利益は伸ばさねばならないが、販売台数を伸ばすと希少性が損なわれるというジレンマ
カーメディア、CarAdviceの報じたところでは、ランボルギーニCEO、ステファノ・ドメニカリ氏が「2020年には販売台数を8000台に制限する」とのこと。
このうち4000台はウルスということになり、残りの2/3はウラカンシリーズ、1/3はアヴェンタドールシリーズという構成になるようですね。
なお、スーパーカー市場は拡大しているとは言えども競合が多く、かつ「いつかは縮小に転じる」マーケット。
そこで「売れるから」といってバンバン数を売っていると、どこかで供給過多となり、その相場が崩れ、それがブランド価値の低下を招く可能性も(中古が安売りされるようなブランドは誰も買わなくなる)。
よってランボルギーニは(ウルスを除く)スーパーカーセグメントにおいては年間3500台を販売の上限にする、と以前にも語ったことがありますね。※今回の報道だと、上限が引き上げられている
ちなみにマクラーレンのほうでは「6000台」というコメントを出しており、もちろんフェラーリはずいぶん前から生産台数を絞っています(それでも需要が強い。現在のところ年間1万台がここ数年における上限の到達点)。
スーパーカーメーカーが利益を伸ばすのは難しい
通常の営利企業であれば、販売台数を増加させることで利益を増加させることが至上命題になると思われるものの、ランボルギーニ、フェラーリ、マクラーレンといったブランドは「販売台数を抑えながらも利益を増加させねばならい」という矛盾を内包しているわけで、ここが「難しい」ところ。
じゃあ商品(クルマ)の単価を上げればいいかというとそういった話でもなく、これはやはりエキゾチックカーといえども「コストパフォーマンス」が関係するため、他社とかけ離れたプライシングを行うのはちょっと無理があるかも。
となるとあとは極端に数量を絞った、そして排他性とコレクション性のある限定モデルを発売して利益を稼ぐことになり、これはアストンマーティンやマクラーレンが積極的に展開中(マクラーレンだとアルティメットシリーズ、アストンマーティンだとザガートシリーズなど)。
そのほか富裕層向けのワンオフモデル制作(これはフェラーリが注力。アストンマーティンも追随)、通常販売モデルのオプション販売による利益増加(ランボルギーニだとアドペルソナム、マクラーレンはMSO、フェラーリはテーラーメイド、アストンマーティンは”Q”)といった手段もありますね。
加えてグッズ(ランボルギーニストアやフェラーリストア)、フェラーリの場合はライセンス契約による収入といった感じで多種多様な方法が見られ、こうやって見るとスーパーカービジネスは「(バッグやファッションのような)ブランドビジネスと同じ」と言えるのかもしれません。
ただ、こういった展開は「ブランド価値ありき」であって、グッズを発売すれば売れるというものではなく、あくまでも「本業」での高いブランド価値を誇ってこそということになり、スーパーカーメーカーは「いくつもの戦略を同時に進めねばならない」ことになり、相当な経営手腕が求められるのは間違いなさそう。
ランボルギーニは上述の通りウルスにおいて相当数の販売を見込むことになりますが、その「一台あたり」利益を拡大すべく、ウルスには相当数のオプションを用意しているようですね。