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フェラーリは「初のエレクトリックハイパーカー」開発に向けバッテリー内部構造理解のため研究センターを解説。一方自社ではバッテリーパックの製造を行わないもよう

フェラーリは「初のエレクトリックハイパーカー」開発に向けバッテリー内部構造理解のため研究センターを解説。一方自社ではバッテリーパックの製造を行わないもよう

| フェラーリCEOは自動車業界ではなく電子業界出身だけあって「エレクトリック化」には積極的である |

フェラーリはガソリンエンジン至上主義者をも納得させるEVを作らねばならない

さて、フェラーリは2025年後半に「ブランド初の」ピュアエレクトリックハイパーカーを発表する計画を持っており、しかしこれについては「ほとんど何も」情報が公開されていない状態です。

しかしながら初期のプロトタイプが完成し、フェラーリCEO、ベネデット・ビーニャ氏がこれをドライブしたことについては報じられていて、そして今回、(フェラーリが)ボローニャ大学および半導体メーカーNXPセミコンダクターズと設立したバッテリーセルの研究センターにて同氏が行った公演の内容が報じられることに。

フェラーリCEOが同社初のピュアエレクトリックハイパーカー試作車に試乗。「とても気に入った」と語るも「慎重に開発しており発売はまだまだ先」【動画】
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| まだまだ現段階ではフェラーリのピュアエレクトリックカーがどんなクルマになるのかはわかっていない | フェラーリは自社でバッテリーやモーターを組み立てるための施設も建設済み、電動化へと一気に加速 さ ...

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フェラーリはバッテリーの仕組みや構造については理解するが、バッテリーそのものを生産するわけではない

今回ロイターが報じた内容によれば、ベネデット・ヴィーニャ氏は以下のように語っており、エレクトロニクス業界出身の同氏らしい見解を示していますが、ここで明らかにされているのは「フェラーリは自社ではバッテリーを生産せず、サプライヤーを通じて入手する」という事実です。※フェラーリは、2026年までに販売の60%、2030年までに最大80%が電動車両になると予測している

我々のクルマに使用されるバッテリーの生産は、この研究センターを通じて得られるノウハウに基づき、常に外部メーカーを通じて行われます。ただ、外部に生産を委託するからといって、バッテリーセルをブラックボックスとして捉えるわけにはいきません。我々はバッテリーセルを開き、そこに何が入っているのか、その中で何が起きているのかを理解したいと考えています。今後、私たちはますます多くのセルを使用することになるので、その中で起きている化学反応を知る必要があるでしょう。

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なお、フェラーリは「E-ビルディング」なる新しい工場を建設しており、ここでは主にハイブリッド車やEV、そしてエレクトリックモーターにバッテリーパックが生産されると報じられています。

現実的には多くの自動車メーカーはエレクトリックモーターをサプライヤーから仕入れることになりますが、フェラーリがそうせず「自前」で組み立てるのは、クルマの中核たる動力源の生産を外部に頼ることはできないという思想に基づいているからだそうですが、これはバッテリー「パック」についても同じことなのかも知れません。

フェラーリは少し前、立て続けにEVに関する特許をいくつか出願していて、その中で見られたのが複数のバッテリーパックをフロアに分散して搭載すること。

スポーツカーにおいては重心が非常に重要な要素となり、トラクションや旋回性能の観点において理想的な重心を実現することが非常に重視されるわけですが、フェラーリはバッテリーパックを車体中央や前後アクスル付近に”分散”することでガソリン車にはできない重量配分を実現しようとしており、これは「チェスト型バッテリーパック」をドカンとひとつシート後方に積むというロータスとは異なる手法です。

そして特許を見るに、これら分散されるバッテリーパックは「フレームの隙間」などにぴったりと収められることになるようで、つまりは車両の設計と密接に関係しているわけですね。

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よって今回のコメントを見ると、フェラーリはそういった「理想的な重量配分を実現するための、オーダーメイドのバッテリー”パック”」を手に入れるため、まずはバッテリー”セル”を理解し、最適なバッテリーパックの製造をサプライヤーに指示することになるものと思われます。

まだまだ「フェラーリ初のピュアエレクトリックハイパーカー」がどんなクルマになるのかはわからないものの、現在多くの人がこれに懐疑的であることは間違いなく、フェラーリはこういった純粋主義者たちをも納得させることができるピュアエレクトリックハイパーカーを作らねばならないわけですが、その手法のひとつが「(パワートレーンを内燃機関からエレクトリックに置き換えただけ、もしくはハイパワーなだけのEVではなく)ガソリン車ではどうやってもできないこと」を模索し実現することだと思われ、そのために指名されたのが「自動車業界出身者ではなく、電子業界出身者の」ベネデット・ビーニャ氏であると考えてよく、同氏の指揮によって誕生する新型エレクトリックハイパーカーには大いに期待がかかるところです。※自動車業か出身者は「自動車の(構造的)常識」が染み付いており、まったく新しい”エレクトリックパワートレーン”の扱い方について、これまで存在しなかった可能性に思い至らないのかもしれない

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