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911の販売を抜くと言われたタイカンがまさかの失速、台数、販売単価とも大幅下落。一方911は台数、単価ともに伸びる。なぜ911の覇権は揺るぎないのか

2023/02/10

ポルシェ・タイカン

| さすがのポルシェと言えどもEVの販売を継続して伸ばすことは非常に難しかったようだ |

しかも、今後競争はますます厳しくなるだろう

さて、ポルシェは2022年を前年比3%プラスという好成績で締めくくっていますが、その中身を見ると「あまり喜んでいられない」事実があるもよう。

というのも”ポルシェの未来”であるはずのタイカンの販売が減少しているからで、ここには厳しい現実が隠れている、と見られています。

なお、タイカンの2022年における世界販売は34,801台ですが、これは前年比-16%という数字であり、ポルシェにとって二番目に大きな市場である北米だと2021年の9,419台から(2022年では)7,217台へと減少減っていて、これはなんと−23%という大きなロスとなっています。

ポルシェ
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さらにタイカンの販売単価も大きく下がる

そしてもう一つ興味深い数値がタイカンの販売単価であり、北米だと平均して132,417ドルだと報じられていますが、これは2021年比で−8%なのだそう。

一方の911だと、グローバルでは911の40,410台(+5%)を販売し、平均単価は北米では27%上昇して1,773,342ドルとなっており、つまりタイカンは911に販売台数と価格において対抗できていないということを意味します。

なお、タイカンは2021年に大きく販売を伸ばしていて、「2022年には911の販売台数を超える」と言われていただけに残念な結果になってしまい、これについてポルシェは「半導体不足やサプライチェーンの混乱」を理由として挙げているものの、販売単価が下がっているということは「安価なモデルにシフトしている」「オプション装着率が下がっている」のだと考えてもよく、つまり911のように「ファンの心を惹きつけていることができていない」と言いかえることができるのかもしれません。※中古車の値下がり率を見ると、その人気の差が顕著かも

ポルシェ

逆に911の場合は「高価格(高性能・高付加価値)モデルにシフト」「オプション装着率が向上」している可能性が非常に高く、より忠誠心の高いポルシェファンが購入しているとも考えられ、ポルシェにとっては文字通りの「金のタマゴ」だと考えていいのかも。

EVは今後戦国時代に

なお、昨年は全世界でEVの販売比率が高まった年ではあったものの、EVの「車種が増えた比率(ほぼ倍増)」に比較するとEV販売の伸び率(2021年の3.2%から2022年では5.8%)はそこまで大きくはなく、つまり「売れていないEV」が存在する、ということに(もちろん、2022年に投入されたEVであっても、通年で販売に寄与していないモデルもある)。

テスラ
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そしてタイカンの場合はメルセデス・ベンツEQSなどのライバルが登場しており、そういったライバルの先進性に比較するとちょっと存在感が薄くなっている可能性も否定できず、さらに今後はBMW i7とも戦う必要が出てきます。

加えてテスラ・モデルSの値下げなど、タイカンを取り巻く環境としては「苦しくなる一方」であり、この状況にポルシェがどう対抗するのかはちょっと興味のあるところでもありますね。

ポルシェ・タイカンのインテリア

テスラ
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ポルシェの選択肢は一つではない

こういった状況を見るにつけ、ポルシェが大きく期待を寄せた初のEV、タイカンの状況はあまりいいとは言えず、一方で911の覇権はゆるぎないと捉えることもでき、ポルシェはなんとしても911の優位性を保ち続ける必要があるものと思われ、それは(911に)ハイブリッドモデルが登場し、ゆくゆくはピュアEVとなったとしても同様かもしれません。

そしてポルシェは「エレクトリック化に注力」としながらも内燃機関の未来も捨てておらず、先日は「ついにEフューエル(代替燃料)のパイロット生産が始まった」と報じられたところ。

つまりポルシェの未来はいくつかの可能性に支えられていると考えてよく、エレクトリック化に注力する一方、(内燃機関搭載の)911を可能な限り存続させるための行動を開始しているとも考えられ、どの方向に未来が転んでも「怪我をしない」ように対策を行っているのでしょうね。

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参照:CARBUZZ

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