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自分の中の常識を覆してしまった、アルファロメオ4Cの衝撃について

2015/05/24

4C_Copertina

試乗の際にとんでもないインパクトをぼくに残したアルファロメオ4Cですが、未だぼくの中では大きな残響を残しています。
とにかくその衝撃たるや過去最大級のもので、この車を手に入れるためには、大抵のことは犠牲にできる、と断言できます。

一番の衝撃はその価格で、カーボンモノコック採用で807万円。
カーボンモノコックといってもRTM(レジン・トランスファー・モールド)ではなく、F1などレーシングカー同様のプリプレグ方式で作られたものです。

マクラーレン650Sやランボルギーニ・アヴェンタドールのカーボンモノコックですらRTM方式で作られた(RTMが劣るわけではない)ということを考えると、驚異の価格設定と言って良いでしょうね。

4C_Ant_Struttura

エキシージSがアルミフレームを用いて重量1180kg、1006万(AT)、350馬力ですが、アルファロメオ4Cは240馬力ながらも1100kgでカーボンモノコック、デュアルクラッチで807万円。
「超軽量」で鳴らしたロータス・エキシージSよりも軽いというのはあまりに衝撃的で、しかもカーボンモノコックでかつ安い、というわけです。
その上内装はイタリアンデザインですので質素ながらも妖艶さも備えている、というおまけ付き。
内外装含む質感も高く、安全装備も充実しており、先進性にも優れ、メーターも液晶でLEDライト標準、かつ乗り心地も良いので普段使いもOK。

とにかく軽いのが特徴と言えますが、同じくサーキット・オリエンテッドなポルシェ・ケイマンGT4は1064万円で385馬力、1340kg(欧州発表値なので日本での表記は100kgくらい重くなるはず)。
ぼくはGTSグレードまでしかドライブしたことはありませんが、アルファロメオ4Cに比べるとさすがのポルシェ(ケイマンGTS)でもその優位性を確保するのはまず不可能、と感じました。

4C_sus

フェラーリ458スペチアーレを運転した時も感動したものですが、アルファロメオ4Cはさらにその上を行っていて、ロータス・エキシージSだろうがポルシェ・ケイマンGTSだろうが、フェラーリ458スペチアーレよりも運転した楽しさでは「ずっと上」とぼくは信じています。

つまり、「ハンドリングマシン」という観点においては、いかに高額な車であろうとも、この807万円のアルファロメオ4Cはには勝てない、とぼくは考えているわけです。
よく「リトル・フェラーリ」と評されますが、リトルなのは価格とサイズだけで、その楽しさはフェラーリをも超えている、ということですね。

試乗記でもアップした通り、「軽量化への割り切り」は至極思い切ったもので、エンジンルームを開けた時の「清々しいまでの何も無いっぷり」は市販車とは思えないほど。
このエンジンルームというのがけっこう重要と考えていて、サーキット指向ながらもエンジンが見えないポルシェ・ケイマンとは対照的であると言えますね。
おそらくサーキットを走るであろう人であればエンジンを見たいでしょうし、このエンジンルームを見ればアルファロメオ4Cの目指すところが一目瞭然であるためです。

4C_tec

その意味でアルファロメオ4Cは現代のスーパーカーウォーズの考え方を根本からひっくり返してしまう可能性があり、アルファロメオという量産車メーカーが、実際に量販車としてあの車を投入してきたことは大きな意義があります。

「400馬力や500馬力のパワーがなくとも、存分に楽しめ、速い」ということを800万円台の車で証明してみせたわけで、となるとサーキット指向のこれからの車は「なにか別の」要素を持たない限り、アルファロメオ4Cに勝てないのではと考えたりするのですね(これだけの走行性能を持っている車で、アルファロメオ4Cよりも乗り心地の良い車もたぶん少ない)。

上述のように、軽量であったりパフォーマンスにおいてサーキット志向の車は多数ありますが、ロータス・エキシージSだろうと、ケイマンGT4だろうと、フェラーリ458スペチアーレだろうと、ぼくは「アルファロメオ4C一択」です。
装備、ルックス、演出、走行性能、乗り心地、質感、全てにおいてアルファロメオ4Cよりもは飛び抜けており(ただしフェラーリ458スペチアーレ除く。458スペチアーレがアルファロメオ4Cに劣るであろうところは軽快さ、それに由来する楽しさと価格のみ)、さすがのポルシェ・ファナティックを自称するぼくであってもポルシェを推す気にはなれません(ケイマンGT4ですら生ぬるいと感じる。乗ったことはないですが)。

4C_ini

逆に、いわゆるスーパーカーにおいても別の道を模索する必要があるかもしれず、「楽しさ」ではアルファロメオ4Cに敵わない(とぼくが考える)以上、やはり別の「要素」が求められると思うのですね。
つまり「運転しやすさ」であったり「豪華さ」であったり「先進装備」であったり「最高速」であったり、と”アルファロメオ4Cではなく、その車を買うべき理由”を見いだせるようにしないとなるまい、ということです。

ロータスが武器にしていた「軽さ」を凌ぐ上にカーボンモノコックや先進装備を備え、フェラーリ458スペチアーレの誇る「ドライビング・プレジャー」以上のものを1/4以下の価格で実現し、ポルシェの売り物でもある「正確さ」をより安い価格で実現した上にずっと軽い(しかもカーボンモノコック)、というのがアルファロメオ4Cと言えますね。

アルファロメオ4Cの登場によって、全てのハイパフォーマンスカー、スーパーカーはそのあり方を考えなおす必要が出てきたとまでぼくは考えていて、これは「軽量スポーツカー」の新たなメートル原器なのではないか、とまで考えているわけです。

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