| 公開のタイミングがあまりに不運だった”TTオープンスカイ・コンセプト” |
先日、アウディCEOによって引導を渡されてしまったアウディTT。
残念ながら販売台数減少に加え、そしてアウディ自身が「スポーツカーには注力しない」という方針のために現行モデルをもって生産が終了されることになります。
ただしアウディCEOも「アウディのイメージを変えたというTTの功績」を認めており、実際にTTが果たした役割は大きく、それはほかのどのモデルでもできなかったことだろう、と考えています。
アウディはTTをサブブランド化したかったようだ
なお「TT」として最初に世に出たのは1995年のコンセプトカー。
その後クーペ/ロードスター両方のボディ形状にて、初代TTが発売されています。
さらにその後、TTについては様々なコンセプトカーが作られ、4ドアの「TTスポーツバック・コンセプト」や、
「TTオフロード・コンセプト」といったクルマも登場。
おそらくアウディはバリエーション展開によって「TTをひとつのサブブランドに育てたい」意向があったのだと思われます。
アウディTTオープンスカイ・コンセプトが脚光を浴びることはなかった
そしてこれらよりも前に、初代TTをベースに製作されたのが「TTオープンスカイ・コンセプト( TT Open Sky concept )」。
これは2001年のフランクフルト・モーターショーにて発表されたコンセプトカーですが、その数日前にアメリカ同時多発テロが起きてしまい、世界は「モーターショーどころじゃない」という雰囲気の中、すっかり忘れ去られてしまったコンセプトカーです。
このTTオープンスカイ・コンセプトはいわゆる「タルガトップ」。
二枚のルーフパネル(FRP製)を取り外すとオープンモデルになる、という構造ですね。
なお、アウディTTには「クーペ」と「オープン(ロードスター)」とが存在するので、この「タルガ」はその中間ということになりますが、このコンセプトカーはアウディによるものではなく、製造を請け負う「マグナ・シュタイヤー」が製作したもの(新型トヨタ・スープラやメルセデス・ベンツGクラスを製造していて、車両の開発能力もある)。
こんな感じでルーフを片側づつ取り外してゆくことになり、女性モデルを起用しているのは「軽さ」をアピールするためだと思われます。
そして外したルーフはリアトランクスペースに収納可能。
なお、欧州ではけっこうタルガトップの人気があるようですが、タルガトップの利点は「開閉機構を持たないので(911は電動開閉式ですが)車体が軽量に仕上がる」「やはり開閉機構を持たないので、ルーフを閉じていればトランクスペースが犠牲にならない」「ソフトトップに比較すると安全性や防犯性が高い」ということになるかと思われます。
このTTオープンスカイについては、発表時期が悪く注目を浴びるには至らなかったものの、もしも同時多発テロが発生せず、モーターショーでも一定の反響を得ていたならば、実際に市販化されていた可能性があったのかもしれませんね。
VIA:Motor1