| 見たままの姿を期待しないほうがいい |
フェラーリ会長、そしてFCA(フィアット・クライスラー)のCEO、セルジオ・マルキオンネ氏が「コンセプトカーには期待しすぎないほうがいい」と警告。
これは自社のコンセプトカーに対してのみではなく、自動車業界全般のコンセプトカーに対して言及しているようで、「目にするものすべてを信じないほうがいい」とも。
コンセプトカーにはいくつか種類がある
コンセプトカーにはいくつか種類があって、たとえば「ほとんど具体的な発売イメージがあり、それを予告するもの」。
「メルセデスAMG GTクーペ」がメルセデスAMG GT4ドアクーペを予告したような場合や、トヨタ・クラウン・コンセプトのようなクルマですね。
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そしてもうひとつはそのブランドイメージを牽引したり、将来的な方向性を示唆するもの。
最近だと「アストンマーティン・ラゴンダ・ヴィジョン・コンセプト」「マツダ・ヴィジョン・クーペ・コンセプト」などがこれに該当。
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そのほか新興スーパーカーメーカー、EVメーカーが「投資を募る」ことを目的にコンセプトカーを発表する場合もあり、中国の「Venere」「バイトン」「ファラデー・フューチャー」、イタリアの「SerpaS」、イギリスの「Alcraft Motor Company」など、数え上げればキリがないほど。
こういった状況にもマルキオンネCEOは触れており、「世の中はハイパーEVコンセプトの登場に騒ぎすぎだが、そもそも1%も市販されていない」と指摘しており、これはまさに「その通り」かもしれませんね。
なお、ぼくの考える「コンセプトカーと市販モデルとの差異が大きなメーカー」はホンダとスバル。
メルセデス・ベンツ、BMWやアウディもそれなりに差はありますが、「まだ理解できる」範囲だと認識しています。
ただ、スバルとホンダは基本的なバランスそのものが変わってしまっていて、「インプレッサ」はコンセプトカーと市販モデルでずいぶんかけ離れた姿に。
なお「ヴィジヴ・パフォーマンス・コンセプト」は次期WRX STIを示唆すると言われるものの、おそらく実車はこれと似ても似つかない車になるだろう、と考えています。
逆に考えると、ホンダやスバルは「クルマを格好良く見せる方法」を知っているということになり、それはたとえば低い車高や小さなドアミラー、フラッシュマウントされたドアハンドル、小さなヘッドライト、大きなホイールアーチ、傾斜したフロントウインドウ、小さなサイドウインドウなど。
しかしながら市販モデルではそれらが実現できないということになり、これがホンダとスバルの「超えられない壁」なのかもしれません。
逆にレンジローバー・イヴォークは「LRXコンセプト」の市販モデルとなりますが、これはデザイナーのジェリー・マクガバン氏が「貫き通した」おかげで、コンセプトモデルと「寸分違わぬ」姿で発売されていますね。
なお、ときどき市販車よりも奇妙なコンセプトカーを出すのがBMWで、「オイオイそれはないだろう」というクルマを発表したりします。