| ターボ装着を前提に給排気系を効率化。特許では「ロータリーエンジン搭載車」にも触れる |
マツダが新型ロータリーエンジン関連特許を2件申請していたことが判明。
申請自体は2017年に行われたものですが、審査の後、2019年1月31日に公開となっています。
そして気になる特許の内容自体ですが、「吸気効率を高めることのできるロータリーピス トンエンジンを提供する」がひとつ、そしてもうひとつは「吸気効率を高めることのできるロータリーピストンエンジンシステムおよびこれが搭載された車両を提供する」。
つまり、ロータリーエンジンのみではなく、ロータリーエンジン搭載車についての特許を出願している、ということになりますね。
マツダはロータリーエンジンを「レンジエクステンダー」として活用する意向だったが
特許の詳細についてはこちらとこちらになりますが、要はSKYACTIV-Xエンジンに採用される4-2-1エキゾーストに似た構造を持つサイドポートエキゾーストを装着し、これに加えてロータリーエンジン専用のターボチャージャーを組み合わせることで効率を高める、というもの。
ロータリーエンジンは環境規制への対応が難しく(つまり燃費が悪く排ガスがクリーンではない)、これを動力源としたクルマを開発し、世界中(とくに欧州)で販売するのは非常に困難。
よってマツダは公式には「ロータリーエンジンについては、パワーソースとしてでではなく、レンジエクステンダーとして活用する」と過去に発表しています。
レンジエクステンダーとは「EV用の発電機」で、これ自体でクルマを走らせることはできないものの、発電した電気をバッテリーに蓄え、その電力でモーターを駆動させることによりEVを走行させることができるわけですね(日産ノートe-Powerはこの原理)。
そしてロータリーエンジンは軽量でコンパクト、そして高回転型という性質を考慮するに、この「レンジエクステンダー」には非常に向いているということに(発電機であればさほどトルクは要求されず、トルクの薄いロータリーエンジンにとっても有利)。
今回の特許ではロータリーエンジンを動力源とすることを想定
ただ、今回の特許を見ると、「吸気効率を高めることのできるロータリーピストンエンジンシステムおよびこれが搭載された車両を提供する」とあり、つまりはロータリーエンジンを直接の動力源としてクルマを走らせることを考えていることがわかります。
加えて、SKYACTIV-X同様の構造を持つことからも、マツダはなんだかんだ言いながら「開発した技術をロータリーエンジンに転用することを常に考えていた」ということになりますね。
なお、マツダの丸本明社長は、過去に何度か「ロータリーエンジン搭載のスポーツカーはマツダ全社員の夢」とも語っていますが、しかしその開発を全面的に(資金的にも、社会的責任面でも)推し進めることができない状況に苦しさを感じており、こういった「こっそりロータリーエンジンを開発」といった社内の状況を黙認していたのかも(それでも予算がかかるので”黙認”とはゆかず、であればやはりロータリーエンジン開発チームが別途存在していたか)。
そんな経緯を経て今回「ロータリーエンジン搭載のスポーツカー」が実現される可能性が出てきたわけですが、(ぼくだけではなく多くの人々にとって)これはそうとうなインパクトがある事実。
マツダは、自動車史上唯一ロータリーエンジンを量産化まで結びつけた自動車メーカーであることでも知られますが、ロータリーエンジンは2012年のRX-8販売終了と同時にその生産が途絶えることに。
しかしながらその灯火はけして消えてしまったわけではなく、こうやって朗報を聞くことができるのは嬉しい限りですね。
そして軽量コンパクトなロータリーエンジンを搭載するメリットが活かせるのは「スポーツカー」なので、もし「ロータリーエンジン搭載車」を発売するとすれば、それはセダンやコンパクトカーではなく、やはりスポーツカーになるだろう、とは考えています。
ただ、特許が公開されたからといって「市販される」と考えるのは早計で、もちろん現時点では「実現しない」可能性も多分にある、ということは認識しておかなければなりません。
マツダは100周年記念に向けて「何か」を考えていた
マツダは2015年に、ロータリーエンジン搭載をイメージした「RXヴィジョン・コンセプト」を公開していますが、2017年の時点では「2020年に、マツダ100周年を迎える折に生産モデルを発表したい」という意向を示したことも。
その後このRXヴィジョン・コンセプトは影を潜めてしまうことになるものの、ロータリーエンジン同様、RXヴィジョン・コンセプトについても「秘密裏に」開発を進めていたのかもしれず、2020年1月30日の設立記念日には何らかの声を聞くことができるかもしれませんね。
VIA:Motoring