| エルヴァについては様々な要因が重なった「不幸」としかいいようがない |
さて、マクラーレンは「もともと399台限定」にて販売を開始したハイパーカー「エルヴァ」の限定台数を249台へと引き下げていますが、今回はそれをまた149台に引き下げた、との報道。
その理由は単に「売れないから」だと思われるものの、マクラーレンとしてはそれを口に出すわけにはゆかず、249台に引き下げた際には「顧客より、生産数をもっと絞って希少価値を高めるべきだ」という提案を受けたから、と述べています。
ただ、今回さらに149台に引き下げたとなると「なにをどう言おうが、売れていないことには間違いない」という印象を与えてしまうことになり、さらにエルヴァの販売を難しいものとしてしまいそう。
「エルヴァ」はもっともレアなマクラーレンのひとつに
なお、マクラーレン・エルヴァは同社の「アルティメットシリーズ」からの発売。
マクラーレンはセナやスピードテール他のハイパーカーを擁する「アルティメットシリーズ」、720Sとその派生モデルで構成される「スーパー」シリーズ、570系とその派生モデルが揃う「スポーツシリーズ」、そしてグランドツアラーの「GT」をラインアップしています。
そしてこれまでマクラーレンは「P1(375台限定)」「セナ(500台限定)」「スピードテール(106台限定)」「エルヴァ」を発売しているものの、エルヴァが149台のみの生産となると、スピードテールについで生産台数が少ないクルマということに。
そしておそらくこの「生産台数の少なさ」は後に希少価値を生み、長い目で見ると価値を維持することができるのかもしれません。
なぜエルヴァは売れなかったのか
そこで疑問に思うのが、なぜエルヴァは売れなかったのか。
大きな理由は「スピードスターボディ」で、これは中国や中東ではあまり人気がなく、ここから注文を集めることが難しかったのだと思われます。
そしてP1の「新時代を拓くハイブリッドハイパーカー」、セナの「究極のサーキットウェポン、”セナ”という名称」、スピードテールの「F1後継、マクラーレン最速のセンターシート」というような売り文句がなく、強いて言えば「マクラーレンのハイパーカーでは、もっともパワーウエイトレシオに優れる」というくらい。※しかも一番高価
なお「エルヴァ」という名称はマクラーレン創始者であるブルース・マクラーレンが過去に制作したレーシングカーの名ですが、これもほぼ無名なので、この名に惹かれてエルヴァを購入するというのもまた考えにくいと思います。
つまりは歴史、そして未来をあまり感じさせず、その割に価格が高かった(2億円弱)というところがダイレクトに響いたのかもしれません。
ただ、今回のエルヴァにおける「限定台数引き下げ」についてはマクラーレンに責任があると責めることはできず、というのもやはり「コロナウイルスの影響」が大きいと考えられるため。
参考までに、エルヴァの発表は2019年11月であり、これまでマクラーレンの限定ハイパーカーは「発表時にはすべて完売していた」ケースが多かったことを鑑みるに、出だしの時点から動きが鈍く、コロナウイルスの影響がなくとも、当初計画の399台の完売は難しかったのかもしれません。
外部の影響を受けたのはエルヴァだけではない
コロナウイルスは別として、これまでにも何度か様々な危機が世界を襲い、そのために計画がなくなってしまったクルマたちも。
パっと思いつくのはブガッティ・ガリビエール(4ドアハイパーカー)、ランボルギーニ・エストーケ(4ドアスーパーカー)で、これらはリーマンショックの影響によってその計画が潰えることに。
その前だと「ジャガーXJ220」も世界同時不況によって生産台数が引き下げられており、新型NSXについても登場するまでには社会情勢によっていったん開発が中止されるといった運命を辿っていますね。