のために待機しなくてはなりませんし、販売側も「工場のラインを埋めるだけの」注文を取る必要があり、また顧客も「納車までの待ち時間が長くなる」ということを了承せねばならず、これらがうまく回りだすには数年という時間、そして何より高いブランド価値の形成が必要であるのは言うまでもありません。

なお、アストンマーティンはフェラーリのエンジニア数名を引き抜き、新型ヴァンキッシュをミドシップ化することでフェラーリに対抗しようという意思も持っていて、これについてフェラーリは余裕のコメントを発していますね。

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アストンマーティンは「レッドブルとの関係を維持」

そしてローレンス・ストロール氏はF1チーム「レーシングポイント」のオーナーでもあり、アストンマーティンは現在レッドブルとパートナーシップ契約を締結中。

よって、アストンマーティンのオーナーが(レッドブルのライバルであるF1チームオーナーの)ローレンス・ストロール氏となった以上、レッドブルとの関係継続は困難だと思われたものの、今回アンディ・パーマー氏は「レッドブルとのパートナーシップを維持する」と明言しており、これはかなり意外な部分でもあります。

そのほか、ラピードEとラゴンダ計画が「凍結」されたこと、かわりに2020年のヴァルキリー、2022年のヴァルハラ、2023年のヴァンキッシュという「ミドシップモデル」が最優先事項であること、ヴァンテージの不振に対しては「全体の需要の40%を占めるであろうロードスターの投入」、より伝統的な「ベーン・グリル」の設定によって対応が可能であることについても言及しています。

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なお、ヴァンテージは「アストンマーティンらしくない」顔つきを持つクルマですが、それを好まない顧客も多いようですね。

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VIA: Autocar

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