
| 北米仕様のためか、マクラーレンF1のフロントにはバンパー代わりの「ラバー」が装着 |
さて、わずか64台のみしか生産されなかったマクラーレンF1。
そのうちアメリカに輸入されたのはわずか7台と言われますが、今回その7台のうち1台が中古市場へと登場しています。
このマクラーレンF1について、詳細そして価格は「ASK」となっており、公開されている(限られた)情報によると「これまでわずか2オーナー」。
マクラーレンF1は近代において「もっとも高価で取引されるクルマ」の一台であり、現在相場はおおよそ20億円前後にて推移しているため、この個体も20億を大きく下回ることはないものと考えられます。

マクラーレンF1はこんなクルマ
マクラーレンF1の製造自体は1993年から1998にかけて行われ、ロードカーが64台、プロトタイプ(XP)が5台、二台のみ生産された「HDF」、ほかにも競技用の「GTR(生産台数28台と言われる)」、F1-LM(5台)、GT(3台)等が存在する、と言われます。
レーシングカーデザイナー、ゴードン・マレー氏が「やりたいことを思いっきりやった」車であり、コストは度外視されて設計・製造されたこともで有名ですね。
たとえば、放熱製が良いという理由だけでエンジンフード裏面には(非常に高価な)金箔を貼り、軽いという理由で車載工具はチタン製という”こだわり”が発揮されています。
すでに「伝説」となってしまったクルマではありますが、このマクラーレンF1の存在があったからこそ現在のマクラーレン市販車部門(マクラーレン・オートモーティブ)はその資産やイメージを引き継いで成功を収めることができたと考えられ、自動車メーカーとくにスーパーカーメーカーにとっては「いかにアイコニックなクルマの有無が重要であるか」も理解ができます。

マクラーレンF1は全長4,287ミリ、全幅1,820ミリ、前高1,140ミリとかなりコンパクトな車体を持ち、重量は1140キロと非常に軽量(カーボンモノコックシャシー採用)。

エンジンそのものはBMWのモータースポーツ部門が製造したもので、M8に搭載される予定だったユニット(しかしM8は市販されず、このエンジンは結局マクラーレンF1専用ということに。6リッターV12、出力は636馬力)。

ゴードン・マレーはマクラーレンF1の設計にあたりNSXをベンチマークとしていたため、ホンダエンジンを搭載したかったようですが、ホンダがエンジンの供給に同意せず、「やむなく」BMWを頼った、とされています。

マクラーレンF1は維持するだけで年間数百万円
なお、マクラーレンF1は非常に高い維持費がかかるクルマとしても知られ、マクラーレンの定めるメンテナンスプログラムを実施すると、平均して年間600万円ほどが必要に。
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タイヤ交換だと、交換した後にサーキットを借り、マクラーレンの指定ドライバーによる走行を行ってアライメントを取る必要があるとされ、その費用はおよそ570万円くらいかかる、とオーナーがこぼしたことも。
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トランスミッションは6速マニュアル。
ブレーキペダルからはシリンダーを押すためのリンケージが見え、アクセルペダルの横からはスロットルワイヤーが見えるという直接的な構造を持つことがわかりますね。

重心の最適化を考えて「センターシート」を持つことは有名ですが、トランクはホイールベース内、後輪前にあることも特徴です(前後オーバーハングに荷物を載せたくなかった)。

許容回転数は意外と低く、7500回転から「イエロー」へ突入する模様。

なお、マクラーレンF1はもともと世界中の法規にマッチするように作られたわけではなく、北米仕様にコンバートすると、これだけの部品を入れ替える必要があるとのこと(画像は「取り外した」パーツ)。
このマクラーレンF1を紹介する動画はこちら
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参照:ISSIMI