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高卒でGMの作業員からスタートし、同社初の女性CEOにまで上り詰めたメアリー・バーラ!EV増産計画を公表し「2025年にはテスラを捉える」と自信を見せる

2022/02/13

高卒でGMの作業員からスタートし、同社初の女性CEOにまで上り詰めたメアリー・バーラ!EV増産計画を公表し「2025年にはテスラを捉える」と自信を見せる

| ちなみに親子二代でGMの工員を務める。現場からの叩き上げの実力は侮れない |

ただしGMのEV躍進のきっかけとなったGMCハマーEVはアメリカ以外では売りにくいだろう

さて、EV重視政策に転換した後、順調に株価を上げているGM(ゼネラルモータース)とフォード。

フォードはエレクトリックピックアップ、F-150ライトニングの生産を倍増させるという計画を公表してさらなる喝采を浴びていますが、今回GMは投資家に対し、「2023年末までに北米において40万台のEVを販売し、2025年にはテスラを捉える」という計画を発表しています。

ちなみに現GMのCEOは同社初の「女性」最高経営責任者メアリー・バーラ氏で、彼女はなんとGMの工場作業員からの叩き上げであり、父親もGMの工場作業員という筋金入りの「GMパーソン」。

高校を卒業してすぐにGMの職業訓練校へと入っており、こういった経歴を持つだけに「(現場から役員クラスまで)誰もが彼女を軽んじることはないだろう」という感じではありますが、実際にCEOへと就任した後の2014年以降、順調に業績を回復しており、米国では絶大な人気を誇るとされています(副大統領候補と報じられたこともある)。

とくにGMCハマーEVが人気

なお、GMがEV増産計画を発表したのには「受注を開始したEVの受注が好調」という背景があり、これによって2022年のエレクトリックSUVとピックアップの予想生産台数は7000台から46000台へと大幅に増加しています。

ちなみにGMが2021年第4四半期に販売したピュアEVはわずか26台だった(ボルトEVが発火問題で生産停止となっていた)ことを考慮すると大きなジャンプアップとなっていますが、もしボルトEVの問題が解決されて生産が再開されればGMのEV販売台数はさらに伸びると考えて良さそうですね。

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ただ、現時点でGMが本当に「2023年末までに40万台」をデリバリーできるかどうかの判断は難しく、というのもGMCハマーEVとシルバラードEVを合わせても20万台程度の予約しか入っていないため。

それでも、これまでの販売状況からすると非常に大きな数字ではあり、とくにGMCハマーの受注が好調だと言われます(ただ、予約にはキャンセルがつきものでもある)。

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加えてキャデラック初のEV、リリックの受注も伸びており、こちらは2022年の生産計画が3200第から25000台へと引き上げられることになるもよう。

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なぜGMとフォードのEVは急に「売れだした」のか?

そこでちょっと不思議なのが、なぜGMとフォードのEVが予想よりも大きく受注を集めたのか(フォードはF-150ライトニングの爆発的に増えた予約をさばくため60万台まで生産能力を拡大)。

GMはそれまでにもシボレー・ボルトを生産していたものの、(発火問題が出る前であっても)販売はサッパリで、そのためにGMはハマーEVやシルバラードEVにも大きな期待を寄せておらず、「数千台」売れれば御の字だと考えていて、しかしフタを開けると「予想を遥かに超える数万台の予約」。

キャデラック・リリック、フォードF-150ライトニング、マスタング・マッハEにしてもこれは同じことですが、ここまで予約が入ったのは「(ボディ形状が)SUVもしくはトラックだから」だと考えています。

ちなみにボルトEVは(ボルト発売の経緯からして)トヨタ・プリウスやホンダ・インサイトを意識した5ドアハッチバックであり、見た目は環境に優しそうであっても、アメリカ人にとっては今ひとつ「乗りたいクルマ」として目に映らなかったのかもしれません。※小さなクルマに乗ると「負け」というイメージがあるのかも。何の「負け」かは不明だけれど

そして、当時の自動車メーカーにとってSUVやトラックは環境に優しくないイメージがあり、それをEVにして発売しても売れないだろう、見た目をエコフレンドリーにしなければ(EVを買うのは環境を気にする人だという先入観があったのだと思う)と考えていたのだと思われ、しかしどこかでなんらかのパラダイムシフトが発生し、「そうだ売れ筋のSUVをEVで発売すればいいじゃない」という考え方が出てきたもよう。

これはおそらく「乗用車撤退を決めた」フォードが最初に思いついたのではないかと認識していますが、そこで登場したのがマスタング・マッハE。

はたしてこれも大きなヒットとなっていて、となるとアメリカでこういったEVを購入しているのは「環境を気にする人」よりも「目新しいモノが好きな人」なのかもしれません(EVだとしても、大きなクルマのほうが環境負荷は高い)。

ただ、現在の傾向を見るに、アメリカの自動車メーカーの間では「EVでSUVやトラックを」という傾向がしばらく続くことになりそうですね。

GMやフォードはテスラを超えることができる?

そこでGMやフォードがテスラを超えることができるのかどうかということについて、ぼくは「難しいだろう」と考えています。

テスラは2021年におよそ100万台を販売していますが、そのほとんどがモデル3(セダン)とモデルY(コンパクトSUV)であり、まだサイバートラックはカウントされていないわけですね。

これが何を意味するかというと、テスラのクルマは、GMやフォードの「エレクトリックSUVやエレクトリックトラックを購入している人」ではなく、実際に環境意識が高い人々じゃないかということ(もしくは単に意識高い系)。

実際のところ、100万台のテスラのうち、米国市場が占める割合は31万台のみで、あとは欧州や中国市場で販売がなされているわけですね。

そしてGMやフォードの「大きなエレクトリックSUV」が環境意識の高い欧州で売れるかというとそうではないと考えていて、価格からしてアジア諸国で成功を収めることは難しく、かつトラックの人気が低い中国で米国の再現を成功するのは難しいかも。

よって現在のGMやフォードの成功がこのまま続くと考えるのは安易であり、2023年に発売されるテスラ・サイバートラックに「むしろ市場を奪われてしまう」可能性もありそうです。

テスラ・サイバートラック

いずれにせよ、GMもフォードも「ガソリン車を作っている」、そして「燃費が良くないという印象があるアメ車のメーカー」ではありますが、テスラについては「エレクトリックモデルしか作っていない」クリーンなメーカーというイメージが市場に浸透していて、ここもテスラとGM/フォードの客層を分けている部分だとも考えられ、よってぼくが「GMとフォードがこのままEVの販売を伸ばすのは(今のままでは)難しいだろう、と考える理由でもあるわけですね。

そしてもうひとつ、テスラは「100万台」を2021年に販売していますが、重要なのは、この100万台は「全然需要を満たせていない」中での達成であり、需要が100万台を遥かに超えていた、ということ(さらにモデルSとモデルXが改良のためにほとんどデリバリーされていない)。

多くの自動車メーカーは、「受注を集めるのに苦労していて」、しかしテスラはそういった苦労をしているわけではなく、「どんどん溜まる受注をさばくための生産が追いつかない」ことが問題となっていて、ここも他社と大きく異るところだと思います。

参照:Reuters

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