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フェラーリが自らF40を語る!「高級感など微塵も存在しません」「乗りこなすには昔ながらの技術と筋力が必要です」「極めて静粛性が低く乗り心地が硬いです」

フェラーリF40

| ここまで割り切った設計を持つスーパーカーは世界広しといえど他にないだろう |

スーパーカー史上、フェラーリF40はもっともピュアでアナログな一台でもある

さて、フェラーリF40は「もっとも象徴的なフェラーリ」のひとつであり、多くのメディアやジャーナリストによる解説がなされていますが、今回フェラーリ自らが公式にF40を紐解くコンテンツを公開。

フェラーリF40は1987年7月27日に発表されており、このクルマでもっとも重要なのは「エンツォ・フェラーリが自ら企画し、開発に関わり、承認した最後のスポーツカー」だということで、トータルパフォーマンスを追求するために一切の妥協を許さない設計を持ち、当時におけるエンジニアリングの最高傑作であったことは異論がないと思います。

ポルシェ959とほぼ同時期に発表され、しかし959が「ハイテクマシン」であったのに対し、このフェラーリF40は不要なものをすべて削ぎ落とした「レーシングカー」そのものであり、コンセプト自体が「そのままでもレースに出場できるロードカー」であったこともその性格を端的に表していると思います。

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フェラーリF40がもたらす「走りの興奮」はどのフェラーリにも勝っている

そして今回、フェラーリ自らが述べているのが「価値という面では250GTOが勝り、採用される技術ではエンツォフェラーリのほうが優れ、速さや洗練度そして「性能面においてはSF90ストラダーレのほうが先を行く」。

しかしフェラーリは、このF40について「フェラーリのロードカーの中ではもっともエキサイティングであり、純粋に走りの興奮を求めるならば、どれもF40には太刀打ちできない」と語り、さらに「F40を走らせるには”ドライバーがF40からの多くの要求に答えねばならない”」ものの、その満足感は比類なきものである、とも。

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フェラーリF40が「そのままレースを走ることができる」「エンツォ・フェラーリが手掛けた最後のロードカー」であることにはすでに触れましたが、ここでもう少し掘り下げておくと、フェラーリF40は電子制御を一切持たない(パワステ、ブレーキブースター、ABSでさえも)アナログなスーパーカー。

内装パネルはほとんど、そしてカーペットが全くないという内装を持っており、つまり「ないない尽くし」なクルマではあったものの、そのかわりに備わっていたのが「乗る人に興奮を与える」という、エンツォ・フェラーリが与えた”きわめて特異な使命”。です。

そしてフェラーリは「スポーツカーにとってもっとも重要なのはスペックではなくフィーリング」だとしており、このF40では「ドライバーがどう感じるのか」を徹底的に追求したのだと思われます。

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車体構造はスペースフレームとケブラー製、そしてボディパネルにはカーボンファイバーを採用し、かつ重量を極限まで抑えるために塗装も可能な限り薄く塗られており(その薄さは、カーボンファイバーの凹凸がそのままわかるほどであるという)、その結果としてスーパーカー史上もっとも軽量な1,100kgという車体重量を達成しています。

搭載されていたのは(288GTO譲りの)2.9リッターV8ターボ(478馬力)、トランスミッションはシンクロメッシュレスの競技用ギアボックスもしくはオールシンクロ内蔵の5速マニュアル(ほとんどのオーナーはこちらを選んでいる)。

これらの集合体としてフェラーリF40は時速320キロ(200マイル)の壁を突破した最初のロードカーとなりますが、F40の開発に参加したフェラーリのテストドライバー、ダリオ・ベヌッツィによれば「F40は自身がもっとも誇りに思うフェラーリ」なのだそう。

その理由はやはりスペックではなく「ある種のドラマ」にあるといい、そのドラマは乗車前のファーストコンタクトに始まり、とくに強烈なウェッジシェイプ、そしてエンジンルームを見渡せる透明なエンジンフードといったビジュアル、さらにいざ乗ろうとなるとすると「跨がねばならない」極太のサイドシル、そしてその後に身を沈めることになる低く薄いレーシングシートなど。

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フェラーリF40を乗りこなすには「昔ながらの技術と体力が必要」

さらにF40に乗り込み室内を見渡すと、上述のとおりカーペットはなく、かつ吸音や消音にかかわる構造材も用いられず、ドアインナーパネルはもちろんドアハンドルもなく、ドアを開くには「コードを引っ張るだけ」。

当然パワーウインドウはなく、初期モデルだとレーシングカーよろしくスライド式の小窓、もしくはその後のモデルだと回転式ハンドルによってウインドウを昇降させるのみ。

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加えてアクセル、ブレーキ、クラッチペダルもレーシングカーライクな「金属にドリル加工を施しただけのシンプルで強固なもの」であり、さらに上述の通り「ブレーキブースターもなく」、ブレーキペダルはもちろんアクセル、クラッチも現代の基準からすると驚くほど重いといい、それはフェラーリ自身も「このクルマを乗りこなすには、昔ながらの技術と筋力が必要」と語るほど。

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そしていざ走り出すとドライバーの背後でけたたましいサウンドを発するV8ツインターボエンジン、さらには地面からわずか数インチ(F40の最低地上高は100ミリであるが、おそらくは恐ろしくフロアが薄く、かつ低い位置にシートがマウントされている)という着座位置、さらには当時もっとも優れたレベルにあった制動力や加速力、高いステアリングレスポンスと精度、優れたロードホールディング性能によってF40は至高の体験をドライバーに届けることになりますが、その一方でフェラーリは自ら「F40は快適な旅をするグランドツアラーの役割を果たすことはできません」「極めて静粛性が低く乗り心地が硬いです」「ドライバーに多くのことを要求します」「高級感など微塵も存在しません」とも。

ただしその代償として「常に五感を刺激し、走りの爽快感を最大限に引き出す究極のモデルである」と結んでいます。

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参照:Ferrari

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