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欧米で最も利益率が高いのはテスラの5.4%、二位はフェラーリの4%!ただし中国の一位はBYDの13.6%、日本のトップはトヨタ/スズキの0.3%

2020/09/26

| どうりで中国には富豪が多いわけだ |

さて、中国というと「異常なレベルのお金持ち」が多数いることで知られますが、あまり知られていないのが「なぜお金持ちが多いのか」。

その理由は簡単で、中国では「安い労働力を利用してモノを作り、それを高い値段で売っているから」。

どういうことかというと、中国はお金持ちも多い反面、収入が少ない人も多く、ちょっと前には「月収1万5000円の人が6億人もいる」と報じられたことが大きな話題となっています。

製造原価は世界最安、販売価格は世界標準

つまり中国の製造業は、この安い労働力を活用して安くモノを作り、外国を相手に輸出を行いますが、中国の貿易相手というと主には欧州や日本、北米だったりします。

そして欧州や日本、北米は「月収1万5000円」の何十倍もの平均所得を誇る地域であり、欧州や日本、北米が自国で作るよりも「ちょっとだけ」安くすれば、それらの国は「これは安い!」と喜んで購入してくれることになります。

たとえば、日本は人件費が高いので、Aという製品を作るのに60円かかり、これを卸す価格が80円だとすると20円しか儲からないわけですね(利益率25%)。

しかし中国は人件費が安いので、日本だと作るのに60円かかるものを、5円くらいで作ることができるかもしれません。

そして5円で作れたとして、それを30円で日本に販売する必要はなく、日本企業相手に40円で販売すれば、日本企業は「日本で作るよりも20円も安く買えた」と喜び、中国としては35円も儲かることになります(利益率87.5%)。※ぼくらは中国製品を安いと考えているが、実際はぼくらが考えるよりもずっと安い

つまり中国は、世界で最も安い部類の製造コストを持ち、しかし販売先は世界で最もお金を持っているところなので、とんでもなく高い利益率の商売ができるということになりますね。

中国国内でも「安く売る」必要はない

そしてもうひとつ、中国が発展し始めた頃には、自動車や家電など消費財の多くを輸入に頼っていたということもあり、これらは「非常に高価」だったわけですね。

その後中国企業は外国企業との合弁や、国内企業にて自動車や家電を作るようになりますが、これまた中国国内で作ると、輸入品に比較して安く作ることが可能です。

たとえばBという製品につき、製造原価が輸入品の1/10くらいだと仮定すると、その製品を”安く作れたから”と安い価格で(中国国内で)販売する必要はなく、輸入品よりも「ちょっと」安くすれば中国国民は喜んで「安い」といいながら買うことに。

たとえば自動車を例にとると、コンパクトカーを欧州から輸入するとその原価は150万円くらいで、販売価格は200万円くらいになるかもしれませんが、中国でコンパクトカーを作れば15万円くらいで製造できる可能性があり、しかし50万円で販売せずとも、120万円くらいで販売すれば(中国製ということを差し引いても)十分に競争力を維持でき、しかも105万円も儲かってしまいます。

つまり中国で「メーカー」を立ち上げると、輸出であっても国内向けの販売であっても巨万の富を得ることができる、ということですね(かつ、自動車のように、単価が高ければ高いほど儲かる)。

中国の自動車メーカーの利益率は異常に高かった

前置きがかなり長くなってしまいましたが、上述のような事情で中国の自動車メーカーの利益率は異常に高く、Car Industry Analyticsによれば、2020年第二四半期におけるBYDの営業利益率は業界一位で13.6%。

そして二位はやはり中国のGreat Wallで8.5%。

その次がようやく利益が出るようになり、しかし徹底したコスト管理によって高い利益率を誇るテスラの5.4%、その次が業界一と言われてきたフェラーリの4%。

つまりBYDは「1台売って1023万円の利益が出る」フェラーリの3倍上の利益率を誇っており、上で述べたような「儲かる構造」を立証しているということになります。

なお、同じ中国の吉利汽車のCEO、李書福氏はなんと個人でダイムラー(メルセデス・ベンツ)の株式9.7%を取得して筆頭株主に躍り出ており、これに要した費用は1兆円。

つまりは個人でそれだけのお金を動かせるくらい(たった1代世代で)蓄財が可能なのが中国の自動車含む産業界ということになりますが、これが「中国にお金持ちが多い理由」だとぼくは考えています。

参考までに、マクラーレンは同期間における営業利益率がマイナス119.1%、アストンマーティンはマイナス122.6%という数字であり、コロナ禍においても好調だと言われたトヨタの営業利益率は0.3%なので、いかにフェラーリとテスラが凄まじい利益率を保っているか、そしてそれらよりもずっと高い利益率を誇るのが中国の自動車メーカーである、ということに驚かされます。

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