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子供のころ読んでトラウマになった本。合成怪物の逆襲/合成人間ビルケ

2015/05/09

ぼくは絵本や児童文学が好きだということは以前にアップしたことがありますが、児童文学は感受性の強い児童に向け、何らかの示唆を含むストーリーになっていることが特徴で、そこが妙に面白いところだとぼくは考えています。

ぼくが今まで読んだ児童文学の中でトラウマになったものは2つあり、ひとつは「合成怪物の逆襲(レイモンド・F・ジョーンズ著)」。
これは「合成怪物」「合成脳のはんらん」としても出版されているようですね。
いずれも絶版で、購入は非常に困難です。

ざっとあらすじを説明すると、ジョンとマーサという夫婦が陰謀によって殺され、気がつくと脳だけになって大脳研究センターに収納されているのですが、ジョンとマーサは細胞を合成して最初は小さな生命体、合成神経細胞群塊=ゴセシケを作り(合成し)、自分たちを罠にはめた人たちに復讐を図るというものです。

なお、このゴセシケの製造過程、そして大脳から遠隔操作でゴセシケを動かせるようになるまでの努力が非常にリアルで、かなりグロテスクな描写とともにぼくの記憶に焼き付いています(「アイアンマン」でジャービスの力を借りて試行錯誤しながらアーマーを作り、そのアーマーの操作に最初は苦労するトニー・スタークはこの現代版のように思えたものです)。

画像の小さな一つ目の生き物がゴセシケで、こういった単純なものしか合成に成功しなかった、という設定もリアル(現代のSFのようにいきなりクローンのような人型はできない)。
1950年代の作品だそうですが、設定のいずれも非常に緻密で、児童文学にしておくのはもったいないですね。

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もうひとつは「いきている首(アレクサンドル・ベリヤーエフ著)」。
こちらも「ドウエル教授の生きた首」「合成人間」「合成人間ビルケ」としても発刊されており、入手は困難(「いきている首」のみは購入可能)。

こちらは事故で首だけになった(人工器官の開発で有名な)ドウエル博士と、その博士が動けないのをいいことに博士をこき使い研究成果を独り占めにしていたケルン教授、そしてその助手(これはいい人)を中心に進む物語。
ケルン教授は研究材料としてビルケという女性(死亡確認済み)を入手し首だけにして生き返らせるのですが、体がほしいと嘆願するビルケの動かされ、ドウエル教授とともに禁断の「死体と頭部との接合によって人を生き返らせる」実験に踏み込むことに(このあたりは「フランケンシュタイン」に似ている)。

結果、実験は成功するのですが、体が手に入ったビルケは逃走。
事実が明るみに出るのを恐れたケルン教授は助手を精神病院に監禁するものの、逃走したビルケの体が元(ある画家のヌードモデルがビルケの”体”であり、画家はその”体”を覚えていた。しかし”体”にくっついているのは別人の頭)で人体実験の事実が発覚し、「体」の家族含めての復讐劇がはじまる、というものです。

こちらも児童文学ながら伏線が巧妙であり、大人が読んでも十分に楽しめる内容です。

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