| マツダはプレミアム路線をやめ、「価格訴求ラインナップ」と「高利益ラインアップ」とに分化すべきだ |
マツダはかつて「マツダスピード」なるスポーツグレードを用意していましたが、MAZDA3発表時には「MAZDA3のマツダスピード版はない」とコメントし、今回改めてマツダ北米のスポークスマン、ドリュー・ケイリー氏が「マツダスピードはもはや過去のものであり、2度と戻ってこない」とアナウンス。
これについてはとくに驚きに値せず、というのもマツダは「スポーツ路線よりもプレミアム路線を歩む」と常々明言しているため。
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それでいいのかマツダ?
これはマツダの方針であり決定事項なのでどうしようもありませんが、正直いうと「これでいいのかマツダ」と思うことも。
たとえば2020年10月の国内販売状況を見ると、マツダの結果は惨憺たるもので、もっとも売れているのがMAZDA2、そして次いでSUVのCX-5。
マツダが大きな期待をかけた新世代商品であるCX-30は前年比71.8%、MAZDA3も73%に沈んでおり、いまひとつ存在感を発揮できていない状態です。
要は「売れているのは価格訴求力の強いコンパクトカーとSUV(しかも他社のSUVよりはずいぶん販売台数が少ない)」であり、マツダの標榜するプレミアムを反映させたニューモデルは思ったほど売れていない、というのが現状だと受け取ることができます。
そして販売ランキング上位にあるのはヤリスやアルファード、ライズといった個性の強いクルマたちで、以前上位を占めていたような「没個性」なクルマではない、というのも注目に値する部分。
つまり、公共交通手段の発達した現代において、人々はクルマを「セルフプロデュースの手段」として購入しているとも考えられ、自分をより表現しやすい個性的なクルマを求めているとも考えられます。
そういった状況において、「美しく品格はあるが、個性が感じられない(アクが強くない)クルマ」は現代の消費者の嗜好にマッチしていない可能性も。
つまりマツダの売り上げが厳しいのは、「そのデザインや考え方が現代にマッチしていない」ともぼくは考えているわけですね。
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じゃあマツダはどうすればいいのか
そこでぼくの考えるマツダ再生計画ですが、MAZDA2が売れていること、CX-3等に廉価版を投入すると一気に販売が伸びたことからも「価格が安ければ売れる」ことは証明済み。
よって、マツダは全モデルに廉価グレードを用意する、もしくは標準グレードそのものの装備を簡略化して価格を引き下げて台数増加を狙うというのがまずひとつ。
ただ、それだと利益率が下がってしまうので、それを補うための手段として「マツダスピード」を投入するというのがふたつ目。
この2つ目については、価格競争に巻き込まれたメルセデス・ベンツ(AMG)やBMW(M)、アウディ(S/RS)が採用している手法と同じですが、たとえばメルセデス・ベンツ190Eは1990年代の価格がおよそ「500万円」。
そして後継たるCクラスの(現在の)価格は約450万円。
つまり現在のメルセデス・ベンツの価格はバブル期よりも下がっているということになりますが、マツダの価格は逆に上がっていて、初代アクセラ(2003年)は151万円から、しかしマツダ3は222万円から。※MAZDA3のスカイアクティブXエンジン搭載車だと、メルセデス・ベンツAクラスやBMW 1シリーズと価格が同等
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こういった状況だとマツダの競争力が相対的に落ちるのは「もっとも」で、よってマツダは価格的に優位に立たねば今後も販売を伸ばせないと思うわけですね。
そして価格競争に参入する一方で、メルセデス・ベンツやBMW、アウディが採用するような「ハイパフォーマンスモデル」を設定することにより、マツダは利益を伸ばせるんじゃないかと考えているのですが、そこで必要なのが「マツダスピード」。
こういった考えもあり、ぼくは「マツダのプレミアム戦略は世の中にマッチしていない(そもそも誰も求めていない)」「マツダスピードこそがマツダ復活の鍵」だと信じています。