>スウェーデンの自動車メーカー

ケーニグセグCEO「ピュアEV時代になると、テスラやポルシェと、ハイパーカーとの性能差が小さくなる。その状況で、それらの10倍の価格で電動ハイパーカーを売る自信はない」

2022/07/30

ケーニグセグCEO「ピュアEV時代になると、テスラやポルシェと、ハイパーカーとの性能差が小さくなる。その状況で、それらの10倍の価格で電動ハイパーカーを売る自信はない」

| おそらくは多くのプレミアムカーメーカーも同じ課題を抱えていると思う |

エレクトリック時代では、各自動車メーカーが「自動車本来の性能以外」に存在意義を見つけ、クルマに与えねばならない

さて、ケーニグセグCEO、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏がトップギアのポッドキャストに出演し、「ピュアエレクトリック時代のハイパーカーには、その価格を正当化できるだけの存在意義が必要」と語ることに。

それと同時に、ケーニグセグもピュアエレクトリックハイパーカーを販売する計画があるものの、それは大きなチャレンジになるだろうとも述べ、その難しさに言及しています。

ピュアエレクトリックハイパーカーの何が難しいのか?

そこで同氏の意図する「難しさ」についてですが、これはけして技術面ではなく「存在意義」を指しているもよう。

どういうことかというと、テスラ・モデルSプラッド、ポルシェ・タイカン・ターボSなどはある意味でハイパーカーに近い領域に加速性能が達しており、ケーニグセグも「世界最高出力のエレクトリックモーター」の開発に取り組んでいるものの、ガソリン車における「ハイパフォーマンスサルーンとハイパーカー」に比較して、ピュアエレクトリックモデルにおける「ハイパフォーマンスサルーンとハイパーカー」の性能差は大きくなく、かつピュアエレクトリックカーに占める重量のうち大半を「バッテリーとモーター」が占めており、そしてそれらを驚異的なレベルで軽量化することは不可能であり、車体重量も「(ガソリン車の場合に比較して)大きく差が出ない」と言われています。

ガソリン車の場合、いかに出力が高いといえどセダンとハイパーカーとの差は大きく、とくに重量差、そしてそれに起因するビークルダイナミクスには大きな差がありますが、ピュアエレクトリックモデルだと重量差が大きくはなく、かつバッテリーやモーターの搭載位置が似通ってくることになり、動力性能についても差が小さくなるわけですね。

こういった状況において、エレクトリックサルーンとエレクトリックハイパーカーの「最大の差」は、(一般的に)エレクトリックハイパーカーのほうが「カッコいい」というだけにとどまってしまい、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「ただカッコいいというだけで、テスラやポルシェの10倍もの価格を顧客に請求することは私にはできない」とも。

【動画】もうこのレベルについてこれるクルマはそうそうない!フェラーリSF90ストラダーレ、テスラ・モデルSプラッドが「ドラッグレース5本勝負」を繰り広げる
参考【動画】もうこのレベルについてこれるクルマはそうそうない!フェラーリSF90ストラダーレ、テスラ・モデルSプラッドが「ドラッグレース5本勝負」を繰り広げる

| フェラーリSF90ストラダーレの圧倒的不利だと思われたが、けっこういい勝負だった | やはりもう「エレクトリック」でないと加速勝負に勝つことはできない さて、ドラッグレース専門ユーチューバー、ドラ ...

続きを見る

ちなみにですが、現在発売されているエレクトリックハイパーカーというとリマック・ネヴェーラとピニンファリーナ・バッティスタが存在し、しかし加速性能だけで見ればテスラ・モデルSプラッドとそう変わらず、しかし価格は「数十倍」。

実際にネヴェーラ、バッティスタを見ていないのでナントモではありますが、それらがモデルSプラッドの数十倍の価値があるのかどうかと聞かれると、ぼくはうまく答えることができないかもしれません(差があると言い切りたいが、その根拠に確信が持てない)。

リマックが上海にショールームを開設

だが安心して欲しい

ただ、クリスチャン・フォン・ケーニグセグ氏は「エレクトリック時代のハイパーカーにも存在意義を持たせ、ハイパフォーマンス・エレクトリックサルーンと明確な差別化を設け、その価格差を納得させることができるだけのアイデアがあるといい、今のところ詳細については言及されていないものの、どういった方法でそれを実現するのかには期待がかかります。

なお、おそらくは同じポッドキャストかと思いますが、トップギアはフェラーリとも同じ論点について話し合っており、その際にフェラーリは「フェラーリならではのファン・トゥ・ドライブを実現することが可能であり、むしろエレクトリック時代になったほうがフェラーリの素晴らしさが際立つ」、とも。

フェラーリもおそらくは「ピュアエレクトリック時代に突入すれば、差別化を行うことが難しくなるだろう」と考えており、しかしそこに苦労している多くの自動車メーカーを尻目に、差別化の方法を知っている自社の優位性が高くなるだろうと自負しているものと思われます(そして間違いなく、その優位性を発揮できるものと思われる)。

こちらもCHECK

フェラーリ488スパイダー
フェラーリ「ガソリンエンジンがなくとも、我々はエキサイティングなスーパーカーを作ることができる」。ボクはここでその理由と根拠を考えた

| フェラーリはずいぶん前から一貫した考え方を持ち、一切ブレずに未来に向かっていたようだ | こういったフェラーリの考え方は、過去の行動や発言を掘り返してみるとよくわかる 現フェラーリCEOは自動車業 ...

続きを見る

合わせて読みたい、ケーニグセグ関連投稿

ケーニグセグの本社と工場を紹介する動画が公開!そのパーツ一つ一つが芸術品としても通用しそうな「メガカー」はこうやって開発されている
ケーニグセグの本社と工場を紹介する動画が公開!そのパーツ一つ一つが芸術品としても通用しそうな「メガカー」はこうやって開発されている

| ここまでこだわり抜いて作られたクルマはそうそうない。おそらくはブガッティも敵わないかも | ハイパーカーを通り越してメガカーと呼ばれること、その資産価値が非常に高いこともよくわかる さて、英国人ユ ...

続きを見る

【動画】ケーニグセグが雪原にてジェスコを爆走させる様子をYoutubeへと公開し、リマックが「呼んでくれればご一緒したのに」とコメント。次はこの2車のランデブーが見れるかも?
【動画】ケーニグセグが雪原にてジェスコを爆走させる様子をYoutubeへと公開し、リマックが「呼んでくれればご一緒したのに」とコメント。次はこの2車のランデブーが見れるかも?

| ケーニグセグ・ジェスコはそのうち最高速にチャレンジし、おそらくは世界最高速記録を更新してくれるだろう | このなにもない雪原にて思いっきりジェスコを飛ばすのは何ものにも代えがたい楽しみであるように ...

続きを見る

理論上の最高速は531km/h!ケーニグセグが「ジェスコ・アブソルート」の試作車第一号を公開、いい夢を見せてくれそうだ
理論上の最高速は531km/h!ケーニグセグが「ジェスコ・アブソルート」の試作車第一号を公開、いい夢を見せてくれそうだ

| 現時点ではどの段階でケーニグセグが最高速チャレンジを行うのかはわからないが | もしかすると今年は「最高速記録更新ラッシュ」となるのかも さて、ケーニグセグは世界最高速を目指すため「ジェスコ・アブ ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->スウェーデンの自動車メーカー
-, , , , , , , ,