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| 日産(とインフィニティ)に再び悪い知らせ、新型車がまた延期に |
日産のEV2車種が生産延期、最大で10か月の遅れ
ここ最近の日産(米国ではインフィニティも)は、新型車不足に悩まされ続けていますが、今回はその状況がさらに悪化しそうというニュース。
というのも日産が同ブランドのEVクロスオーバーを含む2車種の生産計画を約10か月延期することを正式に発表し、またしても「商品ラインナップ不足」に陥るのではと言われているわけですね。※このままではせっかくの再建計画も絵に描いた餅になりそうだ
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日産のEV2車種が生産延期、最大で10か月の遅れ
米Automotive Newsによれば、日産はサプライヤーに対し、米ミシシッピ州カントン工場で計画していた2つの新型EVの生産スケジュールを変更する旨を通達したとされ、具体的な内容は以下の通り。
- 日産版(コードネーム:PZ1K):生産開始が2028年11月に延期
- インフィニティ版(コードネーム:PZ1J):生産開始が2029年3月に延期
日産広報はこの遅延について、「市場のニーズに合致した競争力のある製品を提供するための戦略的決定」と説明しています。
「One Big Beautiful Bill」が税制優遇を打ち切りへ
つまり日産は「より良い製品を発売するため」だとアナウンスしているものの、実際のところこの延期には米国のEV政策変更も大きく関係しているとされ、というのもトランプ大統領が2025年7月4日に署名した「One Big Beautiful Bill」により、これまで最大7,500ドルのEV税額控除が2025年9月30日で打ち切られることが決定したから。
元々この制度は2032年末まで続く予定であったのですが、大幅な前倒しで廃止が決定したことにより、各メーカーはEV投入スケジュールを再考せざるを得ない状況にあるわけですね(ホンダもEV投入スケジュールを調整している)。
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日産がこの2年で発表する新型車をチラ見せ。リーフはクロスオーバーに、そしてエクストレイルPHEVはまんま三菱車、さらには新型エルグランドらしきクルマも
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インフィニティ版はVision QXeベースのラグジュアリーEV
今回延期となったインフィニティ車は、以前発表されたVision QXeコンセプトをベースとしたラグジュアリーSUVとなる予定であり、この新型車についてインフィニティは「Artistry in Motion(動きの芸術)」という新しいデザイン言語を採用し、最新のテクノロジーを盛り込んだ上質なEVになる(はずだった)と説明しています。
つまるところ、「インフィニティのキモ入り」であったのだと思われ、しかしそのクルマが投入されないということは、インフィニティは「古いラインアップで戦わねばならない」ということを意味し、直近で発表されたブランド再建計画に対しても影響を及ぼすことは間違いなし。
一方、日産版はやや角張ったシルエットを持ち、かつて人気を博したXterra(エクステラ)を彷彿とさせる「冒険志向SUV」とされていて、こちらも現代の「アウトドア志向」に対応するクルマとして大きな期待を集めていたわけですね。
Image:Infiniti
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インフィニティがデジタルピアノキーライト装備のコンセプトカー、ビジョンQeを発表。製品改革を行うとし4モデルの概要を公開するも「なぜ日本で発表」?
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すでに複数モデルがキャンセルされているインフィニティ
日産・インフィニティ両ブランドは、今年初めにも電動セダンの開発中止を発表したことが記憶にも新しく、しかし今回の延期と合わせて、電動化計画において後退が続いているという印象を拭えずにいて、さらにはローグより小型となるサブコンパクトEVクロスオーバーの米国導入計画も中止されており、ラインアップ拡充の遅れがブランド全体に重くのしかかっているというのが今の状況です。
結論:日産・インフィニティのEV戦略に「黄信号」
日産はかつて、リーフ(Leaf)で世界のEV市場をリードした先駆者ではあるものの、しかし現在は、EV政策の変更、価格競争の激化、インフラ整備の遅れなどにより、その戦略に関し見直しを迫られているという実情も。
特にインフィニティは新型車の供給不足と高級EV市場での存在感の希薄化という深刻なブランド危機に直面しており、今回の延期はその解決をさらに遠ざける形となってしまいます。
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参照:Automotive News