| マセラティは今後エンジンをどこから手に入れる? |
フェラーリは5月7日に株主向けの収支報告を行っていますが、その中でもっとも衝撃的であったのは「もうマセラティにエンジンを供給しない」というもの。
現在フェラーリは「グラントゥーリズモ」「クワトロポルテ」等にエンジンを供給。
これはマラネロで組み立てたエンジンをマセラティ工場(両社の位置はかなり近い)に運んでマセラティがアッセンブルしているわけですが、これを「やめる」ということですね。
マセラティはフェラーリエンジンを積んでいる
なお、なぜマセラティがフェラーリのエンジンを?ということですが、マセラティは1993年にFCA(フィアット・クライスラー・オートモビル)傘下に入って、そこで1969年以降フィアットの管理下にあったフェラーリと技術のやり取りを開始し、これを機にフェラーリがエンジンをマセラティに供給、というのがその経緯。
その後2015年にフェラーリは株式公開(IPO)を果たしていますが、このIPO自体が、「フェラーリ株式の多くを保有するフィアットの活動資金を確保するため」。
その後さらにFCAはフェラーリの株式を売却してフェラーリの支配権を手放すことになり(同時に多額の資金を手にした)、これによってフェラーリはFCAから事実上分離して独立しています。
フェラーリを管理するのはフィアット創業者一族
ただ、フェラーリを実質的に支配するのはフィアット創業者一族であるアニエッリ家の持株会社「エクソール」。
フィアットももちろん同家によってコントロールされているので、FCAとフェラーリとは現在「別会社」ではあるものの、実質的な経営者は「一緒」と考えて良さそう。
よって現在でもアルファロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ、ステルヴィオ・クアドリフォリオに搭載されるV6エンジンは「フェラーリと同じ設計」。
フェラーリ自身はV6エンジンを搭載してはいないものの、シリンダー内径や排気量がカリフォルニアTに積まれるV8ツインターボエンジンとまったく同じ(これから2気筒削ったのがアルファロメオのエンジン)、ということですね。
今回、フェラーリがマセラティにエンジンを供給しないとした背景には「フェラーリとマセラティとの契約」があるとされ、フェラーリによると「マセラティがフェラーリからエンジン供給を受けるという契約を更新しなかった」とし、つまりはマセラティ側の理由である、としています。
これまでマセラティに販売していたエンジンの売上が減ると利益も減りそうですが、フェラーリ側としては「これはいいことだ」とコメントを発表し、というのも「マセラティ向けのエンジンを生産していた労働力を、自社のエンジンや車両生産に振り分けることできるから」。
これによって前向きに進めるというポジティブな捉え方のようですね。