こんなクルマ見たことない！制作費3.5億、アラブ石油王のオーダーによって作られたメルセデス・ベンツ製1,000馬力エンジン搭載、時速341km/hを謳うロテックC1000

｜　実際にグループCレーシングカーを製作していた会社が設計・製造しただけあってなかなかに良くできている　｜

このロテックはのちにパガーニと同じメルセデスAMG製6リッターV12エンジンを積んだ「シリウス」を製造したことも

さて、世の中には様々なワンオフモデルが存在しますが、今回はまったく聞いたことがなかった「ロテックC1000（Lotec C1000）」なるワンオフモデルが中古市場に登場。

なお、このロテックは1969年にカール・ロッターシュミットによって設立されたドイツのレーシングカーコンストラクターで、グループ6やグループCのレーシングカーを製作していたことで知られます。

1975年にはポルシェの改造を行うようになり、後にはメルセデス・ベンツやフェラーリ向けのアフターマーケット用エアロパーツやパフォーマンスパーツの製作を開始しています。

ロテックC1000の製造を依頼したのはアラブの石油王

そしてこのロテックC1000はアラブ首長国連邦の石油王がロテックに対して製作を依頼したクルマだといい、そのときの依頼内容は「世界最速のクルマを作って欲しい」。

開発が開始されたのは1990年で、当時ロテックが製造していたレーシングカー、M1C（1982年のグループCカー）によく似たフロントを持っており、シャシーはカーボンファイバー製、そしてボディパネルもカーボンファイバー製だと紹介されています。

搭載されるのはメルセデス・ベンツ製の5.6リッターV8エンジン（ギャレット製ターボチャージャーを2基備える）、そして出力はその名から想像できるように「1000馬力」。

トランスミッションはヒューランド製5速レース用、そして車体重量はわずか1,080kgに収まっているというので、文字通りレーシングカーのような運動能力を見せたのだと思われます。

なお、スペックは公称値で最高速度431km/h、0−100km/h加速3.2秒、0−200km/h加速は8秒とのことですが、これらの数字はいずれも未検証なのだそう。

ただし製造したのがレーシングカーコンストラクターであること、1,000馬力のエンジンを搭載することを考慮するに、環境さえ許せばこの数字を達成することは困難ではないかもしれません。

このロテックC1000の開発には340万ドル（現在の為替レートだと4億5000万円）を要しており、この巨額を投じて納車されたのは開発開始から5年が経過した1995年。

ただし、それでもマクラーレンF1よりも3年早く「カーボンシャシー、カーボンボディ」を市販車として採用し、かつマクラーレンF1の最高速（386.4km/h）を上回る数字を押し出していることは驚異的だと言ってよいかと思います。

全体的に見て非常に未来的なルックスを持っており、そのデザイン性も非常に高く（アズテックを連想させる）、かつロテックの製造そしてメルセデス・ベンツ製のエンジンということを考慮するに信頼性もなかなかに高そう。※リアウイングのピラーにカメラが埋め込まれるなど、よく考えられた効率的な構造を持っている

この個体はすでに4,145kmを走っているといいますが、現時点でのコンディションについては（要メンテなのか、現状でも走行可能なのか等）言及がなく、価格についても「ASK」となっています。

参考までにですが、ロテックはこのC1000にて市販車ビジネスの可能性を感じたのか、2004年には「シリウス」と名乗る初の量産車を発売しており、こちらに搭載されるのはパガーニ・ゾンダと同じメルセデスAMG製の6リッターV12。

出力はC1000と同じく1,000馬力、しかしチューニング次第では1,400馬力を発生することも可能だとされており、2009年にはアップデート版も発表されています。

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参照：Curated