メルセデス・ベンツ・エクスペリエンスにてマイバッハの試乗イベントがあり、すかさず試乗してきました。
ただし運転は不可で後部座席のみの試乗となりますが、もともとマイバッハはショーファードリブンカーということもあって、後部座席の方がその車の性格を理解しやすいと思います。
試乗の発着はいつものグランフロント地下駐車場ではなく、インターコンチネンタル・ホテルの車寄せという特別な試乗（メルセデス・ベンツ・ジャパンの意向で”特別な体験を”ということです）。
外観はやはり長いSクラス、という感じですがクロームの２０インチホイールが優雅さを感じさせますね。
SUVクラスとの識別点はその長さ、ホイール、Cピラー上のマイバッハのエンブレムくらい。
内装については見た目の豪華さが半端なく、ドアを開けた瞬間に圧倒されるほど。
なお、ドアはいわゆるイージークロージング機構が付いており、一定までドアを閉めるとあとは自動で引き込みます（軽いタッチの演出のほか、密閉性を上げて静粛性を確保することも意図しているのかもしれない）。
前席のヘッドレスト後部、つまり後部座席に乗った時の正面には大きなモニターがあり、備え付けのリモコンで様々な操作が可能。
シートヒーターはもちろんマッサージ機能（ホットストーン式！）もコントロールできます。
後部座席はかなりな幅のリクライニングが設定され、ほぼ「寝そべる」姿勢までシートを動かすことも可能。
Sクラスからの２０センチものストレッチ、各部の補強や遮音の影響もあって車重は２．３トンを超えるそうですが、さすがにパワフルなエンジン（４４５馬力、９速トルコン式AT）を積んでいるだけあってスルスルと動き出します。
やはり驚くのはその遮音性で、これには分厚いウインドウも貢献している模様。
試乗車にはワインクーラーが装備されていませんでしたが、オプションの「ファーストクラス・パッケージ」を装備するとワイン（シャンパン？）クーラーとグラスホルダーなどが装備されるようです。
「マジック・ボディ・コントロール」と称する、カメラで前方の道路状況を捉えてあらかじめサスペンションの硬さを調整するシステムは秀逸で、これのおかげもあって乗り心地は上々。
ちょっとコツコツしたあたりを感じないでもないですが、快適性からすると今まで試乗含めて乗った車の中では最高ランクですね。
今回登場のマイバッハは、以前のような独立したブランドではなく、メルセデス・ベンツの一つのラインナップとしての位置付けで、普通にメルセデス・ベンツのディーラーで買える、とのこと（以前のマイバッハはメルセデス・ベンツ・ジャパンの直販で、普通のディーラーでは購入不可）。
Sクラスのストレッチとも言えるバージョンですが、そのぶん以前のマイバッハに比べて価格は約半分ほどです。
マイバッハS550で2200万円、マイバッハS600で2600万円ですが、この価格でこれが買える、というのはちょっとした衝撃ですね。
S550だと、たぶんメルセデスAMG GT Sと同じくらいの価格だと思いますが、車というのはお金のかけどころによってずいぶん性質が変わるものだ、と思いました。
対抗馬としては、ベントレー・フライングスパーW12（2415万円）、同じくフライングスパーV8（1945万円）あたりになるかもですね。
なお試乗を終え、「後席に乗る」ということを考えた場合、車の形状は必ずしもセダンである必要はないのでは、とふと思いました。
ショーファードリブンカーが誕生した時代にはクロスオーバーやSUVが一般的ではなく、そのために今に至るまで伝統的にセダンが選ばれており、同じく供給側もセダンを多く作っているわけですが、現代ではショーファードリブンカーにおいてもクロスオーバーのように車高が高くても良いのではないか、とぼくは思ったわけです。
隣に他の車が並んだ時にも車高が高ければ視線が合うこともありませんし、乗り心地についても、ある程度サスペンションのストロークがあったりタイヤの外径が大きいほうが良いかもしれません。
見晴らしも良いですし、SUVをベースに選ぶネガティブ要素は無いように思えます（あまりに重くなりそうなことくらい？もしくはこういったクルマに乗る人は年齢層が高く乗り降りの負担がSUVでは大きいことか）。
そう考えると、マイバッハを購入しようとする層は、もしかするとベントレー・ベンタイガを検討するかもしれませんし、ロールスロイスがSUVの発売を準備中、というのも納得ができます。
これまでの試乗レポートは下記のとおり。
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