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なぜスーパーカーメーカーは「サーキット走行専用車」を連発するようになったのか?もはやそこしか差別化できる市場がないのかもしれない

2021/08/18

ランボルギーニ

| 数年前までは、ここまで「サーキット走行専用車」が市場にあふれていなかった |

もはや「登録可能なクルマ」でライバルに差をつけることが難しい段階に来ている?

さて、先日ブガッティはサーキット走行専用のハイパーカー「ボライド(ボリード)」の市販化を発表したところですが、どうやら今後、スーパーカーメーカーがこういった動き(サーキット走行専用者の投入)に力を入れるんじゃないかという見方がある模様。

過去にサーキット走行専用車いうと、フェラーリの「XX」プログラムに使用するエンツォフェラーリベースのFXX(2005年)や599GTOベースの599XX(2009年)、ラフェラーリベースのFXX(2015年)、FXX K Evo(2017年)、マセラティのMC12ベルシオネコルセ(2006年)といったクルマがありますが、フェラーリの場合は「市販車にフィードバックする技術開発のテスト」、マセラティでは「FIA GT選手権の優勝記念」という性格を持ち、ここ最近増えてきている「サーキット走行専用モデル」とはやは異なる性格を持つようにも思います。

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レーシングカーが最速だというわけではない

そして最近の「サーキット走行専用車」だとマクラーレンP1 GTR(2015年)、セナGTR(2020年)、アストンマーティン・ヴァルカン(2015年)、ヴァルキリーAMR Pro(2021年)、ランボルギーニ・エッセンツァSCV12(2020年)、ブガッティ・ボリード(2021年)といったところ。※モータースポーツ用車両だともっとたくさんある

そしてこれらの特徴というと「FIAの定める、GT2やGT3などのカテゴリに準拠したスペックを持たない」「そのメーカーの特徴や魅力を広く伝える」ということで、つまりはレース参戦が目的ではないということです。

同じ「サーキット走行専用」といえども、モータースポーツ参戦用車両は設計、重量、空力、コスト削、サウンド、エミッション など様々な規制が導入されており、そのポテンシャルを十二分に発揮できていない場合もあるのですが、モータースポーツという枠を外したサーキット走行専用モデルは「なんでもアリ」となるため、スポーツカーメーカーはその持てる技術を思う存分発揮させることが可能となるわけですね。

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もはや公道走行可能なクルマに刺激を求めることは難しい

ここで考えねばならないのは「なぜここ最近、急激にこういったサーキット走行専用モデルが増えてきたのか」。

その理由としては明快で、「もはや公道を走るクルマにて、運動性能や、刺激を追求することは難しくなった」からだと思われます。

これには、どんどん進む電動化社会、そして環境意識の高まりから、「燃費が悪そうな、そして音がデカい」スポーツカーは「悪」とみなされるようになってしまい、さらには環境規制(燃費や音量)によってメーカーも「これまでのように自由に」クルマをつくることができなくなり、よって公道走行(登録)が可能なクルマとして販売するものはいずれも「低刺激性」になりつつあるという事実が絡んでいそう。

そうなるとスポーツカーメーカーは存在意義を失ってしまい、それは同時に顧客が離れてゆくことをも意味しており、各スポーツカーメーカーが排他性を維持するために見出した活路が「サーキット走行専用車」なのかもしれません。

もちろん、こういったクルマを購入できる人は金銭的にも環境的にも「ごく一部」であり、しかしブガッティ・ボリードのように「ぶっちぎりのスペック」を持つクルマを(サーキット走行専用であっても)投入することは、結果的に大きくブランドイメージを向上させることになるのだと思われます。

そして「サーキット走行専用」という免罪符によって「パワー」「サウンド」が社会的にも許容されることになり、よってここがスーパーカーメーカーの「新たに生きる道」なのでしょうね。

ただ、各スポーツカーメーカーがここに参入してくると一気に(小さな)市場は過密になってしまい、よってサーキット走行者ばかりに注力するわけにもゆかず、本業の「市販車」、かつ今後は「電動車」にも力を入れることになりそうですが、その市販車の販売を有利にするためにも「サーキット走行専用車」が必要だったり、ニュルブルクリンクにおけるタイムが重要となってくるのかも。

そう考えると、これからのニュルブルクリンクのタイムについて、「サーキット走行専用(つまり制限無し)」セグメントの争いが熱くなるの可能性もありそうです。

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