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新型ポルシェ911ターボSはなぜ先代比で70馬力もパワーアップできたのか?ポルシェ自らその秘密を語る

2020/03/15

| 加給がかかってからの加速は”驚異的”だ |

さて、ポルシェは先日新型911ターボS(992世代)を発表したところですが、これは991世代の911ターボSの580馬力に比較して一気に650馬力、つまり70馬力もアップしています。
この出力は911ターボ史上最高であるのみではなく、出力向上幅も「911ターボ史上最高」。

なお、エンジン排気量は3.8リッターのままなので先代と変わらず、しかしどうやってこの出力向上を成しとげたのかについて、今回Road & Track Magazineが報じています。

ポルシェは燃費性能の向上がないパワーアップを行わない

単にパワーアップを追求するだけであればさほど難しいことではなく、ガソリンエンジンの場合は排気量を上げたり高回転化を行ったりといった手法を採用することで出力向上を期待できるものの、そういった手法では「燃費やCO2排出量」などの環境性能を大きく落とすことになり、これは現代ではまず許されない方法。
実際にランボルギーニは現在の流れだと「パワーアップどころかパワー維持も難しい」と語っているほどです。

ランボルギーニ「V12自然吸気エンジンを今後の環境規制に適応させることは可能だ。だが、そのためのパワーダウンはあまりに大きい」。これからは「パワーを維持」することも困難な時代に

加えて、ポルシェはずっと前から「燃費向上のないパワーアップは行わない」とも主張していて、つまり出力向上は単純な方法で行うのではなく、技術的なブレイクスルーとともにあるべきだと考えているのでしょうね。

今回報じられた内容だと、ポルシェ911シリーズのチーフエンジニア、フランク・シュテファン・ウォリーザー博士の言として「エンジンをショートストローク化し、圧縮比を9.8:1から8.7:1へと下げた」。
これの意味するところは、おそらく高い圧力を持つ排気をタービンに回し、より過給圧を上げたということだと思われますが、ターボエンジンの特製を最大限に生かした改良だと言えそうです。

さらにフランク・シュテファン・ウォリーザー博士いわく、「20〜30馬力程度のパワーアップだとほぼ体感できないが、70馬力も違うとそのフィーリングはまったく異なる」。
さらにブーストがかかった後の911ターボSの加速は「凄まじい」とも語っていて、実際に0−100km/h加速についてこれまでの2.9秒から2.7秒へと向上したことでもそれは伺い知れます。

現在のところ0−100km/h加速2.7秒を達成できるガソリンエンジン搭載車は(ブガッティ・シロンの2.5秒を除くと)このポルシェ911ターボSとマクラーレン765LTしかなく(フェラーリ488ピスタは2.75秒)、まさにひとつの壁を突破したと言えそうですね。

ちなみにぼくは一度だけ991世代のポルシェ911ターボで「踏んだ」ことがありますが、その加速たるやまさに異次元。
リアエンジンというトラクションの掛かりやすいレイアウトに加えて4WD、そして加給が始まってからの加速感はどのスポーツカーとも比較のしようがなく、加速「感」で言えば世界最速じゃないかとも考えています(マクラーレン720Sはその次くらい)。

VIA: Road & Track

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