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日産「ロードスターやGR86のようなエントリースポーツカーを投入したい」。ただしガソリン大好きおじさん排除、現代の若者を対象に「EV&コネクティビティ」重視

2023/11/01

日産「ロードスターやGR86のようなエントリースポーツカーを投入したい」。ただしガソリン大好きおじさん排除、現代の若者を対象に「EV&コネクティビティ」

| エントリーレベルのスポーツカーは「利益にならない」かもしれないが、ブランドイメージ向上、ブランド内の買い替えなど副次的効果も望める |

スポーツカーを購入する人はミニバンやコンパクトカーユーザーに比較し、そのブランドへの忠誠心が高いものと思われる

さて、日産がマツダ・ロードスター、そしてGR86/スバルBRZ「しか」存在しないコンパクトスポーツカー市場へ参入したいという要望を持っている、との報道。

現在の日産は「お金がなく」ニューモデルの投入についてもマスマーケットに対応する製品しか許されず、自社内の既存ラインアップと少しでも競合する可能性のある新型車の開発も許されず、フェアレディZについても「フルモデルチェンジ」ではなく既存コンポーネントを引き継いだ「マイナーチェンジ」にとどまっているほど。

そういった状況で「日産が(あまり台数が出るとは思えない)コンパクトスポーツセグメントに参入」というのはにわかに信じられないというのが偽らざる心境です。

ただし日産は「ピュアエレクトリックカーで」この市場へと参入を検討

しかしながら、今回の報道をよくよく見てみると、「ピュアエレクトリックカーで参入したい」という但書がついているようで、これであれば「至極納得」。

というのも日産はコンパクトクラスに対応するエレクトリックプラットフォームを(ルノーと共同で)開発しており、それは次期マーチやルノー5、そしてアルピーヌのホットハッチにも使用されると伝えられているためで、よって「コンパクトスポーツ(BEV)実現のための車体とプラットフォームは別途存在し、それを使用すれば比較的安価なコストで新型スポーツカーを作ることができる可能性がある」ためです。

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報道によれば、日産のグローバル製品戦略・商品企画部門上級副社長のイワン・エスピノーサ氏は「日産は80年代や90年代に存在したような”3段階の”パフォーマンスカーラインナップを構想している。どの時点かにもよりますが、私たちは常にGT-Rを持っていますし、常に(フェアレディ)Zを持っていました。そして私たちは常にシルビアのようなエントリースポーツカー、もしくはパルサーのようなホットハッチも持っていたのです」と語り、要は現在のGT-R(トップ)、フェアレディZ(ミドル)に加え、エントリーレベルのスポーツカーを投入したいということに。

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さらにこのエントリークラスのスポーツカーについては「小型の電気スポーツカーが考えられるかもしれません。小さくて、間違いなくもう少し手頃な価格のものです」とも述べており、この3段階のラインアップ構築により、エントリークラスのスポーツカーにて獲得した顧客を、のちのち上のクラスへと移行させるという可能性も見えてきます。

参考までに、イワン・エスピノーサ氏は自身の理想のラインアップとして「さて、我々はどのようにして未来に向かっていくのか。ニスモバージョンを含む最上級のGT-R、そしてニスモバージョンを揃えるフェアレディZ、やはりニスモ バージョンを提供で来るエントリーレベルのクルマ。この3つのステップです」と述べており、けっこう具体的な構想が頭の中にあるのかも。

日産は新型スポーツカーにて「若い客層を獲得」したい

実際のところ、イワン・エスピノーサ氏は「一般に、自動車メーカーはクルマへの情熱を忘れていると思います。国にもよりますが、こういった状況だと、若い顧客がクルマにますます魅力を感じなくなっているのも無理はありません。しかし、手頃な価格の電気スポーツカーは一部の顧客の考えを変える可能性があり、これはクルマに対する情熱の炎を再び復活させることができるものの一つだと考えています」とコメント。

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一定より上の世代になると「スポーツカーはガソリンエンジンを積んでいなくてはならない」と考え、エレクトリックスポーツにはそっぽを向くかもしれませんが、いくつかの調査結果によると若者世代はむしろ(ガソリン車よりも)電気自動車に対して興味を持っており、日産がここで「エレクトリックスポーツに抵抗がない」若年層を取り込むことができるのであれば、今後の全体的な電動化に向けて大きなアドバンテージを得られる可能性もありそうです。

加えてイワン・エスピノーサ氏は、新しい(電動)スポーツカーが「エキサイティングで運転するのが楽しい」だけではなく、若い購入者にアピールするための印象的なコネクティビティ機能を備えていることが必要だとしており、それは現代すでに標準となりつつあるアップル・カープレイやアンドロイドオートを飛び越え、その先にある「ドライバーが、友人やより広範な日産スポーツカーコミュニティとつながるために使用できるデジタルスペース」といった新しい発想についても言及しており、これは最近日産が発表した一連のコンセプトカーにも繋がる考え方だとも捉えることが可能です。

そういった意味では、かつてのパルサーやシルビアのようなクルマとはまた存在意義やキャラクターが異なるようにも思いますが、これは時代の変化、消費者のライフスタイルや嗜好の変化に対応したものだと考えてよく、しかし日産にとって「将来また日産車に買い替えてもらうための」導入剤としての役割を持つことにかわりはないのかもしれませんね。

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参照:Top Gear

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