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ボルボ「これからの車名には、生まれたばかりの赤ん坊に名付けるように、記号ではなく名前をつける」。やっぱりクルマには「名前」があったほうがいいとボクは思う

2021/07/26

ボルボ・リチャージ・コンセプト

| 「名前」もまたそのブランドやクルマのストーリーや性格を反映したものであり、感情移入できる要素の一つだと思う |

なお、ボルボは100年近い歴史において、名前を用いたクルマをスウェーデン国外で発売したことがない

さて、ボルボはV70やXC90、XC40といった「アルファベットと数字との組み合わせによる名称」から「文字列を使用した名称」に変更するとコメント。

これはボルボCEO、ホーカン・サミュエルソン氏がカーメディアに対して語ったもので、同氏いわく「現在の我々のクルマには無機質な文字列が並んでいる。たとえばXC、T8などだ。そして他社の製品を見てもAll-Wheel-Drive、DOHCなど仕様が記されている。だが、我々はもっと感情的な名称を使用したいと考えている」。

よってこれから発売されるボルボのクルマはなんらかの「名前」を持つことになりそうですが、ボルボは1927年から100年近くに及ぶ歴史の過程にて「名前」を車名に用いたことはなく(唯一の例外は”アマゾン”だが、これはスウェーデン国内でのみ用いられた)、マクラーレンと同じ動きをするということになります。

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この流れはトレンドと逆行?

なお、現在の自動車業界の大きな流れとしては「数字とアルファベット」を用いた記号的な名称を用いる例が増えており、たとえばフォルクスワーゲンは「ゴルフ」「ティグアン」といったこれまでの名称から「ID.3」「ID.4」といった記号と数字へ(これはガソリン時代の終焉、エレクトリック時代の幕開けを示したものだと思われる)。

そしてBMWはi4やiX、メルセデス・ベンツはEQAやEQC、EQSといった”記号”を継続採用しています。

トヨタはエレクトリックカーに「bZ4X」という名称を与え、もしかすると今後は(電動化車両に対し)記号的な車名を用いるのかも。

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ボルボは名前で新世代を表現

ボルボは「フォルクスワーゲンとは逆に」名前を用いて新しい電動化時代を表現したいと考えているようで、SUVをXC、ワゴンをV、クーペをC、セダンをSと呼ぶようになった1995年からの慣習に決別し、ボルボいわく「まったく新しいアーキテクチャー、つまりセントラル・コンピューティングを採用した、生まれながらにして電気自動車、全電気自動車の新世代」のクルマに対し、「生まれたばかりの子供に名前をつけるように、彼らにも名前をつける」。

ただ、こういった「名前」をつけることは非常に難しく、というのも現代のクルマは世界中にて販売されるので、それぞれの国における商標をクリアするのはもちろん、ネガティブイメージが無いよう、さらにはよりポジティブな意味を持つように膨大な時間とコストをかけて決定する必要があるため。

先日はポルシェが「タイカン」の名称を決めるまでには「600の名称候補から、23カ国のネイティブスピーカーを各二名交え、慎重にその名称を決定した」とお伝えしましたが、ボルボもそれと同じ道を歩むということになりそうですね。

しかしながら、ぼく自身としては、味気ない「記号」よりも、なんらかの感情移入が出来る「名前」のほうがいいと考えていて(人間だって記号では呼びたくないし呼ばれたくない)、ボルボの決定を支持したいと思います。

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「名前」を持つ自動車メーカーにはこんな傾向も

参考までに、ポルシェはスポーツモデルに対しては「911」「718」といった数字、しかしSUVやサルーンなどの4ドアモデルには「マカン」「カイエン」「パナメーラ」「タイカン」といった名前を与えています。

おそらくはフェラーリも今後は同様の流れになると見え、スーパースポーツだと最新のモデルでは「812GTS」「296GTB」、ライフスタイル系だと「ローマ」、そしてSUVでは「プロサングエ」という名称となりそう。

ブガッティは「シロン」「ディーヴォ」など同ブランドにゆかりあるドライバーの名を関することが多く、しかし「チェントディエチ(110)」や「ラ・ヴォワチュール・ノワール(黒いクルマ)」といった、その性質や特徴を表すケースも。

ただしいずれの場合もそのブランドやクルマに対してなんらかの感情移入ができたり、より歴史を理解できるものとなっていて、やはりこういった名称のほうがいいんじゃないかと思ったり。

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そのほかランボルギーニだと「ミウラ」「ガヤルド」「ムルシエラゴ」「アヴェンタドール」「ウラカン」などは闘牛の名から、そして「エスパーダ」は闘牛に用いる剣、「ウルス」は欧州最大の牛の種類(すでに絶滅)など牛に由来した名称多し。

これはランボルギーニ創業者、フェルッチョ・ランボルギーニの星座が「牡牛座」であることに由来しますが、星座そして星座の由来となる神話に関する車体以外のネーミングも多く、ホイールだと「カシオペア」「ミマス(神話に出てくる巨人族)」「アポロ(太陽神)」、ボディカラーだと「ヴェルデ・マンティス(神話に出てくる預言者)」「ジアッロ・ミダス(やはり神話に出てくる、触れるものをすべて黄金に変える王)」「ビアンコ・イカルス」といったものが大半。

ランボルギーニ・ウラカンEVO RWDのオプション

そしてアストンマーティンはV」で始まるネーミングを好んで用いる傾向があり、サーキット専用の限定モデル「ヴァルカン」も戦闘機の名称から。
Vつながりだとヴァルハラ(Valhalla)、ヴァルキリー(Valkyrie)、ヴァンテージ(Vantage)、ヴィラージュ(Virage)というモデルもあり、最近は他に「ヴァレカイ(Varekai)」も商標登録済み。

ロータスは「E」ではじまる車名が多く、これについてもつい先日、その由来を公式に明かしていますね。

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参照;Autocar

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