>テスラ(TESLA)

昨年「世界で最も売れたクルマ」となったテスラ・モデルYの販売が急落、欧州では49%減少してランキング1位から18位へ。それでもテスラの株価が下がらないナゾ

テスラ

| テスラだけではなく、アップル、アマゾン、Googleなど不調が報じられても株価が下がらない銘柄は意外と多い |

テスラにとっての「最悪の時期」は脱したという見方が強まっているのかもしれない

さて、テスラ・モデルYは2023年において「世界で最も(すべてのパワートレーン含め)売れたクルマ」となりましたが、2024年にはその望みが絶たれそうだというニュース。

この報道は欧州市場に限ったものではありますが、2024年5月の販売は前年比49%減となる10,582台となっており、ランキングだと昨年の1位からなんと18位にまで一気に転落しています。

なお、この凋落ぶりにはいくつかの原因があるとされ、ひとつは昨今報じられる通りに「EV需要の冷え込み」。

そしてこれに追い打ちをかけるのがスウェーデンの港湾労働者のストライキ(これのよってテスラの納車に影響が出ている)、そして政府の補助金が廃止されたことである、と報じられています。

L1450253

テスラ
テスラが欧州にて累計販売100万台の快挙。販売開始からわずか14年で達成、1−9月においてはモデルYがガソリン車含めても「一番売れたクルマ」に君臨

| テスラ・モデルYはより安価なガソリン車に対しても競争力を発揮、首位を独走中 | 欧州では全般的に売れているクルマの価格が下がってきているようだ さて、先日は「先行き不透明な経済状況に不安を感じる」 ...

続きを見る

テスラ・モデルYの代わりに首位に立ったのはフォルクスワーゲン T-Roc

ではテスラ・モデルYの代わりにトップに立ったのがどのクルマであったのかというと、それは発売から比較的長い時間が経過したフォルクスワーゲンT-ROC(19,333台)で、なんとゴルフ(19,333台)を超える数字を記録しています。※T-ROCは2017年に登場しており、フルモデルチェンジを控えているタイミングであるが、5月の販売台数は12%増加となっている

参考までに3位はダチア・サンデロの18,676台ですが、1-3位は「かなり接戦」、そして18位のテスラ・モデルYとの差も「極端には開いていない」ように見え、つまるところ欧州の新車販売市場は「わずかの差で順位を争っている」ということになりそうですね。

もう一つ参考までに、ゴルフについては「フェイスリフトを迎えたばかり」ということもあって販売が前年比28%も増加しており、欧州市場においては2024年通年にて「ゴルフが販売台数No.1の座を獲得するだろう」という向きが多いもよう(そしておそらく、実際にそうなるだろう)。

新型フォルクスワーゲン・ゴルフ(ゴルフ8.5)正式発表。ゴルフGTIは265馬力へ、ゴルフGTEも出力向上、EVモードでの航続距離が大幅にアップして100kmへ
新型フォルクスワーゲン・ゴルフ(ゴルフ8.5)正式発表。ゴルフGTIは265馬力へ、ゴルフGTEも出力向上、EVモードでの航続距離が大幅にアップして100kmへ

| 見た目が大きく変わったわけではないが、フォルクスワーゲンは新型ゴルフの総合的な魅力を大きく向上させてきた | とくにインテリアの抜本的な改良は大きく評価できる さて、フォルクスワーゲンがゴルフ8の ...

続きを見る

それでも意外とテスラの株価は下がらない

なお、ちょっと不思議なのは様々な惨状が報じられるのに対し、テスラの株価が「下がらない」こと。

たしかに年初来だと30%ほど下落しているものの、一気に下がったわりにはそこから下げ渋っており、これはやはり株主が「テスラの次の展開」に期待を寄せているからなのかもしれません。

テスラ
EV市場の伸び悩み=テスラの伸び悩み?テスラを含めたEV市場の伸びは14%、しかしテスラを除外すると68%の成長率。単にテスラが足を引っ張っていたようだ

| 現在のところテスラに関してはいいことでもそうでないことでも話題になるが、なんら話題にならなくなったときが本当の「終わり」である | テスラは何事に対しても「あまりに影響力が大きすぎる」 さて、ここ ...

続きを見る

現在は中国の新興EVメーカーに押され、どの自動車メーカーのEVも苦戦している状況ではありますが、テスラはこの状況に抗わずに「可能な範囲内でだけの」対抗策を講じるにとどめ、かわりに競争が少ない(と思われる)AI、自動運転、ロボタクシー(サイバーキャブ)、テスラボット(オプティマス)への投資に集中しています(廉価版EVの新規開発やギガキャストへの投資も引き上げている)。

L1450297

テスラ
テスラが自動運転とAI関連に1.5兆円の投資を行うと発表、おおよそ今後の展開が明らかに。なお、これまで無下にしてきたLiDARに対しても大量にコストを投じたことが明らかに

| やはり短期的にはテスラが回復することは難しいだろうが、1-2年で明るい話が聞こえてくるようになると予想 | そして「二回目の」成長は今とは異なる収益構造によってもたらされるであろう さて、テスラに ...

続きを見る

そしてこういった行動を取り始めた初期段階こそ「なにをやってるんだ・・・」という感じで一斉に投資家がテスラ株を手放したものの、今となってはイーロン・マスクCEOの向かう先がおぼろげながらも見えることになり、それに対する支持が株価にも現れているのかもしれませんね。

テスラ
テスラを初期から支持してきた多くの投資家が保有株の売却に走る。「テスラの物語はすでに終わった。これまでのような成長は二度と見込めないだろう」

| 一方で「まだまだ上がる」という強気派も存在し、そのためテスラ株は一定のところからは下がらない | ボクとしては「サイバートラックの受け入れられ方があまりにひどかった」ことがテスラ株売却の直接の理由 ...

続きを見る

合わせて読みたい、テスラ関連投稿

テスラの「第二の成長」が始まる?年次株主公開にて新しい3モデルの発売を示唆、これまでに関与していない分野への進出によって利益の確保が見込まれる
テスラの「第二の成長」が始まる?年次株主公開にて新しい3モデルの発売を示唆、これまでに関与していない分野への進出によって利益の確保が見込まれる

| テスラはおそらくどの自動車メーカーよりも深遠かつ広大な計画を持っている | やはりテスラを単なる「市販EVメーカー」として見るのは間違いであろう さて、テスラが年次株主総会(サイバーラウンドアップ ...

続きを見る

テスラ
テスラの株価急回復の起爆剤となるか?上海当局がテスラに対しFSDの実験許可を与えたとの報道。中国でFSDの利用が可能になれば多くのユーザーが「課金」の可能性

| テスラにはまだまだ他社にはない「成長余力」が残されている | ここでFSDの”解禁”を実現できればロボタクシーの普及にはずみも さて、中国現地メディア複数が報じたところによると、「上海の南匯新城区 ...

続きを見る

テスラ
テスラCEO、イーロン・マスク自ら「今年はモデルYのフェイスリフトはない」と語る。なぜテスラは主力モデルの改良を後まわしにするのか

| テスラは現在EVに対する興味を失い、ロボタクシーとAIにシフトしているものと思われる | このタイミングでリフレッシュを行い、販売回復の「はずみ」をつけておいたほうがいいようにも思えるが さて、テ ...

続きを見る

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

->テスラ(TESLA)
-, , , , ,