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ポルシェのル・マン用レーシングカー、「963」を走らせるには30ページものマニュアルを読まなくてはならない!ドライバーがステアリングホイールの機能を解説

2022/12/17

ポルシェのル・マン用レーシングカー、「963」を走らせるには30ページものマニュアルを読まなくてはならない!ドライバーがステアリングホイールの機能を解説

| レーシングカーのステアリングホイールはどんどん複雑に |

「複雑」になるのはハイブリッドシステムの操作に由来するようだ

さて、ポルシェは2023年シーズンの耐久レース、そしてル・マン24時間レースを走るレーシングカー「963レーシングプロトタイプ」を公開していますが、今回はポルシェのモータースポーツ部門に属するデーン・キャメロン選手がそのステアリングホイールの機能について紹介する動画が公開に。

これによると、このステアリングホイールは単に前輪の角度を操作したりシフトチェンジを行うためだけのものではなく、様々なスイッチ類が装着され、ハイブリッドエネルギー回収システムの調整などを行うための機能が内蔵されています。

なお、こういったレーシングカーのステアリングホイールの複雑化はF1マシンも同様で、F1の場合は(マシン全体への対応も含め)ドライバーがこれに慣れるには2年ほどかかる、ともいう話もあるもよう。

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参考【動画】解説しよう。F1に装着されるステアリングホイールのスイッチはこういった役割を持っている

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ポルシェ963を走らせるには30ページものマニュアルを読破しなければならない

このポルシェ963は、680ps/10,000rpmを発生する4.6リッターV8ツインターボ・エンジンとハイブリッドシステムを持ちますが、ブレーキング時に後輪のエネルギーを回収して電力を回生し、加速時には7速ギアボックスを通じてそのパワーを解き放ちます。

そしてそのパワー特製についてはステアリングホイール経由にて設定・変更を行うそうで、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ部長のジョナサン・ディグイド氏によると「私たちのドライバーが読まなくてはならないマニュアルは30ページ以上あります。彼らがもしそれを読んでいなければ、それはすぐに車両の操作に現れるので、それとわかります。1つのロータリーノブであっても何段階もの調整が可能なスイッチや、色や記号、数字や文字、アルファベットもあります。彼らがすべてを理解することが重要なのです」。

よく映画などで、NASAの宇宙飛行士や空軍パイロットが読破しなければならないマニュアルがドカっと登場したりしますが、まさにそういった感じなのかもしれませんね。

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デーン・キャメロン選手はカリフォルニア州ニューポートビーチ出身のレーシングドライバーで、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの総合優勝を2回(コルベットで1回、アキュラで1回)、GTDクラスではBMWで優勝した経験を持っています。

今回、同選手は、ル・マン24時間レースで19回、デイトナ24時間レースでも18回の総合優勝を誇るポルシェに”トップクラスの栄光を取り戻すべく”ヘッドハンティングされたそうですが、今回の動画ではヘッドライトの点灯スイッチやバッテリー再充電のための「シークレットソース」パドルなど、ホイール裏面のギアシフトやクラッチパドルについて説明した後、フロント側のノブやスイッチについても説明してくれることに。

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「ご覧のとおり、多くのダイヤル、ボタン、サムホイールでさまざまな機能を制御しており、非常に複雑です。トラクションコントロールは、ウェット、ドライ、ローグリップの各コンディションで調整可能で、ホイール上部のボタンでそのソフトウェアをコントロールします。画面には、メッセージ、ラップタイム、ギアポジションなど、重要な機能が表示され、とても美しいカラーディスプレイです。スクリーンを通じて、すべてのツールを使うことができるので、何をしているのかわからなくなることはありません」。

そしてくだんのマニュアルについて、「初期の段階では、マニュアルは非常によく管理されていました。でも、最近は更新が早くて、しばらく新しいバージョンが送られてこないんです。というのも、マシンの複雑なシステムのアップデートにより頻繁に変更されるからで、マニュアルはそれに追いつかないのです。ただし最初のレースが近づくにつれて、また状況は安定してきました。本当に感覚をつかんで、いろいろと調べて、必要なスイッチや探しているエフェクトをすべて覚えました。もし迷ったら、無線でエンジニアに "どのスイッチに行けばいい?"と聞けばいいだけです」。

加えて「エンジニアでさえ、時にはパワートレイン・システムの担当者に答えを求めなければならない。まだ時間がかかるし、ホイールのスロットもいくつか残っているので、何が入るかはまだわからない。でも、すぐにわかるはずです」とも。

このポルシェ963は1月末にフロリダ州で開催されるロレックス・デイトナ24時間レースでデビューし、その後IMSAスポーツカーイベントや世界的なFIA世界耐久選手権(6月のル・マン24時間レースを含む)で世界中をまたにかけることになりますが、その戦績には期待したいところですね。

ポルシェ963のステアリングホイールについて解説する動画はこちら

こちらは992型の911GT3 Rのステアリングホイール(963に比較するとかなり簡素に見える)。

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参照:Motor1

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