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| タイカンの販売不振でもポルシェはEVをあきらめない |
マカン・エレクトリックの成功が追い風に
ポルシェは、2024年にタイカンの販売が前年比49%減、2025年上半期もさらに6%減という厳しい状況にもかかわらず、EV戦略の加速を選んでいます。
その根拠となるのが第2世代マカンEVの好調で、内燃機関モデルが一部市場で併売されているにもかかわらず、電動版の販売台数が上回っていることが追い風になっているわけですね。
この流れを追い風に、ポルシェは次の一手として「カイエン・エレクトリック」を年内にも発表するとアナウンスしていますが、歴代カイエンが築いてきた成功を「電動SUVとして再現できるか」に注目が集まっています。
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【新型EV】ポルシェ「カイエン・エレクトリック」がSUV最速記録樹立。牽引力も3.5トン、実用性と走りを両立する
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カイエン・エレクトリックは「最強で最も快適」なポルシェSUVに?
ポルシェは2025年9月に開催されるIAAモビリティショー(ミュンヘン)にて、カイエンEVのプロトタイプを公開すると発表し、それと同時に実車を走行させ「電動ドライブの未来を形作る技術革新」を披露するとのこと。
これまでの情報から分かっている主な特徴は以下の通りで、さらに、足回りにはZF製のアダプティブダンパー(1秒間に13回調整が可能)を採用し、かつてないスムーズな乗り心地を実現することについても触れています。
項目 | 内容 |
パワー | 現行最強モデル「729psのターボE-ハイブリッド」以上(推定) |
加速 | 0→96km/h加速:1.94秒(停止状態から) |
牽引能力 | 最大約3.5トン |
サイズ | 現行カイエンよりやや大型化 |
快適装備 | Porsche Active Ride搭載(常に車体を水平に保つアクティブサスペンション) |
ドライバー | TAGホイヤー・フォーミュラEチーム所属のガブリエラ・ジルコバ |
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公開済みプロトタイプとイベントスケジュール
この新型カイエン「エレクトリック」は既にシェルズリー・ウォルシュ・ヒルクライムにて最速タイムを記録し、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにも登場済み。
9月公開の展示車両はまだカモフラージュをまとったプロトタイプとなるものの、市販型は2025年末にアメリカ西海岸で開催される専用イベントにて発表される見込みだとされています。
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ガソリンモデルの終焉はまだ先
なお、カイエンEVの登場後もガソリンおよびハイブリッド版は2030年代まで継続生産される予定なのだそう。
ポルシェとしては、完全EV化を急がず、複数のパワートレインを共存させる方針ですが、これは「出だしが好調であってもその勢いを維持できるとは限らない(実際にタイカンがそうであった)」という教訓から得たリスクヘッジのひとつであるとも考えられ、同時期に登場するであろうメルセデスAMG、そしてベントレーのピュアEVに対する「警戒」のあらわれなのかもしれません。
加えて、パナメーラや911についてもICE(内燃機関)搭載モデルの販売が継続されること、次期ボクスター/ケイマンのEV化は2026年以降に延期されること、さらに、大型の3列シートSUVや新型ICEモデルが開発中であることがすでにも報じられ、ポルシェの製品戦略が多層的かつ流動的に行われていることもわかります。
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