| 一部の「EV工場」が複数自動車メーカーの電気自動車を作る時代がやってくる |
ジャガー重役、ティエリー・ボロール氏によると、「我々は、社外に電気自動車のサプライヤーを求めている」。
これはちょっとびっくりな発言で、というのも先日ジャガーは「2025年以降、EVのみをラインアップする高級ブランドになる」とアナウンスしたため。
ジャガーはすでにピュアEV「I-PACE」を発売しており、てっきり自社にてEVを開発し、EVスペシャリストになるのだろうと考えていた矢先に今回の発言があり、「自社でEVを開発するつもりじゃなかったんかい」とツッコミたくなったというのが偽らざる心境です。
ジャガーの規模では「EVを自社開発するには負担が大きすぎる」
そして今回、ティエリー・ボロール氏が投資家向けに語った内容だと「年間販売台数10万台程度の我々にとって、新規にEVを開発するには、あまりに負担が大きい」。
すでに持っているI-PACEのプラットフォームを使用すればいいのではと思ったりしますが、おそらくこれは「コストが高く」、よってこのプラットフォームを使用すると車両価格が高くなってしまうのかもしれません。
よってジャガーは、たとえばフォックスコンのように「他社のために生産を(大量に)行うことでコストを下げることができる」EVサプライヤーからの供給を受ける方法を模索しているということになり、つまりジャガーはもう「自社で製造を行う自動車メーカーではなくなる」ということを意味します。
自動車産業は大きな変革を迎えようとしている
そして、自分で自動車を作らない自動車メーカーが(既存・新規に関わらず)登場するのは「今後のトレンド」になる可能性もあり、たとえばアップルもその一つ。
現在「提携(製造)先」を探していると報じられている通り、自社の考えた電気自動車を製造するためのパートナーを探しているということになりますが、多くの「IT関連企業」がここへなだれ込むものと思われ、たとえば最近だと中国の「シャオミ」も同様の動きを見せているということに。
つまり数年先の自動車業界では「企画」と「製造」が分離され、「企画」内容に応じた電気自動車を「工場」が生産することになりそうです。
これが現実になればジャガーとアップル、シャオミの電気自動車の製造元はみな同じで、それらの相違はジャガー、アップル、シャオミの企画=コンセプトの相違だけだということになり、となると「企画に優れる」会社が電気自動車業界の覇権を握ることになるのかも。
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次々と「廃版」となるクルマ、プラットフォームも出てきそうだ
そして今回の報道でもうひとつ思ったのは「ジャガーI-PACEは一代限りで終わりなのか・・・」ということ。
もちろん、工場を変えながら、その名を引き継いで生産を行うこともあるかとは思うものの、現在のプラットフォームを使用したI-PACEは現行モデル限りで終了となるのかもしれません(今後の新型車につき他社への製造委託を考えているのであれば、この1車種のみを自社で作るのは効率が悪い)。
ただ、これはジャガーだけではなくポルシェも同様で、現在「タイカン」に使用されるJ1プラットフォームも現行タイカンのみで終りとなる可能性が高く、その後は「アウディとポルシェとの共同開発」によるプラットフォーム(PPE)へと移行することになりそうです。
もちろんこのPPEにはJ1で得たノウハウが注ぎ込まれることにはなるものの、産業変革期ならではの「短命なモデルやパッケージング」が(世界中の自動車メーカーから)多数登場することになるのかもしれません。
そして現在のEV開発競争のスピードを鑑みるに、「納車された頃には旧世代」となるクルマも多々出てくる可能性もあり、EVの買い時はやはり難しい、とも思います。
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参照:Auto News