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ベントレーが「2024年4月をもってW12エンジンの生産を終了させる」と発表。最終バージョンはバトゥールに搭載される750馬力版、30年の歴史の幕が閉じる

2023/02/24

ベントレーが「2024年4月をもってW12エンジンの生産を終了させる」と発表。最終バージョンはバトゥールに搭載される750馬力版、30年の歴史が幕を閉じる

| ベントレーのW12エンジンはこの20年間で出力は37%、トルクは54%向上し、一方で排出ガスは25%削減 |

このエンジンが失われるのはあまりに惜しいが

さて、ベントレーが2024年4月に12気筒ガソリンエンジンの生産を終了すると発表。

なお、この「2024年4月」というのはちょうど少量生産モデルのバトゥールの生産が完了するのと同時であり、つまりベントレーの12気筒エンジンはバトゥールの生産完了とともにそのライフを閉じるということに(ベントレーの12気筒エンジンは累計で10万基が生産される計算となる)。

この「12気筒エンジンの生産を終了する」という決定は、ベントレー打ち出したカーボンニュートラル戦略「Beyond100」による持続可能な未来に向けた加速の一環であり、2030年の始まりまでにモデルライン全体を完全に電動化し、車両平均排出量を0g/kmにまで削減することを目指すという目的に基づいたもの。

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ベントレーのBeyond 100は好調に推移

なお、この「Beyond 100」戦略はすでに始まっていて、ベンテイガそしてフライングスパーのハイブリッドモデルは予想を上回る受注を獲得しており、 来年にW12エンジンの生産が終了するとベントレーの全モデルラインにハイブリッドパワートレインのオプションが用意されることになります。

ただしベントレーは「静かに」W12エンジンの生産終了を見送るつもりはなく、バトゥールに「ベントレー史上、もっともパワフルな」W12エンジンを積むことでひとつの時代の終了を祝うとコメントしており、ベントレーのコーチビルド部門、マリナーにて製作されるわずか18台のバトゥールには最高出力750PS、最大トルク1,000Nmを発生するエンジンが積まれることが決定済み。

ベントレー会長兼CEO、エイドリアン・ホールマーク氏によると、「持続可能なラグジュアリーモビリティを目指す私たちの進歩的な旅は、ベントレーのあらゆる分野に変化をもたらすことを意味します。2003年に初めてW12を発表した時、私たちのクルマとブランドを力強く前進させる強力なエンジンを手に入れたと確信しました。20年の歳月と10万台以上のW12を経た今、私たちは電動化に向けて前進するため、この象徴的なパワートレインを引退させると決めたのです。マリナーがバトゥールのために作り上げた750PSの偉大なエンジンは、私たちのエンジニアリングと製造のスタッフが非常に誇りに思うべき、開発の旅の終わりを告げるにふさわしいものです」。

Bentley-Mulliner-Batur-1

このエンジンは非常に厳しい一連の耐久性テストを経ており、ハイパワーながらもこれまでのエンジンと同様の信頼性を持つことが証明されているそうですが、その改良の内容としては吸気、排気、冷却システムなど全域に渡り、ターボチャージャーのコンプレッサーは効率を高めるために新設計され、そこに空気を送り込むダクトも33%拡大されています。

ピーク出力時には1時間あたり1トン(1,050kg)以上の空気を取り込むことが可能となり、深さが10mm拡大された大型のチャージエアクーラーと新しいコア形状はによって加圧された吸気から35%以上の熱を取り除き、これにより吸気温度を低く保ち、より高い出力を達成するためのブーストを可能とします。

Batur 750PS Engine - 6

ベントレーのW12エンジン搭載車はまだまだ注文が可能

なお、2024年4月にW12エンジンの生産が終了するといえど、現時点ではまだ(完売した)バトゥール以外のW12エンジン搭載モデル、つまりコンチネンタルGT、ベンテイガ、フライングスパーについては注文することが可能であり、ベントレーによれば「ただし注文はお早めに」。※今回、公式にW12エンジンの終了が発表されたことで注文が殺到し、早々に予定生産台数に達する可能性がある

上述のとおり、ベントレーのW12エンジンは2003年にはじめて導入されていますが、それ以降もベントレーはパワー、トルク、排出ガス、洗練性の面においてエンジンの性能を継続的に向上させており、この20年間で出力は37%、トルクは54%向上し、一方で排出ガスは25%削減されています。

Continental GT Speed - W12

この改良につき、まずは制御システムの進化と最適化、オイルや冷却設計の改善、ターボチャージャーの設計変更、より効果的な噴射・燃焼プロセス導入によって達成され、2015年には(ベンテイガに搭載が拡大されるにあたり)W12エンジンはサンプから完全に再設計されることで気筒休止、直噴およびポート噴射、ツインスクロールターボを備えたることに。

これらW12エンジンは、職人チームによって6時間半かけてひとつひとつ手作りされ、3台の専門診断機で1時間以上かけて高度なテストが行われるるそうですが、毎週1台のエンジンがピックアップされて長時間稼働テストにかけられ、その後検査のために完全に分解される、とのこと。

このエンジンが未来永劫失われると思うと寂しい限りではありますが、これもベントレーが未来に進むための苦渋の決断のひとつであり、ぼくらとしてはそれを支持する以外にはなさそうですね。

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参照:Bentley

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