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フェラーリがEV時代の室内温度管理システムにかかる特許を出願!「フレームを熱源として暖房にかかる電力を少しでも節約する」。各社とも冷暖房には苦労しているようだ

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| EVの設計はガソリン車とは全く異なる考え方が必要となり、すべての構造や制御を統合せねばもっとも効率の良い状態を作り出せない |

そしてこれからのEVは加速度的に航続距離が伸びてゆくことになりそうだ

さて、フェラーリはこれまでにも多数の特許を出願していますが、今回はEVに関する特許で、かつ「EVにおいていかに効率よく室内の温度を管理するか」というパテントを届け出たことが明らかに。

これは米国特許商標庁に提出されたもので、フェラーリの電気自動車において、最小限のエネルギーで車内温度を管理するための複数の方法が示されています。

なお、電気自動車における「暖房」はひとつの大きな課題でもあり、というのもEVはガソリン車のように「熱源」がなく、室内を暖めるには熱をあらたに作り出す必要があり、これには多大な電力を消費するため、走行に使用できる電力を奪ってしまう可能性があるわけですね。

ちなみにですが、(EVの)車内のヒーターをフル稼働させると、走行可能距離が最大で41%短くなるという統計もあるほどで、実際にぼくが4年ほどEV(BMW i3)に乗った際の印象もそんな感じです(おまけに、バッテリーの消耗を防ぐためか、温度を高く設定できなかった)。

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フェラーリはこの問題を解決する2つの方法を提案

フェラーリは2025年以降に「初のピュアエレクトリックハイパーカー」を発売するとしていますが、この電気自動車の開発に際し、この問題を解決するために2つの方法を提案しています。

1つ目は家庭用充電器や充電スタンドなどの充電源からエネルギーを引き出す方法について、そしてもう1つはフェラーリのEVが斬新な方法で熱や冷たさを蓄える方法について。

まずは最初の方法を見てみると、これは「車内を事前に暖めたり冷やしたりする」方法について述べています。

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車内の温度調節機構については、他の一般的なEVと同じく電子制御ヒートポンプを使用することになるのですが、この特許の骨子は「充電中に、事前に車内を暖めたり冷やしたりすること」で、つまり乗車を開始してから車内を暖めたり冷やしたりするのではなく(これだとバッテリーを消耗してしまう)、乗車前の充電中に車内を適温に保ち、かつ満充電の状態でスタートすることで車内の温度調整に要する電力を最小限に抑えようという手法です。

つまりこれは物理的に新しい構造を導入するわけではなく、充電とエアコンに関するロジックを変更するという考え方ですね。

フェラーリはこうやって温度を「蓄える」

逆にもう一つの方法は物理的な新しい機構を伴うものであり、この新システムの最大の特徴は「サーマルシンクを追加することで、総合的な空調効率に対応する」。

サーマルシンクとは、熱伝導率の高い媒体の中で熱(または冷たさ)を逃がしたり蓄えたりする方法のことですが、このフェラーリの特許の場合、アルミニウムの中空構造でできたシャーシフレームの中に空気を導く、または貯める構造を採用しており、加熱された空気はこの空気通路を通り、アルミニウム部材に熱を伝え、蓄えることができるという理論です。

このシャーシフレームは外部環境からは隔絶されており、それはもちろん「蓄えられた熱や冷たさを保持するため」で、こちらもやはり出発前にシャシーフレームを予熱しておくことによって車内を暖めるための「輻射熱体」として活用し、バッテリーの消耗を抑えるという方法を採用しています。

この「空気を加熱する」ためのエネルギーは、充電中の充電スタンド経由にて賄われるほか、走行中だと二次的な熱源から供給され、たとえば誘導加熱装置と独立した空気循環用のファン等が発生する熱を利用することになりますが、これらには電力が使われるものの、熱効率の向上がそれを補って余りあるものだと紹介されています。

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この「温度調整フレーム」は外気温が高い場合(車内を冷やす場合)も同様に機能することになり、あらかじめ冷やされた状態を作っておき、その後は通常のキャビンエアクーリングシステム(エアコン)を使ってフレーム内に冷気を循環させて熱気を冷やすそうですが、いわばラジエター同様の構造ということになるのかも。

この技術によって、走行中の車内温度を完璧にコントロールできるわけではないものの、少なくとも(充電器から切り離しての)短距離においては車内の冷暖房を効率的に制御でき、バッテリーの消耗を防ぐことができるのかもしれません。

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なお、フェラーリだけではなく、多くの自動車メーカーが少しでも航続可能距離を伸ばすための努力を行っていて、たとえばフォードは換気システムを使うよりも車体そのものを暖める方が効率的であるという結論に至ったほか、レクサスは赤外線技術が暖房に有効であることを証明しており、こういった「小さな積み重ね」によってEVの航続距離が改善されてゆくのでしょうね(そしてEVはどんどん高価になるとともに、どんどん発売済みの製品の価値が相対的に下がってゆく)。

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参照:CARBUZZ

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