ロレックスやオーデマピゲ、ウブロなど高額な腕時計の購入について。
これはけっこう難しいもので、おおよそぼくの考えるところを記載します。
【新品か中古か】
これはケースバイケースで、なんとも言えません。
たとえばルイ・ヴィトンの腕時計はヴィトン直営店でしか基本的に購入できず、ほかブランドのように並行輸入がほぼ皆無ですね(時計店での販売も無い)。
これはルイ・ヴィトンが時計という新ビジネスに参入するにあたり考えた価格維持戦略と言えます。
よってヴィトンの現行モデルが欲しい場合で、中古にもタマが無い場合は(流通量が少ないのでだいたいタマはない)新品を購入するしか無いわけです。
ほか新品を購入して差し支え無い場合は、新品と中古との価格差が小さい場合。
ロレックスはこれに該当しますね。
かつ新品だと完全に付属品が揃うということもあり、再度売却するのにも有利。
ウブロも並行だとけっこう(正規に比べて)安価に購入でき、そしてリセールも良いので新品で購入しても良い時計だと考えています。
オーデマピゲも同様で、これは流通量が少なく中古相場が安定しているため新品で購入しても売却時のダメージは小さいという認識。
ちなみに百貨店系のクレジットカードを作り、一定金額を利用すると、その百貨店のでの買い物が割り引かれるというサービスがあります。
ぼくの場合は阪急ペルソナカードを利用するのですが、これは年間の利用額が一定に達するとけっこうな率で割引を得られます。
ルイ・ヴィトンは割引対象外ですが、なんとロレックスは割引対象であり、これを使用するとデイトナが異常に(一般のプレミアつき流通価格にに比べて)安く買えます。
もちろん百貨店ではプレミアが乗っておらず、そこ(定価)からの割引になるので「右から左」に流すだけでけっこう利益を抜けることになり、かつそうやって売買を繰り返すと割引率も高くなる、というおまけつき。
ほかブライトリング、オメガ、IWCなどは新品と中古の価格差が大きく、新品で購入すると売却時にかなり辛いことになります(車でいうとVW、マセラティ、アストンマーティンのようなイメージ)。
最近だとパネライもけっこう下がるので、新品で購入するのは難しいですね。
ベル&ロスも新品かつ正規だと値付けが高すぎるので、新品での購入は控えたほうがよさそうです。
同様にカルティエ、ブルガリ、シャネルなどのファッションブランド系の腕時計もかなり売却時に価格が下がるので、新品で購入するのは賢明では無いと考えています。
これはおそらくですが、もともと時計としての価格にブランドのプレミアムを乗せており、中古になるとそのプレミアムと時計としての価値両方がダブルで下がるためと考えています。
あと気をつける必要があるのは、モデルチェンジやバリエーションの多い時計。
これは中古で相場が下がりやすく、新品で購入するのは難しいですね。
バリエーションが多いのはオメガ・スピードマスター、モデルチェンジが多いのはブライトリングとIWC。
とくにインヂュニアやパイロットクロノは要注意。
一方ロレックスやオーデマピゲはモデルチェンジが極めて少なく、過去のモデルでもかなり相場が安定しています。
そして特殊要因として積極的に中古を狙うべき理由が「ムーブメント」。
ロレックス・デイトナのステンレス・スティール・モデルは現行(Ref.116520)と前モデル(16520)ではムーブメントが異なり、しかし見た目は”素人目に”ほぼ一緒。
厳密にはスモールセコンドなど相違がありますが、そんなことは「デイトナ」という前提の前ではどうでもいい程度です。
そしてロレックス・デイトナの中古相場を見ると、16520最終モデルを除いてはやはり前モデルのほうが相場が安くなっています。
よって、「どうしてもデイトナが欲しいが、やはり安く手に入れたい」と考えた場合は前モデルを狙ったほうがお得には購入できます。
かつ、売却時も「下がる金額」で考えると、安く買えた分ダメージも小さいわけですね。
よって、デイトナでステンレスモデルを狙う場合、ぼくは「異常に割高な」現行よりも値段の落ち着いた前モデルを購入するほうが良い、と考えています。
これはオーデマピゲ・ロイヤルオーク・オフショアにも言えることで、2007までのジャガー・ル・クルト製ムーブメント搭載モデルは比較的買いやすい(そして売るときにも困らない)と言って良いでしょう。
これも上にあげた「モデルチェンジ」と関係しますが、ロイヤルオーク・オフショアの場合は外観の変化がほとんどない(リューズガードの段差くらい)ために可能となる方法です。
腕時計のムーブメントに関しては「2008年問題」、つまりムーブメントの主要メーカーがLVMH(ルイ・ヴィトン)グループに吸収されたために今後(ライバルへの)ムーブメント供給を行わないとした問題に起因して各社とも自社ムーブメントの開発の必要に迫られ、大きなところではロレックス(それまではデイトナのみがゼニスのエル・プリメロ搭載)、パネライ(それまではETA)、オーデマピゲ(それまではジャガールクルト)が2008年前後を境に自社ムーブメントへ切り替わっています。
長年使用してきたOEMムーブメントが良いのか、新しく歴史の浅い自社ムーブメントがいいのかは評価の分かれるところですが、おおよそはパワーリザーブが向上するなど性能が上がっているようです(でないと消費者は納得しない)。
