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【試乗】まるで岩のような剛性感を持つスバルWRX STI。国産きってのハンドリングマシン

投稿日:2017/07/23 更新日:

さて、マイナーチェンジしたばかりのスバルWRX STIに試乗。
外観がアグレッシブになり、ブレーキやデフの変更、VDCのセッティングも変更となっています。

なお今回のマイナーチェンジによる変更内容は大きく分類すると下記の通り。

●新電子制御マルチモードDCCD*1や新開発brembo製18インチベンチレーテッドディスクブレーキ、新開発19インチアルミホイール&タイヤ*2を採用し、AWDスポーツパフォーマンスを一層向上
●ステアリング連動ヘッドランプ、フロントビューモニターを採用し、安全性能を向上
●外装デザインを刷新するとともに内装質感を向上
●SUBARU初の電動調整式RECAROフロントシート

試乗車はWRX STI Type S、車両本体価格は4,060,800円。
リアウイングレスとなっていますがボディカラーがブラック、ホイールはガンメタ、一方で巨大化されたブレーキキャリパーは蛍光イエロー(というか黄緑っぽい)、というのが大迫力。
一見するとチューンドカーのように見えますが、これでメーカー純正というのは相当に驚かされます。

ブレーキはもちろんブレンボ、そしてサスペンションはビルシュタイン(タイプSのみ)、シートはレカロ(オプション)という三種の神器が揃った車ですが(オプションでBBS製ホイールまである)、思えばスバルが昔からビルシュタインの採用をアピールしたり、とこういったサプライヤーの使い方が上手なメーカー(”ブリッツェン”でポルシェデザインを採用したのも同様)。
妙に内製にこだわらず、優れたものであればどんどん外部のパーツや思想を取り入れる柔軟さがいかにもスバルらしい、と思います。

新型WRX STIの外観については開口部が大きくなり突起も大きく。
全体通じてのイメージが「攻撃的」になったと言えるでしょう。

ただ、今回のマイナーチェンジにおいては外装の変更はさほど大きなものではなく、やはりメカニズム的なものが大きいようです。
上述のブレンボやDCCD、19インチホイール(タイプS)といった走行性能の向上に重きを置いてきたようで、目的としては「コーナリング性能」に磨きをかけたもの、といって良いかと思います。

ここでざっとWRX STI(タイプS) についてスペックや仕様を見てみましょう。
価格は上述の通り4,060,800円。
サイズは4595×1795×1475ミリ、車体重量は1490キロ、エンジンは水平対向4気筒(1994cc)ターボで308馬力。
トランスミッションは6速マニュアル、駆動方式はもちろんAWDとなっています。
実用面だと燃費はリッター9.4キロ、最小回転半径は5.6メートル。

装備について特筆すべき部分は等長等爆エキゾースト(さすが左右対称を押し出すだけある)、フロントにヘリカルLSD、リヤにトルセンLSD、トラクションや回頭性をコントロールできるDCCD、ブレンボ製ブレーキ(なんとモノブロック!)、19インチアルミホイール、倒立式フロントストラットサスペンション、ビルシュタイン製ダンパー。

スバルのみならず「ちょっと他メーカーでも見られない」装備が多く、それだけWRX STIは「特別」といって良さそうです。

内装だとオプションのレカロシート、レッドカラーのシートベルト、マルチファンクションディスプレイが備わりますが、全体的に質感は高め。
無理に高級感やスポーツイメージ、先進性を押し出そうといったところはなく、極めて質実剛健なインテリアで、そこがまたWRX STIらしいところ(見た目よりも機能性を重視している)。

室内へ乗り込んでドアを閉める際の音もそんじょそこらの国産車とは異なる重厚感のある音で、走りへの期待を高めさせます。

マイナーチェンジ前のモデルには一度乗っており、おおよそインテリアについて理解していることもあって、観察もソコソコにミラーやシートを調整してエンジンをスタートさせ、いざ車を道路へ。
ディーラーから車道への段差も衝撃を感じさせず乗り越えることができ、やはり相当にボディ剛性が高いこと、サスペンションがしっかり動いていることもわかります。



クラッチは結構重く、比較的奥行きがあり、かつ奥の方で繋がるタイプ。
アイドリング状態からクラッチをミートさせるとエンジン回転数が落ちてストールしそうになるので、とりあえず気持ちアクセルをふかし気味でクラッチを合わせ、まずは様子を見ながら走行することに(慣れるとアイドリングスタートが可能なのかも)。

慣れてきたところでギアを一旦落として加速→シフトアップを繰り返してみますが、これが相当に気持ちの良い走り。
加速時の姿勢変化は非常に少なく(サスペンションの柔らかいFR車のようにフロントが浮かない)、4輪で地面をしっかり捉えているというイメージがありますね。
特に2速と3速の加速は特筆もので、最大トルクを発生する4400回転、そして最大出力を発揮する6400回転の間では308馬力という数字以上の加速が感じられ、「正直びっくりするくらい速い」というのが偽らざる感想。

コーナリングにおいても安定性が高く、VDCやDCCDの恩恵が大きい、と言えそうです(基本はフロント41、リア59のトルク配分)。
なおVDCは内輪にブレーキをかけて相対的に外輪のトルクを大きくするタイプで、VWグループにて採用されるハルデックス5の制御、メルセデス・ベンツの4MATICとよく似たもの(ただし4WDシステムはセンターデフを有する点で大きく異なる)。

ブレーキの効きも良く、車体のロールも最小限に抑えられ、非常にコントロールが行いやすい車と言えます。
この辺りピッチングやロールが「セオリー通りに」発生し、それをもって車をコントロールするトヨタ86とは異なる方向性を持つ車で、WRX STIは車の基本性能の高さに依存した走りを行うことができる車でもありますね(つまりぼくのように腕のないドライバーでもWRX STIではある程度速く走れるが、トヨタ86ではそうもゆかない)。

