| やはり努力では才能に追いつけない |
ポルシェのオーナー向け機関誌、クリストフォーラスにて、バーチャルレース最速の女性と言われるシネム・テムールさん(31)についての記事が紹介。
シネム・テムールさんはアカウント名「SimRacingGirl」を使用して数々のバーチャル・モータースポーツに参加しているそうですが、ポルシェEスポーツ・スーパーカップにも参戦中。
シネム・テムールさんのちょっと特殊なところは、Eスポーツをはじめた(レースゲームをはじめた)のがそもそも28歳と「遅かった」こと。
レースゲームをはじめたのは「たまたま」
たまたま恋人の友人たちが集まるパーティーにてプロジェクト・カーズ大会となり、「女性には無理」と言われたことで奮起して無経験ながらも参加し、そこで思わずいいタイムを出してしまったことがこの世界に足を踏み入れるきっかけだったそう。
ただ、そのタイムは「まぐれ」ではなかったようで、アセットコルサにおいてもトップ5タイムを常に記録できるようになったとき、「もしかして自分はこの方面に才能があるかもしれない」と気づいた、と語っています。
なお、彼女がよくプレイするのはアセットコルサ、そしてプロジェクト・カーズ2、iRacing、Automobilista、RaceRoom、そしてDiRT Rally。
F1シミュレーターにて世界トップクラスのドライバーと競った経験もあり、シミュレーター上ではマックス・フェルスタッペン、ダニエル・リカルドが記録した(実車での)予選タイムの数秒遅れにとどまるなど、その実力は紛れもない本物のようですね。
そして面白いのは、ポルシェEスポーツ・スーパーカップに参戦しながらも、「ポルシェ911を運転したことはない」という事実。
これもひとつの時代の流れと言えますが、今後はこういった「ドライバー」が増えてくるのかもしれません。
もしかするとバーチャルレースは「リアル」レースを凌ぐかもしれない
なお、数年前からル・マンでも平行開催されるようになった「モータースポーツ界におけるEスポーツ」ですが、F1においても3月22日のバーレーンGPからスタートし、60万人もの視聴者を集めるなど好調な滑り出しを記録しています。
第二戦においてはゲストとしてジェンソン・バトン、ジョニー・ハーバートも参加することでさらなる盛り上がりを見せていて、マシントラブルならぬPCトラブルにてマクラーレンのランド・ノリスがスタートできなかったのがなんとも面白いところ(本人にとっては笑い事ではないと思いますが)。
加えてNASCARにおいても、中止レースをeスポーツにて代替する「FOX NASCAR iRACING」を開催し、こちらも「eスポーツ史上最高の視聴率」を叩き出すなど、逆に今までの「実際のレースはなんだったんだ・・・」という状況に。
おそらくは様々な問題や規制、社会的な圧迫によってモータースポーツは「eスポーツへ」と移行することになるかと思われますが、そうなるとフィジカルの問題があまり重要ではなくなり、「年齢」「性別」に関係なくトップドライバーが登場することになるのかもしれません。
加えて、現在のeスポーツ(レース)はあくまでも現実を仮想世界の中に落とし込んだものではありますが、そのうちeスポーツならではの、現実を超えた、もしくは現実ではなしえないようなエンターテイメント要素が盛り込まれた競技が誕生するのかもしれませんね。
VIA:Christphours, Redbull