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エロいか?エロいのか?車格が2ランク上がったかのような新型プリウスに試乗する

2015/12/27

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新型トヨタ・プリウスに試乗。
グレードはFFの「A」。ちょうど中間あたりのグレードですね。

新型プリウスは現トヨタの社長になってはじめての「イチから設計した車」といわれますが、そのぶん気合が入っているようです。

外観はすでに方々で画像含め見かけるようになっているのでさほど違和感は感じなくなりましたが、それでも実際に目にするとかなり特殊な外観を持っていることはわかりますね。

さっそくドアを開けて乗り込みますが、内装がかなりシンプルになっているのが印象的。
ステアリングホイールやシフトパネルは塗装されており、センターコンソールもSとEグレードを除いてはペイント仕上げ。
ダッシュボードなどは複雑な面構成となっており表面に使用される樹脂のシボも高級感のあるものに。
シートも本革、合皮、ファブリックとグレードによって分かれますが、ファブリックのものも質感が高く生地が伸びるので、座り心地という点ではこれがもっとも良さそうです。

この「内装がシンプル」というのはおそらく主要購買層であろう高年齢者に配慮したものと思われますが、そこがちょっとドコモのらくらくホンのような印象を受けないこともなく、これは内装の仕上げを「高年齢者向け」と「若者向け」とに分けたほうが良かったのかもしれない、と思う部分も。

プッシュ式スターターボタンを押して起動し、小型化したセレクターレバーをDレンジに入れ、足踏み式のパーキングブレーキを解除していざスタート。
クリープによってスルスルと進むのでとくにアクセルを踏み込む必要はなく、いたってスムーズな発進ですね。

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なおメーターというかインフォーメーションディスプレイは先代のようにダッシュボード中央に位置しますが、さらにグラフィカルかつカラフルに。
情報量も増えていますが、そのために一見して何が何を示すのかを把握するのは難しく、これを正しく読み取るには慣れが必要かと思われます(とくに気にしなければ気にしなくても住む情報であり、オーナーであれば必ずなれると思うので問題はない)。

走り出してすぐに感じるのはボディ剛性の高さで、これはサスペンションが良く動いていることからもわかります。
サスペンションは柔らかめではありますが大きく車体がロールすることもなく、かといってストロークが短いわけでもなく、なんともいえない「しっとりした」感じ。
これは国産車輸入車問わず他には見られないもので、正直かなり「優れた」足回りだと思います。

ステアリングも非常に素直な応答性を持っており、切れ角に応じて正確に反応。
トヨタ車にありがちな情報が希薄なものではなく、また軽すぎずにちゃんと情報を伝えてくれるもので好感が持てます。

ブレーキも踏力に応じてしっかりと効くタイプでカックンではないのが好感の持てるところ。
最近はいずれのメーカーも「脱カックン」傾向が見られるようですね。

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試乗にて一番驚いたのは「ブレーキ」のタッチですが、ほかにも上記ステアリングフィール、サスペンションも「相当に」高いレベル。
車格としては先代の2ランクくらい上になったんじゃないかと思えるほどで、「新しい基準を打ち立てた」と言っても良いくらい。
それほど車としての基本性能が優れているわけで、「トヨタもやればできるんじゃないか」と思ったわけですね。

そこには今までのトヨタ車にありがちな「どれに乗っても同じ」というようなフィーリングはなく、しっかり「自動車を運転している」というダイレクト感が感じられるもの。
雰囲気としてはメルセデス・ベンツ、BMWから硬さを削いだという感じで、レクサスの上級モデルのような上質さ。
初代セルシオが登場した時にポルシェのエンジニアが「我々が作りたかったものはまさにこれだ」とレクサスを指して発言したとされますが、今回のプリウスはぼくにとってもそれくらいの衝撃はあります。

リアサスペンション形式が独立懸架(ダブルウイッュボーン)となっていること、「レーザースクリューウェルディング(スポット溶接の間隔が短くシームレスなイメージ)」の採用、バッテリー含むドライブトレーンを低く配置することで実現した低重心化の恩恵が大きいと思われますが、車の基本性能の高さでは定評のあるVW・アウディと並ぶか、それを超えるポテンシャルを持っていると思われます。

逆に気になったのは内外装がちょっとチープなこと。
しかしながら価格レンジは242万円〜339万円までとなっており、先代の223万〜343万円と比べるとあまり差異はなく、それを考えると内装がチープなのは(先代に劣るわけでもなく)マイナスとは言えないでしょうね。
むしろ車としての基本性能が上がったのにこの価格で販売してきた、という方を評価すべきと思います。

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先代プリウス発表時にはホンダ・インサイトというライバルがあり、そのために予定していた価格よりも低めの値付けにしたと聞いたことがありますが、今回ホンダはハイブリッドに関して「敗北宣言」をしており、ライバル不在の中での新型プリウス登場となるわけですが、それでもこの価格というのはちょっと驚き。

なお、ぼくとしては「ハイブリッド」を抜きにしても上述の「ブレーキ、ステアリング、サスペンション」だけでも車両価格以上のものがあるんじゃないかと考えており、後々こういったものがほかのトヨタ車に波及して行くことになると考えると、トヨタの「世界No.1」はVWの自滅がなくともカタいだろう、と確信するに十分です。

ほかに気になるのはエンジン始動時の音と振動がちょっと大きいこと。
車体が良くできていてノイズやバイブレーションがしっかり抑えられているだけに、これは気になるところですね。

乗り味が非常に上品かつ上質なのに対して外装がちょっと奇抜なのも少し違和感を感じましたが(もっと重厚な外観でも良かったかもしれない)、ぼくがディーラーを訪問したときも多くの年配の人が注文していましたし、実際に納車も半年待ちとのことなので、これは実際に気にする人は少ないのかもしれません。
むしろこれくらいの変化がないと、あれだけ売れた先代からの買い替えも望めないのかもしれませんね。

加えて4WD(E-Four)が追加されたこともトピックで、FFとの価格差は20万円程度なので、ぼくが購入するのであれば(冬季を考慮して)4WDになるだろう、とは思います。

なお新型プリウスは外観の特異さが話題となりますが、先代プリウス→プリウスα→新型プリウス、と並べると意外にしっくりくるのが不思議。
そう考えると、このデザインもある意味「正常進化」なのかもしれません。

エロいかどうか、については何か”感じる”ものがあるだけに「乗り味はエロい上質さ」があると断言できます。
ただし内外装についてはちょっとエロさが足りないんじゃないかとは感じますね。
しかしそれでも、かなり驚くほどの高い基本性能を持っており、一度体験しておく価値はあると考えられ、そしてきっと衝撃を受けるだろう、とも考えます。

プリウスはリセールも高そうですし、まず「買って間違いのない」車ではないか、と思います。

これまでの試乗レポートは下記のとおり。
最新の試乗レポートはこちらにあります。



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