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1962年にはF1のタイトルを獲得したこともある英国BRM。規定の変更で1年しか走れなかった「V16エンジン搭載、1950年代のF1マシン」を復刻する。なお591馬力のモンスター

2021/09/19

1962年にはF1のタイトルを獲得したこともある英国BRM。規定の変更で1年しか走れなかった「V16エンジン搭載、1950年代のF1マシン」を復刻する。なお591馬力のモンスター

| なんと英国ブリティッシュ・レーシング・モーターズ(BRM)は当時の経営のまま、現代まで生き残っていた |

それにしても、ボクはとうていこのクルマを運転する自信はない

英国のレーシングカーコンストラクターにして1962年のF1コンストラクターズ・チャンピオン、ブリティッシュ・レーシング・モーターズ(BRM)が、創業70周年を記念して「(自社の)過去のクルマを現代に甦らせる」と発表。

ジャガーやアストンマーティンが行っている「当時の車を、当時の技術と工作機械にて、現代で新車として製造する」という手法、つまり「コンティニュアス(継続生産としての”復刻”)」と呼ばれる方法を用いることになりますが、3台のみが限定生産される予定です。

第一弾はP15 V16レーシングカー

そして今回、ブリティッシュ・レーシング・モーターズが「第一弾」として発表したのがP15 V16レーシングカー。

どうやら今回復刻が発表された「3台」とは、「3車種一台づつ」という構成となるようで、まずこの一台目を発表し、9月17日から19日まで開催されるグッドウッド・リバイバルで実際にコースデビューさせるとアナウンスを行っています(2台目以降はどんなモデルが選ばれるのかわかっていない)。

このプロジェクトは、BRMのF1チームプリンシパルであるアルフレッド・オーウェン卿の息子、ジョン・オーウェン氏が中心となって進められてきたものだとされ、P15とそのV16エンジンを蘇らせることに成功しており、3台のコンティニュエーションカーには、いずれも1950年代に割り当てられたものの使用されなかった独自のシャーシナンバーが付けられるのだそう。

搭載されるのはV16エンジン

このBRM P15のオリジナルは1950年代に製造されていますが、当時の設計図をもとに、36,000点以上のパーツを組み合わせて作られており、その特徴であった「1.5リッター・スーパーチャージドV16エンジン」だけでも4,000以上の部品が使われている、とのこと。

ちなみにこのV16エンジンは当時実戦投入が遅れてしまい、規定が変更されるまでの1シーズンしか使用できなくなったため、ブリティッシュ・レーシング・モーターズはパトロンであったアルフレッド・オーウェン卿に買収されることになりますが、今回の報道を見るに、その息子が現在経営を受け継いでいるようで、「よく今まで生き延びたな」という驚きも。

参考までに、1962年にはコンストラクターズ・チャンピオンだけではなく、グラハム・ヒルがドライバーズタイトルも獲得しており、ほかにブリティッシュ・レーシング・モーターズのF1マシンをドライブしたのはダン・ガーニー、ジャッキー・スチュワート、ジョン・サーティース、さらにはニキ・ラウダといったそうそうたる名が連なり、つまりは「当時、かなりの勢いを持っていた」コンストラクターということになりますね。

なお、1977年を最後にF1から撤退し、その後の活動についても音沙汰がなかっただけに、今回の「突然の新車発表」には驚かされますが、なんといってもその第一弾に「V16エンジン」搭載車を選んだというのもまたびっくり。※このBRM P15は優勝経験がなく、復刻するのであればタイトルを獲得したP57を選びそうなものだが

このエンジンは12,000rpmまでの回転を許容し591馬力を発生し、当然ながら当時のクルマなのでドライバーズエイドのたぐいなどあろうはずもなく、そしてこの細いタイヤを見るに、とてつもなく運転が難しそうですね。

BRM-P15-V16-2

かつての代表の息子、ジョン・オーウェン氏によると、「長い年月を経て、あのV16エンジンの音を再び聞くことができたのは、信じられないような瞬間であり、夢が実現したようなものでした。これは、(エンジン製造を担当した)ホール・アンド・ホール社のエンジニアリングチームの素晴らしい技術、粘り強さ、細部へのこだわりへの敬意の表れであり、グッドウッド・リバイバルでのマシンのお披露目を心から楽しみにしています」とのこと。

元BRM F1チームのエンジニアであるリック・ホール氏は、「スタッフ全員にとって、これは信じられないようなチャレンジでした。私が72年末にBRMに入社して以来、我々とホール・アンド・ホール社は密接に仕事をしてきましたが、この本当に素晴らしいレーシングカーに命を吹き込むためには、その経験のすべてが必要だったのです。オリジナルの設計図からシェイクダウンまで2年を要し、しかし我々が必要とした品質、ディテールのレベルに達するためには近道はなく、それでも我々はやり遂げたのです」。

実際に今回のプロジェクトについてはまさに「偉業」としかいいようがなく、しかし何度も恐縮ですが、ぼくとしては「当時の経営のまま、ブリティッシュ・レーシング・モーターズが残っていたこと」のほうに驚きを覚えます。

BRMのティーザー動画はこちら

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参照:British Racing Motors BRM

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