| ありきたりだが「運転支援装備」「安全支援装備」の装着。軽自動車はもともと安いだけに、これらが装着されると価格が大きく上がったように見える |
サンケイビズにて、「軽自動車、10年で36%価格上昇 安全装備の充実でコスト増か」という記事が掲載に。
記事によると、現在の軽自動車の販売価格平均は1,423,765万円で、10年前の1,044,750円に比較して36.3%高価になった、とのこと(総務省調べ)。
この調査については販売台数の多い車種を中心に複数車種の平均を算出したものだそうですが、この10年間「ほぼ一貫して」上昇を続けていると報じています。
10年前の軽自動車はいくらで買えたのか
そこで気になったのが、10年前の軽自動車の価格。
軽といえばスズキ、スズキといえば軽ということで、下記モデルについて10年前と現在との価格を比較してみました(1000円単位切り捨て)。
これを見ると、あまり販売価格が変わっていないようにも見えますね(エブリィに至ってはほぼ同じ)。
車名 | 2009年の価格 | 2019年の価格 |
ワゴンR | 104~167万円 | 109~181万円 |
ジムニー | 126~158万円 | 148~187万円 |
アルト | 67万円~115万円 | 73万円~168万円 |
エブリィ | 88万円~138.4万円 | 96万円~153万円 |
しかしながら実際の軽自動車の販売(購入)価格が上昇しているということなので、同一モデル間での価格が上がっているというよりは「売れ筋が高価格化している」ということなのかもしれないと考え、上位7モデルの価格帯を調べてみるとこんな感じ。
現在の売れ筋モデルについては、ベースグレード、上位グレードともにけっこう高いようで、かつ「最近登場した」ブランニューモデルにその傾向が顕著。
つまり、昔からあるモデルは「モデルチェンジで価格を上げにくい」ものの、最初から高機能化を押し出したブランニューモデルであれば「高い値付も通りやすい」ということなのかもしれません。
車名 | 現在の価格帯 | 発売時期 |
ホンダN-BOX | 134~231万円 | 2011年 |
ダイハツ・タント | 124万円~190万円 | 2003年 |
日産デイズ | 129~181万円 | 2013年 |
スズキ・スペーシア | 129~194万円 | 2013年 |
ダイハツ・ムーヴ | 113~178万円 | 1995年 |
スズキ・ワゴンR | 109~181万円 | 1993年 |
スズキ・ハスラー | 112~173万円 | 2014年 |
VIA:全軽自協
そこで記事に話を戻すと、まず軽自動車は地方だと「足」でもあり、高齢者が運転することも多く、そこで各メーカーとも運転支援装備を充実させはじめたことが高価格化の原因のひとつ、と述べています。
たしかにこれは「ごもっとも」で、お年寄りはお金を持っている場合も多く、「より安全な軽を」選ぶ場合も多いかもしれませんし(自尊心からそういった装備を嫌う人もいそうですが)、家族が安全装備を充実させた軽自動車を勧める場合もあるのかもしれませんね。
軽自動車に限らずですが、最近の自動車は様々な規制によって「不本意な」装備を装着したりする必要があり、それらの研究開発コストがかさんでいるのも事実です。
そして今やクルマは自動車メーカー単体では開発できず、エレクトロニクス分野の重要度が高くなっていて、そのための外注や会社の買収もまたクルマが高くなる理由の一つ。
そして現代のクルマは「世界基準で」設計・製造し、世界中で販売することになりますが、となると「世界中の基準を満たす必要」が出てくるわけですね。
そうなるとどんどんクルマの価格は高くなってゆくということになりますが、軽自動車の場合は「(基本的に)日本専売」なので海外の規制は関係なく、よって普通の(軽自動車ではない)クルマよりはまだ(基準に対応するためのコスト増が)マシなんじゃないかと思うことも。
加えて軽自動車の価格が上がったといえど、その車両本体価格に対する「値上がり率」ではなく、「値上がり金額」を見たとき、普通乗用車のほうがずっと大きいのかもしれない、と考えたりします(機会があれば調べてみようと思う)。