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ポルシェがル・マン撤退を検討との報道(決まればトヨタの独壇場)。次はフォーミュラEに参戦か

2017/07/23

Porsche 919 Hybrid, Porsche LMP Team: Neel Jani, Andre Lotterer, Nick Tandy

Autosportによると、ポルシェはル・マンから撤退する可能性がある、とのこと。
ポルシェは2014年に「919ハイブリッド」にてル・マンへと復帰し、その後3度勝利。
もはや「敵なし」状態ですが、今やその「意味」が薄れてきたのかもしれません。
自動車メーカーがレースに勝つということはその性能や技術の証明であり、ポルシェが今回「919ハイブリッド」でレースを行なっているのは「ハイブリッド技術」のアピールだと考えられ、その役割は十分果たせた、と思われます。

現在ポルシェはそのラインアップのうちカイエン、パナメーラに「ハイブリッド」を持ちますが、最新モデルであるパナメーラにおいては「最も速い」モデルがガソリンエンジン搭載ではなくハイブリッド(パナメーラ・ターボS Eハイブリッド)という「世代交代」が発生。

これまで(現在ではカイエンもそうですが)はハイブリッドモデルはどちらかというとエコ的な位置付けで、「ハイブリッド技術を投入することでパフォーマンスが向上する」ということを押し出していなかったように思われるものの、919ハイブリッドの勝利に合わせて「ハイブリッド=速く走るためのもの」ということを世間に知らしめることができたようにも思われます。※実際にパナメーラ・ターボS Eハイブリッドと919ハイブリッドは一緒にロンドン市内をデモ走行するといったプロモーションも展開している

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それに合わせてパナメーラのトップレンジがハイブリッドとなったわけですが、ポルシェとしては「次のステージ」に、つまり「ミッションE」「フルエレクトリック」へと進む必要があるのかもしれません。
もしポルシェがル・マンから引き上げるとなると(結論は今月中には出る、とされている)その代わりにフォーミュラEへの参戦も考えられ(アウディはとの共同かもしれない)、今度は「フルエレクトリック=より速く走れる」ということをアピールする、と思うのですね。

ハイブリッドやエレクトリックというと、どうしても「エコ」なイメージが付きまとい、そのためにスポーツカーとはイメージ的にマッチングが良いとは言えません。
しかしポルシェは純然たるスポーツカーメーカーなので、どうやってこの「マッチング」を図るかと考えたとき、界面活性剤としては「レース」しかなく、それがまず2014年のル・マン参戦だったのだと思われます。

え?ハイブリッドがそのモデルの中で一番速いの?しかもポルシェですよ?と一瞬思うものの、それも919ハイブリッドのル・マンでの活躍を思えば「ああそうか」と腑に落ちる部分も。

この成功によってポルシェの市販モデルにおける「ハイブリッド」のセールスを加速させる、また将来的に登場するスポーツカーレンジ(911、ボクスター、ケイマン)におけるハイブリッドモデルを「生粋のポルシェファンに認めさせる」ことを目論んだのだと考えられ、成功を収めたのちにその費用対効果、今後資金を今後どう使うかということを考えた時に「ルマンにこれ以上参戦するのは」ということになったのかもしれません(優勝は効果的ですが、それがなんども続くと効果は薄れる)。

もう一つ言われるのは「LMP2クラスの躍進」。
今年のル・マンではジャッキー・チェン率いるLMP2クラスへ参戦したチームが輝かしい結果を残していますが、一時はトップを走るという活躍を見せています。
実際の結果を見ても総合上位5番手のうち、ポルシェ以外の4台が全てLMP2。
(参考:ル・マンでジャッキー・チェンが活躍した理由/東洋経済

こういった状況ではポルシェの「圧倒的勝利」をアピールできず(実際に最初から最後まで首位独走できなかった)、かつ「もし負けようものなら」これまで築いたものを失う可能性も。

レース活動は「ビジネス」の一つですが、上述のように「選択と集中」、「市販車にもたらす効果」、「これからやろうとしていることの広告」等を考えると、一定の成功を納めたル・マンからの(ポルシェの)撤退、ということも現実的なのかもしれません。

なお、その意味ではトヨタのル・マン参戦は(同じハイブリッドのレースカーを使用していながらも)トヨタのハイブリッドモデル販売に貢献しているとは考えられず、トヨタのハイブリッド=エコというイメージのまま。
おそらくプリウスが異常にヒットしたために(市販モデルの)ハイブリッドの方向性について「エコ」が固定されてしまったのだと想像しますが、せっかくル・マンで活躍しているので(ポルシェが撤退すれば独壇場に)、もっとハイブリッドモデルにおいてもスポーツモデルを発売したり、ルマンでの活躍を反映させたラインアップ展開やプロモーションを行ったらいいのに、と考えたりします。

ちなみに新型スープラにはハイブリッドモデルが登場するとされますが、それも「トップレンジ」なのかどうかは不明。
レクサスにおいても新型LS、LCとも「スポーツモデル」はガソリンエンジン搭載モデルとなっており、同じようにハイブリッドカーでルマンに参戦するメーカーながら、ポルシェとは戦略が全く異なるところも興味深い、と思います(トヨタの場合は特定ラインアップよりも”トヨタブランド”というもっと大きなところ、そして会社の価値向上が目的なのかも)。

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