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今回ばかりは無線アップデートでの解決不可。テスラがモデルXの「ルーフのパーツが飛んでゆく」として約1万台にリコール実施、物理的な修理が必要に

今回ばかりは無線アップデートでの解決不可。テスラがモデルXの「ルーフのパーツが飛んでゆく」として約1万台にリコール実施、物理的な修理が必要に

| テスラがモデルXのルーフにリコールを発するのは今回が「2回目」 |

ただし「何かが飛んでゆく」リコールは他の自動車メーカーを含めても珍しくはない

さて、テスラは比較的リコールが多いことでも知られますが、そのほとんどはオンライン(無線アップデート=OTA)にて改善することが可能です。

たとえば「フロントウインドウの挟み込み防止機能が機能しない」という問題であっても、他の自動車メーカーであればセンサーを交換するという物理的な修理を行わねばならず、しかしテスラの場合、これを無線アップデートで「ソフトウエアの書き換えだけで」改善してしまうわけですね。

その理由としては、既存自動車メーカーのクルマは「従来型の工業製品」であり、まずはクルマを設計してその動作を行わせるためのソフトウエアを使用するものの、テスラの場合は「走るコンピューター」だと言ってよく、まずはソフトウエアを開発し、それを動作させるためのハードとしてのクルマを設計するため、ハードの動作のほとんどをソフトウエアによってコントロールすることが可能となるためです(PCやスマートフォンの設計過程と同様である)。

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ただし今回のテスラのリコールには「物理的な修復」が必要

しかしながら今回テスラが届け出たリコールは「モデルXのルーフトリムが飛んでゆく」という問題に起因しており、さすがにテスラといえどもこれをソフトウエアにて解決することは叶わず、よって物理的な修理が必要に。

対象となるのは2016年モデルのモデルX(9,136台)で、原因となったのは「プライマーの不良」。

なお、モデルXのルーフに関しては、2020年にもガラスパネルに関連する別の問題が届け出られており、今回で「2回目」ということになりますね。

詳しい問題の内容としては「フロントとセンタールーフの化粧パネルに正しいプライマー使用されていないため、それらが分離して落下する可能性が存在し、この分離は車両が動いているときに発生する可能性があり、事故のリスクが内包される」。

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この問題は2020年に初めて発見され、テスラのフィールド品質チームが調査したところ、問題のある部品は「サプライヤーが製造したときにウレタンとアップリケのインターフェースに十分なプライマーがなかった」ことがわかっており、これはガラスパネルに関する前回のリコールとよく似た内容です(このほか、ウインドウやパネルが飛んでゆくというリコールが複数メーカーから出されているが、いずれもよく似た症状ではある)。

参考までに、リコールが出された2024年8月14日までに、テスラはこの問題に関連する可能性のある40件の保証請求、6件の現場報告、125件のサービス報告を特定しており、しかしルーフトリムの部品が落ちたことによる事故について報告されていないことについても説明済み。

対策としては「適切な量のプライマーを使用してルーフトリム部品を車両に再取り付けする」こととなるようですが、この実際の作業はテスラ直営のサービスセンターの他、提携工場あるいは「GMのディーラー」が担当することになり、GMのディーラーにとっては嬉しい収入となるのかもしれませんね。

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参照:NHTSA

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