とにかくアクセルを踏んで、ブレーキを踏んで、ステアリングホイールを切れば「無理にでも」曲がってくれる車であり、ここはメルセデスAMGっぽいところでもありますが、これはもちろん車そのものの素性がよく無いとできない芸当であり、それだけWRX STIは高いポテンシャルを持つ、と言い換えても良さそう。

なお印象としては「くりぬいた頑強な岩の中にいる」かのようなイメージで、外部からの音や振動がほぼ車内に入らず(聞けばガラスの厚さが増して遮音性が高くなっているとのこと)、速度を上げてもそれは同じ。
足回りは非常によくできているので安定感しか感じさせず、微塵も不安を感じさせないセッティング。
内装も軋み音一つ立てず、シートに座ってペダルを操作していればその通りに車が動く、という印象でもあります(ゲーム的といえばゲーム的なのかも)。

サスペンションはスプリング初期のアタリが柔らかく、しかしダンピングレートが高いと思われ、そのため不整路や街中では非常に乗り心地が良く、しかしGのかかるカーブでも姿勢は安定。

かつての「スポーツカー」というとロードインフォーメーションやGをドライバーに伝え、それをドライバーが感じ取って次の操作を行うという「対話」が重要視されたものですが、最近の基本性能が高い車、そして制御が優秀な車では「ドライバーに伝える情報」よりも「ドライバーの操作に対する応答力」を重視しているケースも出てきていて、WRX STIはそちらの方、と言えると思います(車が操作した通りの反応をするのであれば、ドライバーに必要以上の情報を伝える必要はない)。

とにかく非常に高いサスペンション性能、エンジン性能、ブレーキ性能、そして強力な駆動力や優れた車体制御技術を持つ車で、「すごいな最近のスバル」とただただ感心するしかない車。

惜しむらくはドライブモード(SI DRIVE)の変更による制御の変更幅が小さいこと、そしてその影響の範囲が小さく、例えば変更となるのは「アクセルレスポンス」程度で(スバルでも他の車種でATだとシフトポイントも変更になるのかも。ただマニュアルだとあまりシフトポイントの変化は意味はない)、ステアリングの重さやレスポンス、サスペンション、排気音にまで変更が及ばない、ということですね。
この辺りは登場年を考えるとやむを得ない部分ですが、次期モデルだとおそらく対応される部分かもしれません。

その他気づいたのはエンジンサウンドが「ボクサーエンジンそのもの」。
ボクサーエンジンを積んでいるので当然ではありますが、その「鼓動」のみがうまく室内に届くようになっているのは嬉しい設定ですね(不快なノイズや篭り音はなく、軽快なリズムを伴ったサウンドのみが聞こえる)。

マイナーチェンジ前のモデルで気になった「シフトフィール」についても改善されたのか違和感はなく(試乗車は走行100キロの新車)、いい感じでスコスコとギアが入ります。

なおステアリングの応答性はなかなかのもので、ビシリと安定している割に過敏さはなく、例えばシフトチェンジの際にちょっとステアリングを握る右手が動いてしまっても車が過剰に動かず、しかしセンターが「曖昧」ということでもなく、しっかりとステアリングホイールの切れ角に応じて寸分の狂いもなく車が曲がってゆきます。
これは日常の走行でも気を使わせることなく、しかし「気持ちよく」走るのに適したセッティングだと言えますね。

ちなみに、ぼくの考えるWRX STIのライバルはフォルクスワーゲン・ゴルフR。
同じく実用的な車をベースとする点では同じで、ボディ形状の差異はあるものの両者とも後部ドアを備えます。
ボディサイズは4275×1800×1465とゴルフRの方が30センチほど短くなっていますね。

エンジンは2リッター4気筒ターボというところも同じで(ゴルフは直列4気筒ですが)、出力も310馬力とほぼ同じ、しかしこちらはリッターあたり13キロという高燃費(最小回転半径も5.2メートルと小さい)。

車体重量は1470キロ(WRX STIより20キロ軽い)、トランスミッションは6速マニュアル(DSGもある)。
もちろん駆動方式は4WD(4MOTION)となっており、驚くほどの類似性があります。
ただゴルフRの価格は5,499,000円なのでWRX STIとは150万円近く差があるものの、WRX STIにはカーナビやオーディオが非装着であり、WRX STIにゴルフRにも備わる安全装備を追加してゆくと、その価格差は「あんまり無い」ということに。

実際に両方を運転した感じでは、体感上の速さについてWRX STIの方が「上」。
安定性、旋回性能についてもWRX STIに分があるように思われ、これは4WDシステムの差と言えるかもしれません。
静粛性、快適性についてもWRX STIの方が優れるように感じますが、逆にゴルフRが勝るのは「ダイレクト感」。
クラッチのつながり具合やブレーキ、アクセルペダルの操作に対する反応はゴルフの方がダイレクトであるようには感じます。

加えてゴルフRに備わるドライブモードはアクセルレスポンス、サスペンション、ステアリング、排気音などを統合して制御でき、これは結構「響く」装備。

ただしこれだけ数字上近くともドライブフィールには大きく差があり、その「差」は良し悪しというよりも好みの問題と言えそう。
ただ、セコい話ではあるものの、リセールを考えるとスバルWRX STIを選ぶだろうな、とは考えています。

なおマイナーチェンジ前のWRX STIの試乗記はこちら
スバリスタの気持ちがよくわかる。賞賛も納得のスバルWRX STIに試乗する

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