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フェラーリ「296GTBは完全にディーノとは異なる性質を持ち、ディーノの名を与えるべく開発されたクルマではない」。廉価版として開発された当時のディーノとの関連性を否定

2021/07/09

フェラーリ「296GTBは完全にディーノとは異なる性質を持ち、ディーノの名を与えるべく開発されたクルマではない」

| フェラーリ「ディーノは、車格、性能、価格すべての面において妥協していたが、296GTBは違う |

なお、ディーノがフェラーリであるかどうかは未だに議論がなされている(ボクはフェラーリにカウントしてもいいんじゃないかと思う)

さて、フェラーリは「フェラーリ初の」6気筒エンジン搭載モデル、296GTBを発表していますが、この296GTBが発表される前には(296GTBが)「ディーノの現代版」「ディーノの後継モデル」と言われていたのは記憶に新しいところ。

ただし実際に発売されてみると、出力、パフォーマンス、価格ともF8トリブートを超えており、かつての「ディーノ」のように、エントリーモデルとしての役割を果たすクルマではないということもわかります。

そして今回、フェラーリのチーフマーケティングオフィサーであるエンリコ・ガリエッラ氏が「296GTBはディーノとは全く違うし、ディーノの名を与えようとされたことすらない」とコメント。

ディーノは「新しい顧客を開拓するためのクルマだった」

なお、ディーノはたしかに6気筒エンジンを積んでおり、296GTBとの共通性があるかもしれませんが、ディーノの場合は「価格を引き下げることを目的」としてV6エンジンを選択しており、よって296GTBとはまったく(6気筒エンジン選択の)意味が異なるということもわかります。

そして、価格を下げるために車格、性能、価格面すべてにおいて妥協がなされ、そのために「フェラーリの基準に達していなかった」とも。

そのため、当時ディーノにはフェラーリの名、そしてエンブレムが与えられず(しかし顧客の求めに応じてフェラーリのエンブレムを装着した個体もあったようだ)、よって”ディーノはディーノ”であって、けしてフェラーリではなかったわけですね(よって、フェラーリの名を冠したはじめてのV6エンジン搭載車が296GTBということになる)。

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なお、ディーノは1965年に206GT、1969年には246GT(ここまでばぼくらの知る、流線型のグラマラスなボディを持つディーノ)へと推移し、1973年には246GTの後継モデルとしてディーノ308GT4が登場しています(直線基調へとデザインが変更され、1975年発表のフェラーリ308GTBに通じるイメージを持っている。実際に308GTBはディーノ308GT4がベース)。

ただしこのディーノ308GT4の販売は芳しくなかったといい、エンツォ・フェラーリの命によって、在庫車のエンブレムをすべて「フェラーリ」に置き換えて売りさばき、その後二度とディーノを名乗るクルマが登場することはなかった、という”黒歴史”も。

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新しいフェラーリ296GTBは全てにおいて妥協はない

つまり、フェラーリの主張としては、当時のディーノは「すべての面において妥協していたが」、現在の296GTBはいっさいの妥協を排除しており、車格、性能、価格面においても「廉価版」ではないということ。

実際のところ296GTBは250LMをイメージしながらデザインされており、「ディーノ的要素はない」ことからも、296GTB計画当初からディーノの再来を意識していなかったということがわかります。

なお、フェラーリは「GTB」「GTS」など、過去のフェラーリに採用されていた記号を復活させることはあるものの、「ディーノ」はもちろん「テスタロッサ」というビッグネーム、そして過去のクルマとドンズバで同じ記号や数字を使用することはなく(250GTOなど)、デザインこそ過去への敬意を払いながらも、名称については「常に未来を見ている」ということなのかもしれません。※フェラーリはテスタロッサの商標を放棄している

正直言うと、296GTBの発表前には、上述のとおり「ディーノの再来」「F8トリブートの下に位置するエントリーモデル」と言われており、「もしかしたらけっこう安価なのでは」と期待したりしたのですが、ちょっとそれは甘い見込みだったということになりそうです。

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参照:Autocar

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