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ロールス・ロイスCEO「スペクターを購入した顧客がクルマを転売した場合、即ブラックリストに入り、それで終わりだ。その顧客にクルマを売ることは二度とない」

2023/07/13

ロールス・ロイスCEO「スペクターを購入した顧客がクルマを転売した場合、即ブラックリストに入り、それで終わりだ。その顧客にクルマを売ることは二度とない」

| 高級車メーカーにとって最も重要なのは「ブランドイメージを守ること」である |

そのためロールス・ロイスは「スペクターを販売する顧客を慎重に選定」

さて、ロールス・ロイスは初のピュアエレクトリックカー「スペクター」を発表しており、現在はその試乗会や発表会を世界中にて開催しているといった状況です。

そして今回、カリフォルニアにて開催されたスペクターの発表会にて、同社CEOであるトルステン・ミュラー=エトベッシュ氏が「利益を得るためにスペクターを転売した購入者は、二度とロールス製品を購入することを禁じられる」とコメントしたもよう。

なお、これはディーラーに対して発せられたメッセージであり、となるとディーラーに対し「スペクターを販売した顧客には、くれぐれも転売しないようにクギを刺しておくように」「顧客からスペクターを買い取り、高額で転売しないように」というお達しを出したということなのかもしれません。

ロールス・ロイスは販売する顧客を「厳選」

さらにトルステン・ミュラー=エトベッシュCEOが「スペクターの購入者は綿密に審査され、ロールス・ロイスにふさわしいと考える人物であることが確認された場合にのみ販売される」と言及したとも報じられ、「もし購入者がクルマを売却した場合、彼らは即座にブラックリストに載ることになり、それで終わりとなるでしょう」。

ただ、ロールス・ロイスのこういった発言にもかかわらず、すでにスペクターの「枠」を販売するエキゾチックディーラーが存在するといい、スーパーカーやハイパーカー、クラシックカーの販売で有名なトム・ハートレーもその一つ。

同社はすでに「2台の」ロールス・ロイス・スペクターを”発売後2週間以内に”(個人客から)買い取り、それぞれを5万ポンド(約9000万円)で販売すると公言していする、と報じられています。

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そしてトム・ハートレーは「我々は、すでに顧客から2台のスペクターを購入することに同意しています。自動車メーカー(ロールス・ロイス)が、高額な代金を支払ってクルマを購入した顧客に対し、そのクルマをどう扱うか指示するのはフェアではないと考えています。間違っていると言ってもいいでしょう。なぜならその顧客は経済的な問題など、売却しなければならない理由があるのかもしれないからです」。

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要は、「買ったクルマをどうしようが顧客の自由であり、自動車メーカーが口を挟む問題ではない」ということで、おそらくはこれが法的に正しいのだと思われます。

その一方、ロールス・ロイスはそのブランドイメージを守らねばならず、「すぐに(お金のために)転売されるクルマ」というイメージを持たれないようにする必要があり、そしてそういった状況が発生したとしても「放置する会社」と思われないようにする必要があるわけですね。

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転売対策については自動車メーカー各社も苦労している

そしてこういった「転売問題」は近年大きくクローズアップされており、高級車や限定スーパーカーのみではなく、トヨタ・ランドクルーザーといったクルマにも波及しています。

トヨタ・ランドクルーザーの場合は「転売したらもうトヨタディーラーでクルマを買えなくなる可能性」をしたためた文書にサインする必要があると言われており(ディーラーによって内容が異なる)、しかしこれに法的拘束力はなく、よってその顧客が「今後トヨタ車を買わない」と思えばすぐにランクルを転売してもなんら問題はない、ということに。

そのほかアストンマーティンは(これもディーラーによって)購入後数ヶ月は所有権移転をしてはならないということ、もし転売すれば違約金を支払う必要があることなどを記載した契約書にサインをしないといけないそうですが、これも弁護士を立てると無効扱いにできるといい、よって決定的な拘束力はないのかも。

他に聞いた話だと「ローンでしか販売せず」、所有権をディーラーにする場合もあるといいますが、これは消費者にとっては金利などの負担があり、かつ「名義を自分のものにできない」ということで反感を買うのかもしれません。

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よって、自動車メーカーが「顧客を購入した転売させない」ようにすることは非常に難しく、であれば「転売しない人に売るしかない」ということになり、その判断はこれまでの購入履歴や、購入したクルマの所有歴をもとに判断することになるものと考えられます。

実際のところフェラーリやマクラーレンなど一部スーパーカーメーカーでは「どれだけ購入したか」に加え、「どれくらい長く保有しているか」という要素を重視して限定モデルの購入者を決定していると言われるので、とにかく「買ったら売らない」ということが”自動車メーカーから愛される”条件のひとつということになりそうです。

参考までにですが、スペクター購入者の40%は「はじめてロールス・ロイスを購入する人」だとされ、となるとロールス・ロイスは「それまでの自社のクルマの購入履歴」を調査することはできず、よって他の方法にてその顧客の(転売に対する)信用度を図っているということになるのかも。

さらには「販売した車両を下品に改造される」ことも大きくブランド価値を下げることになりかねず、高級車ブランドにとってはこれも阻止せねばならない事象のひとつだとも考えられます。

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さらに参考までに、腕時計の世界でもこういった「転売対策」が取られていて、たとえばパテック フィリップだと「保証期間中に、新品で購入した腕時計を売却すると」もう二度と腕時計を売ってもらえなくなるといい、そして(ヴィンテージモデルではなく)現行モデルを中古で購入した場合も「新品を購入する権利を剥奪される」というので、パテック・フィリップは「転売された腕時計を購入する側」に対してもペナルティを課しているということになりますね。

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参照:CARBUSS

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