| 2021年から研究を開始、あと1年ほどで実用化が出来るらしい |
願わくば(ここまでの反射率を実現できなくとも)他のボディカラーでも実現してほしいものである
さて、「可視光線のほとんどを吸収してしまう」という真っ黒すぎる塗料”バンタブラック””無双ブラック”がひと頃話題となりましたが、今回は逆に「真っ白すぎる塗料」。
これは米パデュー大学にて機械工学を教えるシューリン・ルアン教授と学生たちが開発しているもので、日射の98.1パーセント、可視光線の99.78%を反射することで冷却効果を最大化し、地球温暖化対策の一助となることを狙ったもの。
2021年から何度が開発状況が報じられていますが、現在大きく実用化に向けて進んだとされ、自動車用の塗料としての用途も視野に入っているのだそう。
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吸収するよりも多くの赤外線を放出
まだ名も無いこの塗料について(なにかカッコいい名前をつけてほしいと思う)は「吸収するよりも赤外線を多く放出する」といい、原理としては”さまざまな大きさの硫酸バリウム粒子が異なる波長の太陽光線を散乱させる”と説明されています。
実験によれば、正午の太陽光の下で、周囲の温度に対して(この塗料を塗布したパネルの)表面を約13度冷却することができるといい、可視光線を吸収するバンタブラックとは逆に、可視光線のほとんど(99.79%)を反射することから、ギネスにて「もっとも白い塗料」として認定されたこともあわせて報じられています。
なお、昨年のテストではこの塗料をボディカラーに採用することで車内の温度を平均4.5度低下させることができることが立証され、2021年時点では400ミクロン必要であった塗膜についても、現在では150ミクロンにまで薄くしたと報じられています(一般的な自動車の塗装の厚さは100~180ミクロンであり、これが分厚くなると車体重量が増える)。
現時点ではまだまだ解決すべき課題があるとされ、実用化がなされるのは1年ほど先になるとも報じられていますが、これが普及することによって自動車自体の効率が向上したり、地球温暖化に対するひとつのカウンターになるのかもしれませんね。
「白すぎる塗料」の実用化には課題も
ちなみにですが、実用化に際しての課題としては(ぼくの考える範囲で)まずコスト、そして塗装方法(既存の器具でもペイントできるのか)や乾燥方法そしてメンテナンスの容易さや耐候性が挙げられ、さらには「ほかのクルマに対して眩しすぎないか」という懸念も。
ただ、「眩しい」ということはそれだけ可視光線を反射しているということなので、逆に眩しくないようにしてしまうと意味がなくなってしまい、このあたりは色々と調整が必要なのかもしれません(クルマの上面と側面とで反射率を変更するとか)。
なお、可能であるかどうかはわからないものの、今回のホワイトほど「究極」の反射率を求めないとして、他のボディカラーにも転用できるだけでずいぶん車内の快適性向上や環境改善に効果があるのかも。
たとえば、レッドやシルバー、グリーンやブルー、できればブラックにもこの理論を転用することができ、多少なりとも可視光線の反射率を上げることが出来るといいなあ、と考えたりします(必ず白という色素を用いる必要があるのであれば、対応不可能なカラーが出てくるが)。
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参照:Motor1, Perdue University, Perdue University, The New York Times