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グランドセイコーが日産GT-R50イタルデザインとのコラボ腕時計を限定3本、2000万円で発表。その価値があるかどうかを見てみよう

2018/10/17

| 果たしてセイコー featuring Nissan GT-R50 by Italdesignに2000万円の価値はあるか? |

グランドセイコー(Grand Seiko)があの日産GT-R50 by Itandesign(イタルデザインとコラボした限定販売のR35-GT-R)にインスパイアされた腕時計を発表。
完全受注生産、価格は2000万円(税抜き!)というハイパーな腕時計です。

グランドセイコーは「セイコー」の上位ブランドで、多くのウォッチメゾンがベンチマークとするクラフトマンシップを誇るブランド。
そのグランドセイコーの「スポーツコレクション」とコラボした腕時計が今回の「スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesign」というわけですね。

なお、日産GT-R50バイ・イタルデザインは約1億2000万円で限定販売するとしていますが、それに比べるとまだこの腕時計は「安い」のかも。

スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesignは完全受注生産

スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesignは受注生産となり、受付はセイコー・フラッグシップサロンでの受付のみ。
そしてセイコー・フラッグシップサロンが入る和光の前にある「NISSAN CROSSING」にもNissan GT-R50 by Italdesignが展示される、とのこと。

なお、ベースモデルは「SBGC221(155万円)」だと思われますが、これのムーブメントはキャリバー9R86、しかし今回の「スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesign」のムーブメントはキャリバー9R96だと公開されているので、キャリバーは新たに調整し直されたものと思われます(針の位置や機能は同一)。

「スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesign」のケースは基本的にセラミック、そして金属とのコンビ。
ケースサイズは46.4ミリとかなり巨大です。
そのほかは「内面無反射コーティング デュアルカーブサファイアガラス」「シースルー・スクリューバック」「10気圧防水」「自動巻き」「パワーリザーブ72時間」「日差±0.5秒(これはとんでもなく凄い精度)」というところが主なスペック。

なお、面白いのは完全オーダーメイドだけあって、各部の仕様を自由に変更できること。
その範囲は「時分針」「秒針」「クロノ針」「GMT針」「ダイヤルリング」「ベゼル」「ベゼル塗料入れ」「インデックス」「GSロゴ」「文字色(Grand Seiko文字)」「文字色(目盛り)」「文字色(アラビア数字)」「ダイヤルベーステクスチャ」「カレンダー」「ケース」「ケース右側面ボタン部」「メタルバンド」「レザーバンド」「りゅうず」「クロノボタン(2時位置)」「クロノボタン(4時位置)」といった部分に及び、変更できる素材や色については、部位にもよるものの「イエローゴールド、ピンクゴールド。ホワイトゴールド、プラチナ」「ブラック」。

よって下の画像のように、発表された画像とは全く異なる仕様にも変更できますが、針やプッシュボタン、りゅうずの色や素材を個別に選べるので、「とんでもなくちぐはぐ」な仕様にすることも可能(こちらの専用サイトで使用の変更をシミュレーションできる)。

スポーツコレクション スプリングドライブ クロノグラフGMT featuring Nissan GT-R50 by Italdesignはその価格に見合うか

そこでこの腕時計が2000万円の価値に見合うかどうかですが、正直ぼくは「見合わない」と考えています。
たしかにグランドセイコーは素晴らしい制度や仕上げを持っているものの、それは「ちょっと前」の話で、ここしばらくの機械式腕時計ブームにて競争に揉まれ、技術力を向上させてきた老舗ウォッチメゾンに「すでにグランドセイコーは追い抜かれている」と考えています。

セラミックの磨きに関しては圧倒的にオーデマピゲのほうが優れていますし、金属の加工と仕上げではロレックスの右に出るブランドはなく、ムーブメントや構造の革新性といった点ではリシャール・ミルのほうがずっと上(この腕時計はリシャール・ミルと価格帯が重複している)。



かつ、この画像を見ても分かる通り、ブレスレットの側面にビスが露出しているのも好ましくなく、かつそのビスの方向が「バラバラ」なのもあまり評価できないところ。
この腕時計に使われる「ビス」について、たとえばベル&ロスは以前「バラバラ」だったものを、最近では向きが揃うように精度を調整していますし、ラルフローレン、リシャール・ミルなどもビスの向きは揃っていて、今や高級腕時計では「美観向上のためにビスの方向性を揃えるのが常識」とも言えるのではないか、と考えています。

さらにグランドセイコーといえどもバーインデックスの「断面」は磨かれておらず、このあたりも「数百万円の」オーデマピゲ、パテックフィリップには及ばないところ。
つまり「部品を切り出した状態」ということが丸わかりのパーツを使用していて、この仕上げでこの価格というのはちょっと「イマドキ」ないだろう、と考えているのですね。

なお、グランドセイコーは3針モデルだとその針の仕上げは素晴らしいものの、GMTやクロノグラフになるとやはり「針を金属の板から打ち抜いた」ということが一見してわかる仕上げを持っていて、ここも「ちょっとなあ」と考えている部分。

そしてもっとイマイチな部分は「バックル」だと考えていて、ベースモデルのSBGC221(150万円)ではこういった構造とデザインを持っています。
これが「数十万円」であればまだしも、150万円もする腕時計でこれはないだろうという印象を持っており、かつブレスレットのコマとコマとの隙間も大きく、ロレックスと比較すると相当な差を感じるわけですね(ぼくはグランドセイコーを購入しようと何度か考え、ドレスウォッチ、スポーツモデルともに他ブランドと仔細に比較したことがある)。

そして今回のGT-R限定モデルもバックルは「素材以外」変更されないと思われ、このあたりの差別化がうまくできないのもグランドセイコー含む国産ウォッチメーカーの弱点でもある、と考えています。

つまり、いい素材を使用して精度が良ければいい製品になるという「日本的な」考え方の象徴とも言えるのがグランドセイコーで、排他性や、実際に装着したときの見栄えや満足感というものが蔑ろにされている、ともぼくは考えています。

これはクルマにおいても同じことが言えると考えていますが、「価格が安くて速いのに」なぜ日本車がセレブにウケないのか、なぜ性能が(国産スーパースポーツに比較して)低く、しかし価格が高くてもフェラーリやアストンマーティン、ランボルギーニが富裕層に愛されるのか、ということに似ているのかもしれません。

色々と不満を述べる形にはなったものの、実用面ではセイコー/グランドセイコーの腕時計は比類ないと考えていて、ぼくは実際にアストロンを二本持っていますが、「時間にシビアな」スケジュールに迫られているときは必ずアストロン(もしくはGショック)を身につけるようにしています。
要は「割と気に入っている」ということですが、だからこそ気になる部分が他ブランド以上に気になるのだとも言えそうですね。

VIA:SEIKO

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