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ポルシェが「どうやって2代目カイエンをより軽く、よりスポーティーな、ポルシェらしいクルマ」に仕上げたのかを語る!初代のヒットによって様々な自由度が創出されたもよう

2022/09/10

ポルシェが「どうやって2代目カイエンをより軽く、よりスポーティーな、ポルシェらしいクルマ」に仕上げたのかを語る!初代のヒットによって様々な自由度が創出されたもよう

| カイエンのヒットは、ポルシェの他モデルだけではなく、カイエン自身をも助けることに |

そのモデルをより良く、そしてより明確なキャラクターを持つクルマに仕立て上げてゆくのはポルシェの常でもある

さて、ポルシェ・カイエンが誕生20周年を迎えるにあたり、ポルシェは続々とカイエンに関する開発秘話など”知られざる側面”にスポットライトを当てたコンテンツを公開。

今回は2005年に開発が開始された2代目カイエンを掘り下げており、まず開発にあたってもっとも大きな変更を与えたのは「デザインとドライブトレイン」なのだそう。

ちなみに初代カイエンは当時ポルシェにてチーフデザイナーを務めていたハーム・ラガーイ氏の作品であるものの、2代目カイエンは2004年にチーフデザイナーに就任したマイケル・マウアー氏によって形作られることに。

ポルシェのデザイナーはこんな人物。スキーのインストラクターとしての経歴を持ち、ベンツ出身

| ポルシェがそのデザイナーを紹介するコンテンツを公開 | ポルシェが公式コンテンツとして、同社のデザイナー、マイケル・マウアー氏(ポルシェの表記ではミヒャエル・マウアー氏)を紹介するコンテンツを公開 ...

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ただしデザイン上の制約は小さくはない

ただ、2代目カイエンも初代同様、フォルクスワーゲン・トゥアレグとプラットフォームを共有するという性質上、デザイン的な制約から逃れることはできず、具体的に言うと「同じドアを使用しなければならなかった」など。

しかしながら初代カイエンのヒットによって予算と自由度は「先代よりは大きく」、少しだけではあるものの自由な発想も可能になったといいます。

そして「自由」となった部分については積極的に手を入れることになりますが、ドアはそのままにウィンドウを変更することでドアミラーがウィンドウコーナーからドアショルダーに移動し、よりダイナミックな外観となったほか、Aピラーにクォーターライトを追加するスペースが確保されています。


リアでは、サイドウィンドウがドアの後方に引き込まれ、カイエンのルーフスポイラーはさらに後方に伸び、テールライトは少し高い位置に移動し、Dピラーはより傾斜することに。

結果としてウィンドウの形状は伸びやかになり、ポルシェが”フライライン”呼ぶルーフラインは後方に向かって傾斜を持つようになりますが、マイケル・マウアー氏によると「これにより、カイエンは静止しているときでも速く見えるようになった」。

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カイエンの革新的なインテリアはこうやって誕生した

さらにポルシェのデザイナーは、インテリアにも多くの変更を加える自由も与えられ、「着座位置も(トゥアレグとは)まったく違うものになりました」とはマイケル・マウアー氏の弁。

同氏は続けて「E2(二代目カイエン)では、クルマの上に座るのではなく、クルマの中に座るのです。これはE1との決定的な違いです」と語り、2代目カイエンの内装は、ポルシェのブランドアイデンティティをより色濃く反映したデザインとなっています。

なお、スイッチがずらりと並ぶセンターコンソールは2009年に発売されたパナメーラをベースとしており、メーターはトゥアレグとは全く異なる(タコメーターを中心に配置する)ポルシェ専用へ。

ステアリングホイールは911から流用を受けたもので、「911とカイエンをガレージに置いているお客様にとって、かつてのような断絶はもはや存在しない」よう配慮されることに。

そう考えると、初代カイエンではいかに制約が多く、フォルクスワーゲンとの共通パーツが多かったかを伺うことができますが、「投入したモデルをヒットさせ、そこから得た資金によってさらに優れたモデルに仕上げてゆく」ことはもちろん、「モデルチェンジの都度、他モデルとの差異を拡大し、そのモデルごとの独自性を強める」のはポルシェの一つの特徴だと思います。

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機能面においても二代目カイエンは大きく進化

そして機能面においても二代目カイエンは大きく進化しており、プロジェクトマネージャーを務めるオリバー・ラクア氏によれば「電子制御システムのさらなる開発において、私たちは制御の質とスピードの面で大きな前進を遂げました。その結果、新設計のE2ではトランスファーケースや低速ギアがなくてもE1と同等のオフロード性能を発揮できるようになり、大幅な軽量化を実現できたのです」。

さらには8速ティプトロニックが初めて採用され、ポルシェ・トラクション・マネージメント(PTM)付きの新しい制御を持つハングオン全輪駆動との組み合わせにより、新型カイエンは電子制御によって路上での俊敏性とオフロードでの信頼性を獲得することになりますが、新しいPTMは、フロントアクスルのカルダンシャフトを軽量化し、アクスルドライブの軽量化も可能にしたほか、上述の通りトランスファーケースを排除したこととあわせ、二代目カイエンでは(ドライブトレインだけで)33kgものダイエットに成功しています。

二代目カイエンでは効率化が大きなテーマとして掲げられたそうで、ボディでは111kgの軽量化を達成したほか、テールゲート(アルミ製)とドアだだと39kgの軽量化を実現しており、このテールゲートは初代カイエンの「半分の重量」しか無いのだそう。

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これら軽量化と相まって、サーマルマネジメント、可変減速燃料カット、スタート/ストップ機能によって燃費が大きく向上し、エントリーモデル同士だと燃費が20%も向上した、とも紹介されています。

なお、「燃費」といえばハイブリッドモデルが登場したのものこの世代のカイエンの特徴のひとつであり、ハイブリッドモデルに採用されていたパワフルなパラレルフルハイブリッドシステムは、当時ほとんどのライバルが採用していたしていたパワースプリット式フルハイブリッドよりもフレキシブルで効率的だったとされ、ピュアエレクトリックモードで時速60kmまで走行することができたほか、ブースト、エネルギー回生、コースティングにより、スポーティかつ効率的なドライビングを可能にした、とのこと。

このほか多くの派生モデルと投入することにより、第2世代のカイエンは初代に比較し535,903台という”初代に比較して約2倍の”台数を生産することとなっていますが、ハイブリッドモデルしかり、ハイパフォーマンスモデルしかり、現代のカイエンの礎になったのがこの第2世代のカイエンということになりそうですね。

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参照:Porsche

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