セイコーが「セイコー アストロン ジウジアーロ・デザイン 2017限定モデル(SEIKO ASTRON 2017LIMITED EDITION DESIGNED BY GIUGIARO DESIGN」)を発表。
セイコーはジウジアーロとのコラボについては古くから実現させており、アストロンについても過去に一度コラボ腕時計を発売しています。
今回はその(アストロン×ジウジアーロの)第二弾ということになりますが、前作と大きく異なる点はふたつ。
一つは通常のアストロンとは全く異なる形状を持つということと、デザインが「実際にはジウジアーロではない」であろうこと。
一つ目に関しては見ての通りですが、今回の限定モデルはベルトとケースがオフセットされたデザイン。
過去のジウジアーロ×アストロンはこんな感じで、通常モデルのアストロンの形状はそのままに、ベルトやダイアルに変更を施した、という感じです。
こちらは1980年台の「セイコー×ジウジアーロ復刻版」。
こちらもケースとベルトがオフセットされていますが、これは「車やバイクを運転する時に、そのほうが操作性に優れるから」という機能上の理由によるものです。
今回の「セイコー アストロン ジウジアーロ・デザイン 2017限定モデル」についても過去のジウジアーロ・ウォッチと同じデザイン(構造)を踏襲してきたということになりますが、これによって「よりジウジアーロっぽく、特別感のある」限定モデルに仕上がっていますね。
なおアストロンというと細部に至るまでに緻密にデザインされていることが特徴で、シンプルさを美徳とする欧州系ウォッチメゾンとは対極にある仕様。
それは文字盤に設けられたられた/刻まれたインデックスや文字からも見て取ることができますが、一方で「ごちゃごャした」印象があったのも事実。
今回はベルト含めてかなりシンプルにデザインされており、「ジウジアーロ初期っぽい」、そしてシンプルさを好んできたジウジアーロらしい一本となっているのでは、と考えています。
もうひとつ、「デザインがジウジアーロ本人ではないのでは」ということですが、ジウジアーロは「イタルデザイン」を設立し、自動車など幅人い分野で活躍してきたものの(イタルデザイン名義では自動車、ジウジアーロ・デザイン名義はその他の製品と分けられている)、すでにイタルデザインは売却し、現在は「無関係」。
ジウジアーロ・デザインなのにジウジアーロではないというのはここにあり、現在の「ジウジアーロ・デザイン」はすでに他の人がデザインをしている、ということですね。
加えて、今回は前回と異なりセイコーも「ジウジアーロ本人の」画像などを使用しておらず、かつこれも前作と異なり「イタルデザイン」のロゴがケースバックに入っていることからも、「(デザイナーの)ジウジアーロ本人とは関わりがない」と捉えることができます。
※ジウジアーロ本人は現在息子とともに別のデザイン事務所を立ち上げており、イタルデザインとは縁を切っている
ちょっと不思議な気もしますが、ファッションブランドの「カール・ラガーフェルド」も設立者であるカール・ラガーフェルド氏がすでに自身の名を関するブランドを第三者に売却しており、「カール・ラガーフェルド(ブランド)はもはやカール・ラガーフェルドのデザインではない」というのに似ているかもしれません。
なお、イタルデザイン自体は現在ランボルギーニ社が株式を保有しており、自動車のデザインはじめ様々な分野でのデザインへと進出。
これまでのように「自動車=イタルデザイン」「ジウジアーロ・デザイン=その他」という垣根を超えた活動を見せ、最近ではほかの腕時計メーカー、ロジェ・デュブイとのコラボウォッチも発表していますね。
今回のセイコー アストロン ジウジアーロ・デザイン 2017限定モデルについて、ジウジアーロっぽさを残す反面、ポルシェデザインが最近発表した腕時計「モノブロック」と類似しているデザイン(構造は全く異なるものの、ケース外縁とプッシュボタンとがツライチになっているところ)も見られ、今や同じグループとなったポルシェデザインとイタルデザインとでなんらかのデザインリソースの共有があるのかも、と思わせる部分も見られます。
セイコー アストロン ジウジアーロ・デザイン 2017限定モデル(SBXB121)の発売は2017/5/26、ケースはチタン製。
ケース径は46.3ミリとかなり大きな腕時計と言えますね。
価格は税抜きで30万円、限定本数は3,000本(世界)。
ムーブメントはもちろんGPSソーラーでキャリバー8X82を採用し、GPS衛星電波受信によるタイムゾーン修正機能も持つ高機能ウォッチとなっています。