もちろん一般に性能や価値が高いのは現行モデルですが、予算の問題があり、しかしその外観が気に入っている場合は、中古で割安な、しかし外観がほとんどかわらずにムーブメントだけが旧型、という選択肢は非常に有効です。
逆に中古を狙うのが難しい時計は「劣化が激しい時計」。
ベル&ロスのカーボンコーティング、ヴィトンのブラックコーティングは色落ちしやすく、中古では大抵色がはげています。
それでも「安ければOK、潰れるまで使う」のであればいいのですが、再度売ることを考えると、ちょっと難しくなりますね。
ほかだとシャネルJ12のスーパーレッジェーラのアルミ(表層が参加する)、ブルガリのラバー+アルミモデル、同じくブルガリのブラックコーティング、そして素材の柔らかさに起因してゴールドケースを持つモデル。
これらは素材の劣化が激しく、中古でコンディションを良いものを探すのが難しく、かつ自分で使っても劣化するので再販が難しくなります。
ゴールド(金)については研磨で回復しますが、そのぶん「エッジが削れてしまって」本来のデザインから崩れてゆくことがあり、ロレックスのゴールドモデルだと、ケース(とくにラグ)のエッジが甘くなっているものもありますね。
ただしこれらは買い取りが安くなるぶん販売価格も低めで、逆に欲しいものがあれば、そして「割り切ることができれば」大変お買い得な買い物といえます。
なお今は未曾有の円高から急激な円安に急激に移行しており、中古だと円高相場を反映したものもいくつかあります。
中古と現行とが同じモデルの場合(モデルチェンジしていない場合)。中古が人気のある場合などは現在の円安相場に引っ張られて中古も高くなっていますが、すでに廃版で、中古の回転も高くないモデル、たとえばカルティエ・パシャやロードスター、ブルガリだとアショーマやディアゴノなどは「非常に」お買い得で、中古を積極的に狙っても良いでしょうね。
逆にカルティエでも最近出たもので現行のカリブル・ドゥ・カルティエなどは中古でも割高です。
車と同じで、ぼくは常に腕時計についても買い替えを考えますので(資金は無限では無いので)、購入と売却との差額が少ない方法を考えるわけです。
ミニやポルシェ911など、車でも「デザインが不変」な製品は安定した相場を持っており、たとえばルノー・メガーヌのように世代ごとに全く異なるように思えるデザインや性格を持つものはやはり中古相場も安いようです(ただし特定世代の人気が高い可能性は出てくる)。
【並行か正規か?ショップ選びは?】
並行か正規かについてはさほど大きな意味を持つと考えてなくて、総合的な判断ですね。
新品であれば正規の方がオーバーホールの料金が安かったりする場合もありますが、並行輸入であっても販売店がそのあたりを勘案して、自社(自店)にてオーバーホールの料金を安くしたり無料にする、というケースもありますね。
たとえばロレックスだと上野のサテンドールなどがそれに該当すると思います(15年や20年保証、オーバーホール無料サービスなど)。
正規と並行の売却金額ですが、腕時計において重視されるのはコンディションであり、正規か並行かは二の次になりますので、さほど気にしなくて良いでしょうね。
ロレックスだと正規店で購入すると必ず保証書に名前が入りますが、並行だと保証書に記名されず、そのために並行の方が買い取りが高い場合もあります。
円高の場合は逆に正規販売店のほうがメリットを出さないと「売れない」場合もあり、そういったときは正規販売店が専用モデルや限定モデルを投入することもあります(オーデマピゲはこのパターン。ロレックスではあまりこれは聞いたことがなく、ロレックスはどこでも同じものが買えるのがひとつの特徴)。
なおジャックロードの販売方法は特殊で、新品の場合はネットには安い価格で掲載しておいて、実際に注文すると「これは前回販売時の価格なので」ということで”その価格では買えない”ので注意が必要。
べつに批判しているわけではなく、販売ページにもその旨記載されており、これを理解して購入する必要がある、ということですね。
ぼくが今まで購入した中で信頼しているのはエバンス、かめ吉、松田宝飾店、サテンドール。
このあたりは知識が豊富で、購入時のカスタマイズにも対応してくれたり(ベルトを持ち込んで交換してもらったり、本来の仕様と異なる純正品を取り寄せてくれたり)、というところがあります。
ほか、最近増加しているのが金やプラチナ、ブランド品の中古を扱う質屋系(大黒屋、さのや、宝石広場、ブランドオフ、一風騎士など)。
これらは時計に慣れていないケースもあり、「誤差の計測と外装の仕上げ、必要があればオーバーホール」程度のメンテナンスで極力回転率を高めるビジネスモデル。
時計専売店のようにリピーター獲得を狙ったりメンテナンスなどのサービスで特徴を出すわけではなく、ひたすら「一見さん」を回転させる方法が多いようです。
そのために価格は比較的安めで、実際に自分の目で見て確かめることができたり、自分で判断できる場合はこういった質屋系の利用も良いかと思います。
有名な時計専売店だと、まずネットでの購入も問題はないでしょうね(ぼくも実際多いです)。