| それでもポルシェはタイカンに最大規模の投資を行っている |
ポルシェが「来週月曜日からタイカンの生産を行う」と発表。
もともとタイカンは「ミッションEコンセプト」として2015年のフランクフルト・モーターショーにてデビューしたクルマの市販モデルであり、そこから4年を経ての生産開始、ということになりますね。
ただ、実際にデビューした市販バージョンのタイカン「ほぼ(ドアを除いて)ミッションEコンセプトのまんまだったので、ミッションEコンセプト登場時にはおおよその完成状態が予想できていたものと思われます。
ポルシェはタイカンに大きな期待を寄せている
なお、発表されたタイカンのグレードはまず「タイカン・ターボ」と「タイカン・ターボS」。
つまり上の方から発表してきたということになりますが、追って「タイカンS」、ベースグレードの「タイカンS」が追加されるものと思われます。
なお、「タイカン」というネーミングは、ポルシェによれば「生気あふれる若馬」を意味し、正解各国で覚えやすい語感をイメージ。
日本語だと「体感」の意味もある、としています。
そして各部のデザインはポルシェのこれまでのモデルとは異なる部分も多く、ポルシェのチーフデザイナー、ミヒャエル・マウアー氏によれば「空冷から水冷時代に移行したときのように、ガソリンからエレクトリックへの移行はヘッドライトで表現する」。
タイカンの生産は2019年9月9日から
そして今回ポルシェは9月9日からタイカンの生産を開始すると発表し、そのロケーションはツェッフェンハウゼンにある新しい工場にて。
ポルシェはタイカンを生産する新工場について「環境負荷ゼロ」を謳っており、再利用可能なエネルギーやバイオガスの使用、物流に使用する車両にもエレクトリックカーを使用するというこだわりよう。
なお、この工場の建設には4年をかけたといい、つまり逆算すると2015年にミッションEコンセプトを発表した際には着工していた、ということになるのかもしれません。
ここでふと思い出すのはBMW「i」。
「i」ブランドは鳴り物入りでデビューしたエレクトリックブランドで、今回のタイカン同様、工場は全く新しく建設した「カーボンフリー」ファクトリー(しかもドイツとアメリカに建設)。
風力発電や水力発電を利用し、そこで使用するエネルギーも「クリーン」を謳うなど、とことん環境に配慮していることが特徴です。
当初発売されたi3とi8は、両方ともカーボン製のモノコックシャシーを持っており、カーボンファイバー自体は日本で生産され、その後アメリカに運ばれて整形され、さらにドイツに運ばれて組み立てられるというプロセスを採用していますが、御存知の通り量販モデルの「i3」は成功したとはいいがたく、環境に与えるインパクトは小さくとも、BMWに与えたネガティブインパクトは限りなく大きかったんじゃないかとも考えています。
もちろん販売台数が予想を下回っている異常工場の設備も遊んだ状態となっているはずで、BMWはiブランドの立ち上げについてはミニマムスタートにすべきだったと後悔しているのかも。
それを鑑みるに、ポルシェもこの「iブランド」の二の舞になりはしないかと懸念してしまうわけですが、おそらくそれをもっとも心配しているのはポルシェ自身だと思われ、タイカンだけはなんとしても「外せない」と認識しているのでしょうね。
もちろんタイカンが失敗すれば、今進めている市販車のエレクトリック計画、フォーミュラE計画についても大きな狂いが出ることになり、それだけはなんとして避けたいのかもしれません。