| これが中国人の「好み」を端的に表しているとすれば、欧米自動車メーカーはなかなかここまで行けない |
中国にてもっとも高級なクルマを作っているブランド、紅旗(Hongqi=ほんちー)。
今回はそのフラッグシップに位置するSUV、E-HS9が公式に発表されることとなっています。
なお、このE-HS9は2019年に発表されたコンセプトカー「E115」の市販モデルですが、かなり高いレベルでの共通性が見られ、ほぼコンセプトカー通りのデザインを持っていることがわかりますね。
なお、現在の紅旗にてチーフデザイナーを務めるのは、ロールス・ロイスにて7年間デザインを率いてきたテイラー・ジャイルズ氏。
-
ロールスロイスのデザイナーが移籍した中国・紅旗。カリナンっぽいSUV、1,400馬力のハイパーカー(0-100km/h加速1.9秒)S9を発表。ただし詳細は明かされず
| 中国国営だけに、実現のための資金はありそう | 今年のフランクフルト・モーターショーは、フェラーリはじめいくつかのメジャーメーカーが「欠席」したことで話題となりましたが、逆に存在感を強めたのが中国 ...
続きを見る
紅旗は上級国民専用車
このE-HS9はロールスロイス・カリナンを意識したたものとなりそうですが、価格については邦貨換算で720万円~820万円ほど(価格はカリナンとは比較にならないものの、中国車としてはかなり高い)。
空力を完全に無視したかのような巨大グリルを持っており、しかしこれが「中国人の好み」だとすると、中国市場嗜好にあわせてどんどんグリルを強大化させてゆくBMW、メルセデス・ベンツ、アウディの方向性は”間違っていない”のかも。
こちらは色違い。
たしかにロールスロイスっぽい雰囲気もありますね。
なお、こういった「ピンクのようなパープル」も中国人に好まれる色の一つなのだそう。
サイドから見るとちょっとクーペっぽいシルエット。
クーペSUVもまた中国では非常に好まれているそうですが、このE-HS9こそが「中国人の好みそのものを表している」のかもしれません。
ちなみにサイドスカットルには赤いアクセントが入っていますが、紅旗のクルマは「中国らしさ」を表現するためか、サイドもしくはフロントにレッドが用いられるのが通例です。
加えて、ボンネット上の「前後に入る」ラインもまた紅旗のデザイン的特徴であり、ほぼすべてのラインアップに採用される意匠でもありますね。
リアから見るとスタイリッシュなクーペSUVという印象。
フロントだと高級車、リアだとスポーティーといった感じでちょっとチグハグではあるものの、もしかすると中国では「統一したイメージ」よりは「なんでも1台に押し込んでみた感」のほうが好まれるのかも。
現実的に、最近販売を伸ばしているのは中国人が中国人向けにデザインした中国車だとは聞きますが、中国では「自動車の歴史が浅い」だけに自動車に対する常識もまたぼくら日本人とは異なるのかもしれず、そこが「抵抗なくEVに乗れる」理由の一つなのだろう、と考えたりします。
そしてこちらはE-HS9のインテリア。
やはりロールスロイスっぽい雰囲気がありますね。
ホイールは21インチもしくは22インチを選択でき、フロントには215PS、リアには295PSを発生するエレクトリックモーターを装備。
つまりピュアエレクトリくカーということになりますね。
紅旗はこんなブランド
このE-HS9を発表した紅旗を有するのは中国第一汽車集団有限公司(FAW)という会社で、これは事実上中国の国有企業だとされ、人民解放軍向けの軍用車を納入しているほか、紅旗ブランドからは乗用車を発売しており(中国初の乗用車だった)、現在でも紅旗は中国の高級官僚や上級公務員御用達のクルマとしても知られます。
なお、大阪で開催されたG20に持ち込まれた専用車もやはり紅旗の専用車(L5を改造したものだと言われる)でしたね。
ちなみに紅旗は「S9コンセプト」なるハイパーカーを発表したことがあり(市販はされていない)、こちらは1,400馬力の出力を誇るエレクトリックカーです。
文字通り「国家の威信をかけた」プロジェクトなのでしょうね。
もうひとつ参考までに、まもなく発売されると言われるセダン版フラッグシップ「H9」がこちら。※「9」と数字がつくものが最上位に位置するようだ
標準ホイールベースに加えてロングホイールベースも用意し、こちらのパワートレーンはガソリンエンジン(3リッタースーパーチャージャー、272馬力)だと言われています。
参照:CarNewsChina