| ただしこの性能を考慮すると、ブガッティ・ボライドの価格設定は高くない |
さらに5億2000万円はブガッティの中ではそこまで高い方でもない
ブガッティがサーキット走行専用のハイパーカー「ボライド」を発売するとアナウンス。
このボライドは出力1850馬力、車体重量1240kgという「パワーウエイトレシオ”1”をアッサリ下回った」クルマで、時速500キロの実現も可能だとされるハイパーカー。
ただし2020年10月の発表当時は「ヴィジョン・グランツーリスモのように、仮想世界だけに存在するデジタルカーではないか」と言われたものの、後日ブガッティは実車を公開してこの仮設を覆しています(実際に性能まで再現されているかどうかはわからない)。
なお、今回発表された「5億2000万円」という金額を聞くと「うっ」となりますが、ブガッティはこのほかにも20億円のラ・ヴォワチュール・ノワール、10億円のチェントディエチなどを販売しているので、5億2000万円でも「さほど」高額な部類ではないというのが驚きですね。
まさか本当にボライド発売されるとは
このボライド発売のウワサは数日前から流れていたものの、今回「まさか」の発売決定となっており、ブガッティのステファン・ヴィンケルマンCEOは「昨年の発表時、ボライドは非常に多くの人々の関心を集めました。その発表後、多くの愛好家やコレクターの方々から、実験的なボライドを市販車として開発してほしいという要望をいただき、世界中のお客様からの反応やフィードバックには、本当に驚かされました」とコメント。
つまりは発表後の反響に後押しされての発売ということになりそうですが、市販モデルのボライドもやはりはエクストリームなエアロパーツ、ルーフに取り付けられたエアインテーク、極度に低いシートポジションを持っています。
ただ残念なのは110オクタンのレース用燃料にて1850馬力を発生するエンジンは搭載されず、代わりに積まれるのは世界的に普及している98RONガスを用いて1600馬力を絞り出すチェントディエチと同じユニットです。
しかし、ブガッティによると、「レーストラック(サーキット)で使用するために毎分の回転数を上げ、吸排気システムと並行して、さらに速く、よりアクティブな反応を示すようにチューニングがなされている 」とのこと。
ボライドはサーキット走行専用なので、環境規制を考慮せずに「1,850馬力」を実現できそうではありますが、それでも1,600馬力にとどまるのは、この「1,600馬力」が安全性を考慮したギリギリだからなのかもしれませんね(重量を極端に削れなかったのも、同じく安全性や信頼性が理由なのかもしれない)。
ブガッティ・ボライドの車体設計はFIA基準
なお、ブガッティ・ボライドはFIAの国際的な安全基準に準拠するように設計され、つまり、HANSシステム対応、自動消火装置、燃料ブラダーを使った圧力式給油、セントラルホイールロック、6点式ハーネス等を備えます。
その結果、量産型ボライドの重量は1,240kg(2,733ポンド)の車体に210kg(463ポンド)を加えた合計1,450kg(3,196ポンド)となり、これは、1PSあたりの重量比が0.9kgであることを意味します(ただ、コンセプトモデルの1PSあたりの重量比が0.67kgだったため、出力同様にちょっと残念)。
加えてブガッティは「お客様の安全を常に最優先に考え、常に安全な環境を確保し、ボライドの息を呑むようなパフォーマンスを徐々に紹介してゆくために、このエクストリームな車両のためのエクスクルーシブなサーキット走行を提供することを決定しました」ともコメントしており、つまりメディアや限られたVIP顧客のみを対象にしたイベントが開催されるということになりそう。
ボライドの納車は2024年を予定し、価格は400万ユーロ(日本円で約5億2000万円)となっています。
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サーキット走行専用ハイパーカーは成長カテゴリ?
ちなみに「サーキット走行専用」ハイパーカーの市場はけっこう成長しているようで、最近だとアストンマーティンAMR Pro、ランボルギーニ・エッセンツァSCV12、パガーニ・ウアイラRといったクルマも。
ぼくら一般人からすると「サーキットしか走れないクルマに何億も出すのか・・・」という感じですが、これだけたくさんのサーキット走行専用車が発売されるところを見るに、相当に需要があると考えて良さそうです。
さらに、こういったサーキット走行専用モデルの最近の特徴として「レギュレーションに縛られない」という性質があり、たとえばGT2やGT3といったFIAの規定するカテゴリ、そしてそのレギュレーションに準拠したものではなく、そもそもレースに出場することを前提とせず、レギュレーションによって抑えられなければどれくらい速く走れるようになるのかという可能性を追求する傾向がある模様(一昔前だと、サーキット走行専用モデルといえばレースに出るためのクルマだった)。※それだけ近年のレーシングカーがレギュレーションによって抑圧されているということなのかもしれない。ボライドもFIAの定める「安全性」に準拠してはいるが、特定カテゴリの規約に基づいているわけではないようだ
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おそらくボライドは並み居る「サーキット走行専用モデル」の中でも最強?
パワーダウンしたといえど、今回発表された数字を見るにこのブガッティ・ボライドは数ある「サーキット走行専用モデル」の中でも最強。
8リッターW16クワッドターボエンジンが発する1600馬力という出力、それに対して1450kgという軽量性は大きな武器となり、実際にブガッティは「ボライドは、ニュルブルクリンクを5分23秒1で走行できる」とも。※FIAの定める装備を外せば、さらに210kgもしくはそれに近い範囲で軽量化できると考えられる
もちろん現段階ではシミュレーション上の数字にしかすぎませんが、これが実現できればポルシェ919ハイブリッドEVOの5:19.546に続く速さということになりますね(ボライドをもってしてもポルシェ919ハイブリッドを抜くことが難しいのもまた驚き)。
なお、このブガッティ・ボライドに対抗できそうな車といえばアストンマーティン・ヴァルキリーAMR Proくらいだと思いますが、こちらは今のところスペック未確定。
おそらくこちらは1200馬力くらい、車体重量1000キロ以下となりそうで、パワーウエイトレシオではブガッティ・ボライドとドッコイとなりそうですが、しかしボライドの圧倒的なパワーの前にひれ伏すことになるのかもしれません。
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参照:Bugatti