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さよならアウディTT。アウディCEOが正式に「TT終了」を発表し、その後継は「まったく別の」エレクトリックカーとなることを発表

2019/05/24

| TTはアウディのイメージを大きく変えた、歴史に残るクルマだった |

アウディCEO、ブラム・ショット氏がアウディ年例ミーティングにて正式に「次期TTはない」とコメント。

かわりに「新型エレクトリックカーがTTのポジションに位置することになる」と発表しています。※ただしTT後継という意味合いはない
この「TTと入れ替わるエレクトリックカー」についての情報は少なく、しかしブラム・ショットCEOは「その価格はTTと同程度になる」とも述べていて、つまり500万円~900万円あたりになる、と言えそうです。

新型エレクトリックカーはID.3のプラットフォームを採用

そしてこの新しいエレクトリックカーについては、フォルクスワーゲンの新型EV「ID.3」に用いられるMEBプラットフォームを採用することに。

このプラットフォームは「シングルモーター(FF/FR)」「デュアルモーター(4WD)」両方に対応すると言われるので、「TT後継」とも言える新型EVはTTと同じくFFそして4WDがラインナップされることになりそう。

現行TTについて、あとどれくらい寿命が継続されるのか不明ではあるものの、先ごろフェイスリストを行ったところでもあり、あと数年は生きながらえるんじゃないかと推測。
これまでTTに二台乗ってきた身としては(世代違いであっても、同じ名を持つクルマを二台購入したのはTTだけ)ちょっと寂しい、という感じです。

なお、ブラム・ショットCEOはR8について「その将来は未定」と語り、「もしR8がまだガソリンエンジンを必要とすれば、それは議論の余地がある」とも。

アウディTTはこんなクルマだ

初代アウディTTのルーツは1995年に発表されたコンセプトカーにまで遡ることができ(画像)、まずTTクーペが1998年に発売され、TTロードスターが2000年に登場。
実際に発売されたのもこの市販モデルとほとんど一緒のデザインを持ち、数少ない「コンセプトカー同様のルックスで登場したクルマ」のひとつ。

市販モデルの最終デザインを行ったのはペーター・シュライヤー氏率いるチームだとされますが、その原案デザインはフリーマン・トーマス氏だと言われています。

初代TTはもともとがポルシェとしてデザインされた

ケン・オクヤマ氏の著書「ムーンショット デザイン幸福論」によると、ケン・オクヤマ氏とフリーマン・トーマス氏はかつて(ポルシェにて)一緒に仕事をしたことがあり、両氏がポルシェに在籍していたころ、フリーマン・トーマス氏は「新しいポルシェ」としてポルシェ上層部に(後にTTとなる)自身のデザインを提案。

しかしポルシェ上層部はこれを承認せず、フリーマン・トーマス氏はその後も「個人の」プロジェクトとしてデザインを温め続け、アウディに移った際にそのデザインを提示したところ、VWアウディグループのピエヒ会長(ポルシェ一族)が一発OKしてアウディTTとして発売された、という経緯があるようですね。

その期間約15年ということになりますが、それだけ初代アウディTTは「デザイナーの魂が込められた」クルマなのだということがわかります。

ちなみにアウディの命名法則に準じない「TT」という名称は、イギリスのマン島にて開催されるバイクレース「ツーリスト・トロフィー(Tourist Trophy)」から。

二代目TTは「中身にお金のかかった」クルマだった

2006年には二代目TT(8S)へとスイッチしますが、これは専用のアルミ製フレームを持つ、「コストの掛かったクルマ」。
ただし内外装のアルミのように見えるパーツは「アルミ」ではなく「樹脂をアルミ風に加工したもの」へと変更され、逆に「目に見える部分や、手に触れる部分」はコストダウンされています。

ただ、各部の「たてつけ」などはその後の「8S」TTよりも優れており、クルマとしての精度や出来は二代目TTのほうが優れていたんじゃないか、という印象も。

現行TTは「三代目」

そして現行モデルのTTは「8S」というコードネームを持つ三代目(2015年に発売)。

フォルクスワーゲン・ゴルフと同じプラットフォームへと変更され、見た目はさほど変わらずとも、その「中身」は先代に比べて大きく変わっています。
ただ、それは単にコストダウンと言い切ることはできず、逆に「本物のアルミを使用したパーツ」「バーチャルコクピット」など、浮いたお金を(先代TTとは逆に)目に見える部分、手に触れる部分へと投資したこともわかります。

なお、アウディTTは「品質は高いが、味気ない」というイメージのあったアウディの印象を大きく変えたクルマ。
高いデザイン性、画期的な4WDシステム、小排気量ターボという「様々な要素を持っていた」ことが成功の理由だと考えています(どれかひとつ欠けていても、TTのイメージは形成されなかった)。

ただしその後スポーツクーペ不遇の時代を迎え、「4ドア化」や「SUV化」でその生き残りを模索されてきたものの、ついにその生涯に幕を下ろすことに。

それでもアウディにとって大きな貢献をしてきたクルマには違いなく、そのデザインや、その名称はどこかで復活させられたり、引き継がれることになるのかもしれませんね。

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