■駄文(日々考えること)

なぜ旧車に興味が出ないのか。懐古趣味とテクノロジー推進指向との間にて

2015/10/15

lamborghini huracan

ぼくはほぼ旧車には興味がありません。
美しいデザインだなあ、とは思いますが、それを自分のものとして手に入れようとは思わないわけです。

思えばミニもBMWに移ってから、ポルシェも水冷になってからの購入ですが、クラシック・ミニ、水冷ポルシェに対してはあまり興味が無いわけですね(正確に言えば興味はあるが購入しようとは思わない)。

ランボルギーニも同じで、ぼくはアウディに移ってからのランボルギーニのみが購入検討の対象です。
カウンタックやミウラ、ムルシエラゴ、ディアブロはそれぞれに美しく惹かれるものはありますが、「購入」を考えることはまず無いのですね。

そこで「なぜか」ということを考えてみると、ぼくは自動車を「テクノロジーの集合体」として見ているからだ、ということに思い至ります。

ぼくは、自動車は航空機やロケットを除き、個人で購入できる中では最高の技術が詰まったプロダクトだと考えているわけですね。
航空力学、物理学、電子工学、デザイン、マーケティング、プロモーション、社会との関連性など、ありとあらゆる分野で最先端の思想と技術が詰まっており、インターネットとの融合によってさらにそれは加速していると考えられます(常時接続によって大きな可能性が広がる)。

その意味において最新の思想とメカニズムが与えられた車に惹かれることになり、よって軽量かつシンプルな車よりもテクノロジー満載の車に興味を感じるわけです。
要は車を「運転する対象」としてよりも「テクノロジーの集合体」として捉えているということになりますね。

今までの車編歴を見ると(比較的スポーツタイプが多いので)、ぼくがBMW i3を選んだことに対しては非常に不思議に思われる事が多いのですが、自動車を「テクノロジー」と可能性に置き換えたとき、これはごく自然な選択であるとは考えています。

なおこれまでの車についても同様で、ミニクーパー(R56)だと当時出始めた直噴ツインスクロールターボ、VWシロッコだと小排気量直噴エンジン+スーパーチャージャー+ターボチャージャー、アウディTTだと直噴ターボ+乾式ツインクラッチ、レンジローバー・イヴォークだとメカニズムよりもインターフェースやデザイン重視の考え方、というところに触れてみたくてそれらを選んだ、ということになります。

ポルシェにおいては水冷化によって得られたもの、ガヤルドにおいてはアウディの設計に移行したことで得た安全性、というところが大きな決め手ですね。
それぞれ購入においては水冷、またそれまでのモデルも検討していますが、やはり最新の製品こそがもっともそのメーカーの思想を反映したものであると考え、新しいものを購入しています。

それぞれのメーカーはそれぞれの思想があると思いますが、その時代のテクノロジーによって限界があり、「やりたくてもできないこと」があると思うのです。
ですが時間が経ってテクノロジーが進化したり時代が追い風になると、「やりたかったこと」が実現できるようになるわけですね。

ポルシェだとかつては走行性能を追求すると足回りを固くせざるを得ませんが(それに異論はない)、そうなると日常性を失う可能性が高くなります。
その解決策としてPASMがあり、現在のモデルではさらに進化して通常時の乗り心地が大きく向上している、と言えるでしょう。
その分大きく重くなったりはしますが、現実的にセールスが伸びており、かつサーキットでのタイムも向上しているので、やはりテクノロジーの進化は「正解」なのだと考えています(PASMだけではなくターボ化やその他出力向上、エンジンマウント、トルクベクタリングなど総合的なテクノロジー向上が性能向上をもたらす)。

トランスミッションも同様であり、スポーツ走行ではエンジン回転数やブレーキ、ステアリングに気を使いながら、市街地走行では視界や段差に気を使いながら重いクラッチを操作するのは神経をすり減らす作業ですが、ロボットクラッチ、ひいてはデュアルクラッチの登場において大きくドライバーの負担が軽減され、ハンドル操作やアクセル/ブレーキペダルの操作に集中して運転を楽しめるようになっていると言えますね。

反面、失われるものも多くあり、ダイレクトさや軽さ、というものは求めることが難しくなります。
フェラーリはそれをカバーすべく反応速度の向上を研究したりしており、ランボルギーニも軽量素材の開発に取り組んでいるので、もしかするとこれもテクノロジーの進化が問題を解決するのかもしれません。

こういった問題は車だけではなく身の回りのテクノロジーも同様で、スマホの普及で生活が便利になった反面、リアルでのコミュニケーションが減ったり別れ話もチャットで終わらせたりということになったりしていますが、プラスとマイナスとを考えると、そしてぼくたちは常に前を向いてゆかねばならないということ、そうでなければ取り残されてしまうだけだということを考えると、ぼくは常に新しいテクノロジーを受け入れてゆこうと考えています。

なお電話に関しては黒電話のダイアルにノスタルジーを感じたりと、一種の懐古趣味を持たないわけではないですが、やはり新しいものには惹かれる傾向が強いようです。

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